大黒さんの金魚鉢

黒金町の住人の独り言は“One”

One voice , one mission , one family

労働者自主福祉運動のすすめ(20)

2015年11月30日 | 労働者福祉

60、70年代と静岡労金はめざましい発展を遂げていきます。
その躍進の原動力を当時の資料ではこうまとめています。
1、労働運動の一環と位置づけた
  労組を担い手として強い一体感で事業推進ができた
  既存の労組を母体として最初から大規模に進められた
  労組の信用力をバックに社会的信用を獲得できた
  教宣・申込受付・集金を労組に委ねコストを節減
1、県・市町村の労働行政と一体・連携し、未組織を含め勤労者福祉として取り組んだ
1、コスト意識を徹底し健全経営をモットーに自己資本の充実に努め、全員で頑張った

この成果を次の運動にどう繋げるかが、事業団体部会の新たな課題になりました。
そして1976年5月、静岡労金総会において「社団法人福祉基金協会」を設立することが決議されます。
ここに福祉活動に最も重要な教育活動ができる礎石が誕生します。
1978年には各事業団体からの寄付金も加えて、新たな「静岡県労働者福祉基金協会」が設立され、名実ともに立派な福祉活動・教育活動の拠点として財団法人認可されました。

1977年、県労福協は1万人を対象とした「福祉アンケート」を実施します。
今後急速に高齢化社会を迎えることを反映してか、老人に関する福祉施設が必要だという回答が多く見られました。
そこで、県当局に申し入れて折衝をすすめる一方、聖隷福祉事業団とも協議を重ねて、1979年に軽費老人ホーム「もくせいの里」を建設します。
また同年3月に「静岡県福祉事業協会」を設置し、新しい事業として「保育園」「身体障害者療護施設」などの建設を企図しますが、適地を取得できず断念します。
この「静岡県福祉事業協会」は1981年に「静岡県もくせい事業協会」と改称します。
その後軽費老人ホーム「もくせいの里」は聖隷福祉事業団に委ねられ、「静岡県福祉事業協会」は新たに1992年福祉活動の拠点として財団法人「静岡県勤労者福祉振興会」として生まれ変わります。
この「福祉振興会」は2008年「福祉基金協会」と統合します。


1986年には教育事業と教育センター事業の充実と整備の一環として「竹本文庫」が発足し、労働者福祉運動の資料収集や保管の業務が完備し、福祉教育活動の推進が計られました。

1990年には生活と福祉に係わる分野で総合的に調査研究する付属機関として「静岡ワークライフ研究所」を設立し、1995年には財団法人として独立しますが、2007年「福祉基金協会」と再び一体化します。

2011年4月からは「公益財団法人 静岡県労働者福祉基金協会」として新たな道を歩みはじめ、2012年に「ライフサポートセンターしずおか」を統合します。
公益財団法人としてウィングを大きく広げた活動に各方面から多くの期待が寄せられています。

労働者自主福祉運動のすすめ(19)

2015年11月27日 | 労働者福祉

労働金庫法では「労働金庫」の目的と定義について以下のように定めています。
(目的)第一条
この法律は、労働組合、消費生活協同組合その他労働者の団体が協同して組織する労働金庫の制度を確立して、これらの団体の行う福利共済活動のために金融の円滑を図り、もつてその健全な発達を促進するとともに労働者の経済的地位の向上に資することを目的とする。
(定義)第二条
この法律において、「労働者」とは、職業の種類を問わず、賃金、給料その他これに準ずる収入によつて生活する者をいう。

この相互扶助の精神に基づき、先人たちは組織・未組織を問わず県下勤労者に、労金利用の道を開く努力を積み重ねてきました。
静岡労金創業当時の日本経済は不況のどん底にありました。
倒産会社が続出し、一時金はもちろん毎月の賃金すら欠配・遅配の会社が数多く出ました。
労働者にとっては苦しい生活の日々が続きましたが、静岡労金はこれらの実状に応えて、賃金遅欠配資金の融資を敢行し、未組織労働者のための質屋生協(労働質庫)も開業します。
質屋生協では品物を預かることによって生活資金を融資するのですが、確かに町の質屋よりも低利ではありましたが、その救済には限界があります。

そこでより増しな仕組みとして、品物に代わる保証機関を設立して、未組織労働者に融資することを考えました。
(当時も組織労働者には全国規模の保証機関が設立されていました)
ここで問題となるのは、団体主義との整合性と、基本財産の確保です。
労金法で示されるように労働金庫は団体主義を貫いていかねばなりません。
この問題は、1964年11月「県労福協」結成によって、解決の道が開かれました。
未組織労働者のための組織の窓口を「地区労福協」に置き、地区労福協会員として労金利用の道を開いたのです。

基本財産については、その相当部分を地方自治体(県・市町村)に拠出してもらう必要があったために、各方面を廻って運動を展開しましたが不発に終わりました。
そこで不本意ではありましたが、静岡労金からの拠出金をもとに任意団体として、1965年3月「静岡県勤労者信用基金協会」を設立しました。
翌年には県下の労働組合からも労金利用配当金の一部を拠出願うなどして、順調な事業を展開していきました。
その後も法人格を取得し公益性の高い組織として事業展開ができるように各方面に積極的に働きかけを行い、静岡県や市町村からも出捐金をいただき、1978年8月「財団法人」として認可されます。
全国41番目の法人認可でした。

