大黒さんの金魚鉢

黒金町の住人の独り言は“One”

One voice , one mission , one family

二宮尊徳伝(14)

2014年10月22日 | 労働者福祉
上を向いたら キリがない
下を向いたら アトがない
さじをなげるは まだまだ早い
五分の魂…
泣いて 泣いてたまるかヨ
夢がある ♪

私の好きな渥美清の「泣いてたまるか」です。
尊徳を勉強していたらなぜかこの唄がふっと湧き出してきました。


さて二宮尊徳伝の続きです。

人間の社会はまったく平等というわけにはいきません。
同じところからスタートしても、数年たたないうちに貧富が分かれてきます。
人によって強弱や勤惰があるからです。

格差や不平等をどうするかということは大変難しい問題ですが、尊徳は非現実的な理想論ではなく、とても現実的な提言をしています。
「…もしも貧富を等しくしようと思うならば、富者は身を倹めて余財を推し譲り、貧者は身を勤めてその徳に報いるべきである。
これを本当の貧富均平というのだ」

助けられる者が助け、支えられる者が支えるということですね。
そして助けられた者、支えられた者はそのことに感謝して一所懸命努力して恩返しする、ということですね。

「天は余りがあって地は足りない。
余りあるものは必ず足らぬものを補う。
それゆえ天は覆い地は載せ、天の気は下に降り地の気は上にのぼり、創造の気が相和して万物が生ずる。
男と女もまた同様であって、男女相和して子孫が生ずる。
富と貧も同様であって、貧富相和して財貨が生ずる。
もしも天地が背反すれば万物は生ぜず、万物が生じなければ天地もまた滅する。
男女が背反すれば子孫が生ぜず、子孫が生じなければ人類もまた滅する。
貧富が背反すれば財貨が生ぜず、財貨が生じなければ貧富共に滅する」

世の中はすべて陰陽に分かれ対立していますが、その対立は常に変化して止むことはありません。
自然の中にも、一人の人間の中にも“陰陽”は存在しています。
その真理を知ればいたずらに対立だけを繰り返すだけでは、何も生まれてこないことが分かります。

尊徳の名声は高まり老中水野忠邦によって幕府の御家人に取り立てられますが、尊徳の領民たちへの影響力が強くなることを恐れた小田原藩により領民たちと接触することを禁止させられました。
尊徳60歳の時でした。