栗野的視点(Kurino's viewpoint)

中小企業の活性化をテーマに講演・取材・執筆を続けている栗野 良の経営・流通・社会・ベンチャー評論。

マスカット味の地ビールってどんな感じ?

2009-09-29 22:31:02 | 視点
 地方に旅行した時の楽しみの一つに
それぞれの地域で造られた地酒を味わえることがある。
大抵、チェックイン前後に販売店であれこれ見比べながら
これと思う銘柄を選んで、ゆっくり味わっている。

 以前なら地元の酒屋に入り、そこの店主のアドバイスも聞きながら選んでいたが、
最近は酒屋ではなく量販店で買うことが多い。

 というのも、昔ながらの酒屋は置いている種類も少ない上に、
酒に対する知識も少ないときている。
それなら種類も豊富で小売価格も安い量販店で買った方がましだからだ。
 ただ、酒だけは嗜好品ということもあり、当たり外れがあるのは多少仕方ない。

 ところで先般、総社市に小旅行した時のこと、国民宿舎のレストランで
目にしたのが「マスカットピルス」「ピーチピルス」という地ビール。
 いかにも岡山県らしいネーミングに引かれ、早速注文・・・、と思ったが、
思い止まり、まずは生ビールで喉を潤すことにした。
1杯目が外れると食事までまずくなるのを恐れ、まずは無難なところで
生ビールを選んだのだ。

 2杯目も生ビールを頼んだが、どうしても岡山名産に引かれる。
マスカット味や桃味のビールって、どんなビールだ!
この思いが頭から離れず結局注文。

 尋ねるとピーチの方が甘いというので、マスカットピルスを注文。
感想は、やはり最初に飲まなくてよかった。
まるでジュース。
マスカットジュースだけど、飲むと酔っぱらうという感じだ。
女性などには喜ばれるかもしれないが、口当たりがいいからと飲み過ぎる危険性があるかもしれない。
 で、私はというと半分しか飲めなかった。

 価格は生ビール(写真左)が中ジョッキ1杯525円。
 マスカット・ピーチピルスともに330ml瓶が800円。
この価格差もあり、後味もよくなかった。
ただし、ホテルレストランでの小売価格だから、販売店頭の価格よりは高いかも分からないが。
 せっかく岡山名産を使っての地ビールだったが、果たしてどうだろう。
 少なくとも私個人に限って言えば二度と飲もうとは思わない味だったが。

バブル期の産物、奈義町美術館

2009-09-29 10:00:45 | 視点
 奈義町でコスモスの写真を撮ったついでに、
すぐ側にある現代美術館に寄ってみた。

奈義町現代美術館は「建築家・磯崎新氏のプロデュースのもと、荒川修作氏+マドリン・ギンズ氏、岡崎和郎氏、宮脇愛子氏らアーティストに、まったく新しい構想からなる作品を依頼し、その作品=空間を美術館として建築化したもの」だ。(奈義町現代美術館の説明パンフから)

 開館は平成6年(1994年)というからバブル崩壊直後である。
磯崎新氏プロデュースと聞いて思い出したのが1988年から始まった熊本アートポリスである。

 奈義町は周辺町が平成の大合併で美作市を作り、合併した際にも合併に参加せず、いまだ勝田郡奈義町のままを通している。
その姿勢は評価されるが、それには那岐山麓の通称日本原に自衛隊の演習場があり、そこからかなりの税収があるという財政的裏付けがあるからで、「基地の町」と同じ構図である。

 であるからバブル崩壊直後であったにもかかわらず、このような建築物を造れたのだろう。

 もちろん、地方に文化的な建築物があることはいいことである。そのこと自体を批判するつもりはないが、なぜか熊本県山鹿市鹿央町に建築家・安藤忠雄氏が設計した熊本県立装飾古墳館を思い出した。

 まあ、人口同程度のほかの町がこの美術館を造っていたら、今頃は負の遺産の返済に窮しているのは間違いないと思うが・・・。

 左の写真は展示室「大地」。

宮脇愛子氏による作品「うつろひ」。

 訪れた日は陽射しが強かったので、

ひんやりとしたこの空間に出合い、

ホッと一息つけた。


 まあ、ここまでは許せたが展示室「月」の、岡崎和郎氏による「HISASHI-補遺するもの」、さらには展示室「太陽」の、荒川修作氏+マドリン・ギンズ氏による「偏在の場 奈義の龍安寺・建築的身体」に至っては「なに、これ」という感じだった。

 特に展示室「太陽」はひどいもので、狭いらせん階段を上ると写真のような空間が表れる。
 写真の奥から手前にかけて傾斜しているし、床が平でないためじっと立つことすら出来ない。
だからか、ベンチが備え付けてある。
さらにシーソーがあり、奥には鉄棒まである。

 これらがどう有機的に結び付くのか分からないが、感じたのは激しい怒りだけだった。
建築家の傲慢以外の何ものでもない。
無駄遣い建造物。

 人1人がやっと上がれるらせん階段、じっと立つことも出来ない展示室。
観客に苦痛を強いる建築物が建築物といえるのだろうか。

 ただ、展示室「大地」の造りはよかった。