大黒さんの金魚鉢

黒金町の住人の独り言は“One”

One voice , one mission , one family

悔しい想い

2014年11月30日 | 日々徒然
女房から衆院選1区の牧野聖修氏の街頭演説があることを知らされた。
どうやら民主党代表の海江田さんがくる模様だ。
一人でも多くの聴衆が欲しいのはよく分かるので、牧之原の義母の世話を半日で終えて静岡へ戻る。
連合静岡の池富会長もマイクを握った。
牧野さんの後に海江田さんがマイクを握る。
街頭演説を聞いている最中にとんでもない光景を見てしまった。

ビラを配っている娘さんの目の前で、受け取ったビラを捨てて、そのビラを靴で踏みにじった大人の姿だ。
その娘さんは涙を流していた。
なんというおこないだろうか。
まさに驕りたかぶる強力な権力を見た思いだ。
ちょっとどころかだいぶ悔しい想いだったが、この悔しさは選挙で返すしかないだろう。

ケインズ伝(2)

2014年11月28日 | 労働者福祉
「勝って、勝手にやりたい解散」による総選挙の費用として予備費から631億8300万円の支出を決定したそうです。
その一方で、自民党の公約であった「幼児教育無償化」の第一弾として予定していた「5歳児保育料無償化」を見送ったとありました。
これにかかる費用は年間240億円です。

やはりどこかおかしいですね?
それでも自公は勝つんでしょうか…悔しいやら切ないやら。

それでは「ケインズ伝」の続きです。

イギリスの巨額にのぼる戦債は非常に大きな問題でした。
この大戦により、軍事的のみならず金融的優位性までもが、イギリスからアメリカに移ってしまいました。
ケインズはこの間事態の推移をみつめ、積極的な評論活動を続けていました。
その考え方は自由党の経済政策・社会哲学に影響を及ぼします。

当時まとめた彼の論文「自由放任の終焉」は、資本主義社会の現状に批判的であり、その是正のために唱えたのが「ニュー・リベラリズム」でした。
資本主義の本質的特徴とは、すなわち、経済機構の主要な推進力として、個人の金儲け本能への強力な訴えかけに依存しているという点である、というのがケインズの見解です。
このような本質的特徴をもつ資本主義社会はケインズの目からみれば、絶えず大きなジレンマにさらされているようなものでした。
資本主義は経済的にみたら効率的なシステムですが、そのことは自由に放任しておけばうまくいくということとは違います。
むしろ自由に放任しておけば、不安定になる性質を有していますから、「自由放任の思想」からの脱却が必要であり、資本主義を賢明に管理する政策技術の探求が不可欠であるとしました。

経済学者ケインズの代表的な著作は「貨幣改革論」「貨幣論」「一般理論」の三点です。
第一作の「貨幣改革論」は1913年に刊行されました。
それは貨幣価値(つまりは物価)の変化が社会に及ぼす害悪を論じることから始まり、続いて、危機的な状況下で紙幣の増刷により公的資金を調達する方策が引き起こす貨幣価値変化の問題が論じられています。
主要な関心事は貨幣価値(つまりは物価)の安定化です。

そして1936年「一般理論」が刊行されます。
政策によって完全雇用が達成できるとしたこの理論は熱狂的に迎えられました。
世界中の経済学者がケインズの理論を学び、資本主義国はこぞってケインズの経済政策を採用しました。
ケインズの主著「一般理論」は世界中の経済学者たちのバイブルとなりました。
「一般理論」には次の3つのことが明らかにされています。
1、何がGDPの水準を決めるのか
2、なぜ失業が生じるのか
3、どうすれば失業がなくせるのか
そして大不況下に苦しむ資本主義世界にあって、その苦境に何ら有効な政策を提示できない伝統的経済学に失望した若い経済学者、政策立案者から熱狂的な支持を勝ち得ることになります。

ケインズ伝(1)

2014年11月27日 | 労働者福祉
労働者自主福祉運動の講義の中で、4人の先人に学ぶコーナーがあります。
その4人とは、二宮尊徳、ガンジー、ケインズ、賀川豊彦です。
二宮尊徳とガンジーの生き方はこれまで学んできましたが、ケインズの学び方には大いに悩まされています。
なにせ経済学の大家ですし、ケインズ理論の入口を学ぼうとするだけで頭痛がしてくる私ですから無理もありません。
しかしなぜケインズなのかは朧げながら見えてきた感じがします。
資本主義をここまで貶めてしまったのはケインズの忠告をきかなかった新自由主義者たちの責任です。
ケインズは資本主義を否定するものではなく、お金に対するあくなき追求が問題だとして、「呪われた黄金欲」、制限のない「貨幣欲」は悪であると戒めました。
こうした強欲な人々のことを守銭奴といいます。
守銭奴は、何かに使うためにお金を貯めるわけではありません。
お金を持っていればいるほど快感が増してくる性格ですから、その欲望にはキリがありません。
しかもモノの世界から金融ビジネスでカネがカネを産み出す異常な世界にシフトしていますから、国内経済も国際経済もどんどん不安定になっていきます。
ケインズが警鐘を鳴らした不安定な世界が誕生してしまいました。
経済の混乱は不幸な大戦を招きました。
ケインズを現代に蘇らせる必要はそこにあるのかもしれません。


