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米中金融戦争

2014年10月20日 | 経済
本日の朝日新聞朝刊に興味深い記事が掲載されていました。
「世界新秩序 米中を追う」です。

第2次世界大戦後に米欧主導でつくられた国際経済協調の枠組みを切り崩して、中国主導の新金融体制を画策しているという特集記事です。
1944年、連合国(戦勝国)44カ国が米国のニューハンプシャー州ブレトンウッズに集まり、金だけでなくドルを世界の基軸通貨とする金融体制をつくります。
この体制をブレトンウッズ体制と呼びますが、その後ニクソンショックによりドルと金の交換停止を決定しますが、ドルが基軸通貨であることは変わりませんでした。
ブレトンウッズ体制の中心は国際通貨基金(IMF)で、IMFは181カ国が資本金を出しており、その額に応じて投票権を行使する仕組みです。
出資比率上位5カ国は、米・日・独・英・仏であり、中国は6番目の出資国(4%)です。
IMF理事会では重要事項の決定には85%以上の賛成が必要であり、米国の持分は17.69%ですから、米国だけが拒否権を持つ国となっています。
ちなみに第2位の日本は6.56%です。
急速な経済成長で日本のGDPを追い抜き、米国に次ぐ世界第2位の経済大国となった中国がIMF改革を求めても拒否されるとしたら、中国はなにを考えるでしょうか。
中国の外貨準備は、貿易黒字が続いて、いまや約4兆ドルまで積み上がっています。
ここまで国力が高まればドルに代わる金融体制を構築できれば、金融における絶対的権力はいやがうえにも高まります。
自国通貨が世界の基軸通貨になるということはどういうことでしょうか。
それを考えれば一目瞭然です。

1997年、韓国が国家崩壊寸前まで追い込まれます。
韓国通貨ウォンが大暴落し、韓国政府はIMFに金融の救済を申請しました。
IMFはいくつかの救済条件を出して、総額570億ドルの直接支援を決定します。
その救済条件のなかに外資の導入がありました。
1、外国人による株式投資限度を現行の26%から55%に拡大すること。
2、外国人による国内金融機関の合併・買収を認めること…などです。
韓国のGDPの22%を稼ぎ出すサムスン電子の株主も54%が外国人であり、金融機関の多くも外資系であることはこれによるものです。
IMFの管理下に置かれるということは、経済的な信託統治にほかなりません。

発展途上国への経済援助も同様です。
すべてはドルで決済されますし、援助金に頼るインフラ建設でもたっぷりと旨みが味わえます。
稼いでも稼いでもどこかへ吸い取られる仕組みは形を変えた植民地政策です。
世界の基軸通貨を握るということは並大抵ではできません。
経済力に加え圧倒的な軍事力も必要ですし、世界各国からの尊敬と信頼を得なければなりません。
それらをうまくコントロールし、基軸通貨を手に入れれば、まさにゴッドハンド(神の手)を手にしたようなものです。
米国の凋落は目に見えてきましたが、まだまだ中国はそれに変わりうる国家とはいえません。
そうなるといよいよ金融の世界も多極化してくるのでしょうか?