大黒さんの金魚鉢

黒金町の住人の独り言は“One”

One voice , one mission , one family

二宮尊徳伝(11)

2014年10月15日 | 労働者福祉
この世の中でもっとも価値あるものはなんでしょうか?
どの時代にあってもその価値が変わらず、奪い取られることもないものがあれば、私たちはそのものを大切にしていくでしょう。

第二次大戦後、圧倒的な経済力を持った米国が国際金融体制の中心になりました。
世界中でドルだけが「金」と交換できる通貨として君臨しました。
当時は「金」こそが絶対的価値を持つものでした。
大戦直後は世界中の「金」の2/3を米国が保有していましたが、西欧や日本などが経済発展するにつれて、「金」は世界各国に分散していきます。
また日本などの貿易黒字国は対外準備額としてのドルを大量に保有していましたから、いずれはこれも「金」になるはずでした。
1971年8月15日、突然アメリカ政府はドルと「金」の交換を停止すると発表しました。
外国の持つドル準備額が、米政府の保有する金準備額を上回ってしまったからです。
そのまま放置すればドルは暴落し、米国は債務不履行に陥ってしまいます。

ドル売りが殺到し、それまでの1ドル360円時代は終了し、変動相場制に移行していきます。
このニクソンショックで日本が貯め込んできたドル準備金は大きな損失を受けますが、国際金融体制の端にいて金儲けにだけ走っていたツケが回ってきたのではないでしょうか。
そのことは1985年に起きたプラザ合意でも感じましたが、変動相場制に移行しても国家間の調整の生贄にされました。

新自由主義のもと世界中で金余り現象が起こり、そして今、婆を掴まないようにと行き場を失ったお金の回収に徐々に入りはじめています。
株価が下がり、原油価格が下がり、行き場を失ったお金は、とりあえず「金」や国債に回っている模様です。

この世でもっとも価値あるものが「お金」でないことだけは確かです。
さて二宮尊徳伝の続きです。

尊徳が子ども時代から独学で学んでいた書物は、いわゆる「四書五経」と呼ばれるものです。
四書とは「論語」「大学」「中庸」「孟子」です。
五経とは「易経」「書経」「詩経」「礼記」「春秋」です。
これらの学問を基礎として、心眼ともいえる鋭い自然観察眼と、自分自身の実生活体験が積み重なってできてきたわけですから、ほんとうに深みのある思想哲学になっています。

仕法が概ね初期の目的を達成すると尊徳は、その安泰な状態を永久に持続させ、来るかもしれない凶作・凶荒に備えることが次の仕事だと考え始めます。
五経のなかの礼記に「3年の蓄えなきは国その国にあらず」という言葉がありますから当然の結果だといえば当然です。


さて私たちが今、備えるべきこと、貯えるべきものはなんでしょうか?