「牛乳のおいしさ」という中身勝負に変更
カラー効果に期待しすぎた結果、4工場閉鎖、社長の引責辞任、大リストラと、崖っぷちに立たされた日本ミルクコミュニティ。
本来はカラー戦略そのものを見直すべきだろうが、赤色をシンボルカラーにしてしまったので、もはや全面変更はできなかった。
そこでやむなくカラーに関しては部分修正をした。
ただ商品コンセプトは全面的に見直して、新商品を市場に投入した。
逆の言い方をすれば、新商品を市場に投入せざるを得ないほど「赤いメグミルク」の売れ行きが悪かったということだ。
実際、九州では「赤いメグミルク」を店頭で見ることはほとんどなくなった。
新商品は基本に立ち戻り、「牛乳」そのもので勝負することにした。
パッケージ勝負ではなく、牛乳本来のうまさという中身で勝負することにしたのだ。
ネーミングは「牛乳が好きな人のメグミルク」(好きメグ)とした。
販売戦略もまず関東、中部、関西で先行販売し、その売れ行きを見てから全国販売に踏み切るという手堅い手法を採用した。
カラー戦略の基本は変えず、若干の手直しを加えた。
変更点は以下の通り。
記事全文
メグミルクは我が農協系等の牛乳会社で、経営陣には私の知人も多くいます。
当初(新会社発足2年間)の大赤字は雪印、全農、全酪連の3社の寄合所帯による混乱(足並みの乱れ)が主たる原因ですが、確かに貴殿のご指摘の商品戦略(色彩)の問題も否定できないと思います。
3年目から期間損益で大きく黒字が出始めでおりますが、これはシステムの統合、工場の統廃合、商品アイテム数の大胆な絞込み、物流の合理化等の効果が大きいようです。
しかし、まさにこれからが真の実力が問われま
す。貴殿のご指摘、謙虚に受止めるべき、大変重要なテーマです。
悪イメージの除去に何を勘違いしたか長年培ったスーパーブランドを否定。
人のうわさも75日というのはいささか不謹慎かもしれませんが、不祥事に動転して過去のブランド資産をすべて否定したのはあまりにもお粗末です。まさにこれが『雪印らしい雪印』でもありました。
だから、取り返しのつかないことになった。驕りと自信過剰が招いた結果です。
結果として会社がなくなった。身につまされることでもあります。謙虚さがなくなったとき、人も企業もだめになります。
しかし、ここぞとばかり、当時の二番ブランドが火事場泥棒張りの販促を打って顰蹙を買ったオマケ現象もありました。いずれにしても、この出来事は私としては人間の悲しさ、あさましさを垣間見た事件でした。