以降、業界一の低利保証、代弁の完全履行など地道ではあるが健全な事業展開を図り、幅広い未組織労働者への労金利用の道を広げてきました。
2013年4月には公益法人制度改革の厳しい審査をクリアーして、新たな「一般財団法人」として優良な保証機関として再スタートを切りました。

労働者自主福祉運動のすすめ(18)

2015年11月26日 | 労働者福祉

中央では1949年8月「中央物対協」が結成され、翌50年9月に「中央福対協」に改編され、1957年には「労働者中央福祉協議会(後の中央労福協)へと発展していきました。
生活物資不足に対応する組織から、労働者の福祉を総合的に推進する組織へと衣替えしていったのです。

静岡県においても1953年12月、大阪・岐阜に次いで全国3番目の「県福祉対策協議会(準備会)」が結成されます。
静岡県との折衝により結成補助金として30万円の補助を受けて、自転車等の物資斡旋が行われ始めます。
推測ではありますが、発足当初からこの「福対協」を「総合生協」として発展させていく計画だったと思われます。
準備会のまま物資斡旋事業を拡大していきますが、1957年11月「福対協組織改組の対策委員会」が開かれます。
そして同年12月、「県福対協」を発展的に解消して「静岡県労働者生活協同組合(労生協)」を結成しますが、県域単位では大きすぎるとして厚生省の認可を得られませんでした。

こうした経緯で「県福対協」は消えましたが、その物資斡旋の機能は東・中・西の3地域生協に移すとともに、運動体としての「県労福協」を設立しようと準備会を進めました。
しかし気運が熟せず、1959年は未結成に終わりました。

1960年代になると労金の活動が浸透し、さらに労済の設立により勤労者の相互扶助による共済事業も進められる中、労働運動の一環としての自主的な福祉事業が勤労者の生活の中に深く根付いてきました。
そして自主的な福祉活動の重要性が認識され、事業団体相互間の協力体制の確立と、福祉活動の拠点を設けることが緊急かつ重要な課題であるという認識の一致をみて、1963年10月「労福協結成準備会」が開かれます。

まずは「地区労福協」を結成して、福祉活動の拠点づくりを提唱していくこととし、県内各地区で討議を開始しました。
1964年5月15日の「静岡地区労福協」結成を皮切りにして、瞬く間に県内8地域・28地区労福協が設立されます。
そして全地区の賛同を得て、1964年11月13日「県労福協」が結成されます。

労働者自主福祉運動のすすめ(17)

2015年11月25日 | 労働者福祉

中央労福協は、当時最も大きな課題であった勤労者の住宅難を解消しようと、全国の労働金庫からの寄付によって「日本労働者住宅生協(労住協)」を設立します。
そして各県に住宅生協を設立し事業を受託することを決定します。

静岡県では労金理事会がこれを受けて、1958年労金内に「労住協静岡支部」を設立し、勤労者の住宅建設に乗り出しました。
1961年にILO勧告第115号(労働者住宅に関する勧告)が出される中で、同年8月に静岡・清水地区の勤労者を対象に「静清地区労働者住宅生活協同組合(静清住宅生協)」が設立されます。
これを契機にして全県的な住宅生協設立の気運が高まり、1962年9月「静岡県勤労者住宅生活協同組合(県住生協)」が誕生します。
県住生協の設立によって、県内の労働者福祉活動も4つ(労金・労済・消費生協・住生協)の事業団体が、それぞれの分野を担当し、相互の連携を強めながらの体制となりました。

県住生協は日本勤住協から業務委託を受け、県下勤労者のニーズに対応した良質な住環境を提供することを目的に、創立以来43年間で3967戸の住宅等を提供してきました。
しかし、バブル崩壊後の地価下落や開発事業の行き詰まりなどから、2006年1月日本勤住協が東京地裁に民事再生手続開始の申立を行い受理されます。
県住生協も同様で、1996年8月より開発を手がけてきた「フローラタウン美和野」などの販売不振により、2006年2月静岡地裁に破産申立を行い、43年間の幕を閉じました。

組織の特徴

2015年11月20日 | 心理
組織の特徴とはなんでしょうか?
組織心理学ではこのように定義づけています。

1、達成すべき目標が明確に存在する。

2、それを組織の構成員が共有している。

3、その目標を達成するために構成員がそれぞれ役割を分担している(分業)

4、分業には「水平方向の分業」と「垂直方向の分業」がある。
   (水平とは職能、垂直は職位や序列)

これを満たしていない組織は組織とはいえないということです。

それではこれだけを満たしていればうまくいくのかというとそうではありません。
どんな組織にも葛藤が生まれます。
課題に対する葛藤や、人間関係における葛藤です。

その葛藤をただ避けるのではなく、葛藤を直視し、それを適切に処理していくことが組織全体の発展には欠かせません。
そこにリーダーシップが存在します。

「マネジリアル・グリッド理論」と「PM理論」によるリーダーシップ像です。

下図が「SL理論」です。
「SL理論」には理想像というものはなく、それぞれのリーダーの行動スタイルを表します。

自分のスタイルを知って理想的なリーダー像を追い求めたいと思いますが、ここでも肝心なのは行動ですね。