大黒さんの金魚鉢

黒金町の住人の独り言は“One”

One voice , one mission , one family

二宮尊徳伝(9)

2014年10月12日 | 労働者福祉
町内に被害はないと思っていた台風18号でしたが、小学校のグランドに土砂が流れ込んでいたため、今日予定されていた町内運動会は中止となりました。
そのほかにも町内を流れる安倍川支流の一つも決壊寸前の状態であったことを知りました。
この状態で大型台風19号が接近中の報道を聞くとちょっと不安になります。
とりあえず家のまわりの片付けだけはなんとか済ませましたが、頻繁に起こる異常気象に誰しもが無関係ではいられなくなりましたね。

さて二宮尊徳伝の続きです。

尊徳のものの考え方はきわめて合理的で科学的です。
またその思想は、東洋思想の原点でもある「陰陽説」に基づいた思想です。
陰陽は対立しあい、変化して、万象は止むことなく循環します。
怠奢から貧賤へ、貧賎から勤倹へと因果・輪廻を繰り返していきます。

尊徳の哲学思想は世界的に見ても最高レベルのものですが、尊徳の思想はあくまでも“実践の哲学”でした。
だから最後まで現場を離れず、誰にもわかりやすい比喩で実に巧みに教えを説いて回りました。

天地自然の法則や働きを「天道」といい、人間の主体的な努力のことを「人道」といいますが、その関係を次のように説きました。
「人道は基本的には天道に従いながらも、部分的には天道に逆らう。
人道はたとえば水車のようなもので、半分は水の流れに従い、半分は水の流れに逆らって回り、水車としての務めを果たしている。
もしことごとく水中に入るか、ことごとく水上に出るとすれば、循環できなくなる」

ある日、尊徳のところに名主を先頭にして多くのお百姓たちがやってきました。
尊徳の仕法の評判を聞いて「自分たちの村に来て指導してもらいたい」という嘆願です。
尊徳の仕法は殿様の依頼によって行われるものですから、勝手にできるものではありません。
何度も断りますが、あまりの熱意に心を動かされ、できるところからの手助けをしてやることとなりました。
こうして尊徳の仕法の評判は日に日に高まっていきました。
どの村でも基本的なやり方は同じで、そのやり方は「報徳仕法」と呼ばれるようになります。

「勤労」こそが価値を産み出す源泉であり、
勤労によって得た収入に応じて支出に「分度」を設定し、
その範囲内で計画的にやりくりをする「倹約」の経営法。
それによって生じた余財は将来のために譲り残し(自譲)、
他人のために推し譲ること(他譲)とする。

ここに尊徳のいう「報徳」という思想基盤が確立しました。