大黒さんの金魚鉢

黒金町の住人の独り言は“One”

One voice , one mission , one family

二宮尊徳伝(2)

2014年10月02日 | 労働者福祉
天地自然の恵みと厳しさから尊徳は哲学らしきものを学び取ります。

そのひとつが「天道と人道」です。
天地自然の運行には一定の法則が働いています。
太陽は東から昇り、西に沈みます。
厳しい冬が去れば、暖かい春が来て、やがて夏になります。
土の中に草木の苗を蒔けば芽が出て、葉が茂り、花が咲きます。
このような法則や働きのことを尊徳は「天道」と呼びました。
この「天道」に対して、田や畑をつくり、堤防や用水路をつくりだす人間の工夫や努力を「人道」と呼びました。
「人道」は基本的に「天道」の法則に従いますが、「天道」の厳粛さを大切にしながらも「人道」の大切さも繰り返し強調しました。
その道とは自然を征服するのではなく自然と調和する道です。

またわずかな菜種や捨て苗を大切にした経験から「積小為大(せきしょういだい)」という教訓も表しました。
「小を積んで大と為す」ひらたくいえば「塵も積もれば山となる」ですね。
尊徳曰く
「大事を成し遂げようと思う者はまず小事を努めるがよい。
大事をしようとして、小事を怠り、“できない、できない”と嘆きながら行いやすいことを努めないのは小人の常である。
およそ小を積めば大となるものだ。
小事を努めずに怠るものが、どうして大事を成し遂げることができようか」

尊徳の思想には難しいものはなにひとつありません。
読み進めば進むほどそれを感じます。
肝心なのは思想ではなく、ひたすらその思いを自らが実行して、その行動が熱伝導となって広がることでした。
これだけの人物ですが、尊徳は1冊の書物も残していません。
残されている資料はすべて尊徳の影響を受けた後輩たちの手によるものです。
最近多くなった口先だけのエセ学者やエセ評論家やエセ政治家に爪の垢を飲ませてやりたいものです。