さて「ケインズ伝」の始まりです。


1883年6月5日、ケインズは英国ケンブリッジで生まれました。
父はケンブリッジ大学の経済学教授、母親は後にケンブリッジ市長になる才媛でした。
1902年、ケンブリッジ大学に入学したケインズは、多彩な才能を発揮し華々しい活躍をみせます。
1906年にインド省に入省しますが、そこでの仕事はケインズにとり満足のいくものではありませんでした。
彼は余暇の多くを確率論の研究に割いてカレッジのフェロー(研究者)になるための資格審査論文として提出しました。
結果は不合格でしたが、講師になることはできました。
ケインズが経済学者としてのスタートを切ったのは、1908年~13年にかけての、通貨および金融をめぐる講義・研究からでした。

1914年8月、イギリスはドイツに宣戦布告します。
第一次世界大戦の始まりです。
この頃、イギリスはきわめて深刻な金融危機に直面していました。
戦争を継続するには、アメリカ政府からの借款が死活問題ですが、両国の政治関係はかなりぎくしゃくしたものでした。
大蔵省に採用されたケインズは、アメリカ政府と新しい金融協定を結ぶための困難な交渉において中心的な役割を演じます。
政府部内での彼の名声は高まりました。

戦いは、連合国側に処理をもたらすかたちで、1918年11月に集結します。
ケインズはイギリス派遣団の大蔵省首席代表として講和会議に臨みました。
1919年6月、ヴェルサイユ条約が締結されますが、その直前、ケインズは条約の内容に抗議の意思を表明し、大蔵省を辞職します。
そして世界中に大きなセンセーションを引き起こした「平和の経済的帰結」を執筆します。
もしこの提言通りに戦争処理が行われていれば、あの第二次世界大戦は免れたかもしれません。

(続く)

“三方よし”の精神

2014年11月26日 | 日々徒然
世界中が混乱期に突入しています。
今朝の朝日新聞11面全体を見てそう思いました。

世界をリードするアメリカ、中国、欧州のいずれもが、もがき苦しんでいる様がよくわかります。

22日のALWFセミナー終了後、神野先生と親しく話す機会を得ました。
講演も面白かったが、先生の目指す社会像がスウェーデンにあることや、日本人の精神性の豊かさについての話も大変面白くお聞きしました。

例えば、なぜスウェーデンが大の親日国家であるかの話です。
「昔、スウェーデンとフィンランドの間でオーランド諸島の領有権を争っていた。
戦争を避けるために、両国は紛争の調停を求めて国際連盟に駆け込んだ。
国際連盟は両国の主張を聞いた上で、画期的な方法でその問題を解決した。
『オーランド諸島はフィンランドの領土としフィンランドが統治するが、言語や文化風習はスウェーデン方式とする』
この裁定にスウェーデンもフィンランドも大喜び、おかげでオーランド諸島はいまや平和モデルの島となっている。
この解決策を見出したのは、当時の国際連盟事務次長であった新渡戸稲造である。
日本人のこの知恵に両国民は感激し、日本を尊敬するようになった」…という話です。

新渡戸稲造とはあの「武士道」を書いた新渡戸稲造です。
二宮尊徳の五常講や報徳金もそうですし、近江商人の「3方よし」の精神もそうですが、日本人のDNAにはこうした「解決の道」を見出す力があります。
昔を懐かしむわけではありませんが、政治の世界でも経済の世界でも、もっと高いレベルでリーダーシップを発揮してくれるような人物の登場に期待します。

3つのサブシステム

2014年11月25日 | 経済
11月22日に開催されたALWFセミナーで、神野直彦氏の講演をお聞きしました。
演題は「協同組織福祉事業団体と分かち合いの経済学」です。
神野先生の専門である経済学から見た「社会を構成する3つのサブシステム」を非常に面白く拝聴しました。
図で表すとこういうことではないかと整理してみました。
私たちの社会は3つのシステムで成り立っています。
「政治システム」と「経済システム」と「社会システム」の3つです。
それぞれが影響し合っていますが、力関係で上下左右に動きます。

東西冷戦時はある程度バランスがとれていましたが、ベルリンの壁が崩壊し資本主義に対する歯止めがなくなると、次第に市場万能主義にシフトしていきます。
行き過ぎた資本主義は各所に悪影響を及ぼします。
環境を破壊し、家族を解体し、格差を拡大し、社会システムを崩壊寸前まで追い詰めていきます。
富める者はさらに富み、貧しき者はさらに貧しくなっていきます。

このままいけば社会はいつか崩壊してしまいます。
社会主義革命で政府は失敗し、新自由主義で市場も失敗してしまいました。
さてこれからの時代を担うのは誰か、それは社会システムの中の「協同組合」であるというロジックです。

総選挙で政治システムにどの程度の影響があるのかも興味深い問題ですが、まずは我々の覚悟が問われますね。
あまり小さく縮こまらないでダイナミックな発想でチャレンジしていきましょう。