Aledがキーロールの1人として参加しているヘンデル「アタリア」の入手方法について、前の記事ですでに少し触れました。以下追加情報ですので、もうちょっとだけお付き合いください。
まずAmazon JPで、UK importの新品が3093円とあるのでこれはお買い得だろうと書きましたが、それならAmazon UKの方がもっと安いはずだと思い調べたら、、、やはりたったの £5.08です!2枚組み新品だというのに大丈夫かなと半信半疑でとにかく取り寄せてみました。Delivery Chargeが£3.58でTotal £8.66。ブックレットもちゃんとついていて、ディスクも物理的に何も問題ありません。今日のレートで£1=241円なので、送料入れても2000円ちょっとでゲットできたことになります。ちょっとどこか読み間違えてオーストラリア盤みたいだと思ったのですが、そうではなくて、UK国内盤です。Decca制作、2003年にAwards Collectionシリーズの1つということでUniversal Classicsから発売されたもので、古い名録音を廉価版として発売するというきわめて良心的な商品だと思います。
ところで、私が記事中で薦めたCDがちゃんとしたものかどうかが気になったからとはいえ、既に日本盤をもっているのになんで今回また新しく買ったかというと・・・これを見てやってください。。。 なんと、購入して16年かそこらあまり聴かないで湿気の多い部屋の押入れに入れていたため、ディスクのクッションに入れてあったスポンジがべったり張り付いてしまい、取れなくなってしまっているではありませんか~~ (このように箱入りで、スポンジで固定してあったのです。最近の2枚組みはこんな装丁のものはなくなっていると思うのですが・・・)
ただ、不思議なことに、スポンジが張り付いてしまっているのはDisc 1 だけで、Aledが参加しているDisc 2の方は大丈夫で、CDプレーヤーにちゃんとかけられます。でも、1の方も聞きたいし、2も目に見えない長年のカビとかが付着していて近いうちに劣化するのでは・・とか思うと、新品が欲しくなったわけです。
結果的に、こんなに素晴らしい作品の全貌を、初めて聴くような気持ちで新たに鑑賞することができたのは、なんといってもSatomiさんのおかげですね!
内容についても、ちょっとだけ補足を。
Aledの最高傑作かもしれないと言いましたが、実はそれは、彼の声自体がこのアルバムが一番いい状態だからという意味ではありません。 ここで聴ける彼の声そのものには、13、4歳ころまでの「芳醇さ」(mellowness)というか「艶やかさ」はもうあまりないように私には思われます(勿論、ホグウッドの好みとかもあって、役柄からわざとそういう仕上げになったのかもしれませんが・・・。声自体が絶頂なのは、むしろカークビーだといえますね)。細かいことでケチをつけるわけでは決してありませんが、少なくとも声「だけ」でこのアルバムが彼の最高と言っているのではなくて、それ以外にも重要な要素があるということです。それは・・・
注目すべき点として、Aledが、アリア、二重唱、そしてレチタティーヴォという、3つのソリストとしての要件を全て満たし、世界的にもトップクラスの大人のソリストたちと十分harmonizeしているということです。歌詞カード上では、AledのトラックはAria ('Will God, whose mercies ever flow')とDuet('My spirits fail, I faint, I die!' )の2つとなっていて、Recitativeとは書いてないのですが、ソプラノ(サザーランド)とカウンターテナー(バウマン)との掛け合いでRecitativeを2箇所歌っていて、(Recitativeは「歌う」というんですかね?Satomiさん??)実際はトラック数にして4つで、かなり大きな存在感があるのです。
写真もあります。モノクロで、それまでの「可愛いボーイソプラノ」のイメージをみじんにも感じさせない、きっと見据えるような鋭く深い声楽家のまなざしをしています・・・。服装と顔の輪郭こそまだ少年ですが、このときの彼の精神性は、もう遥かに子どもの領域を超えていたのですね。
というわけで、買わなきゃ損とまでは言いませんが、買って決して損はない2枚組だと思います。
なお、上記のアリア'Will God, whose mercies ever flow'は、こちらのCDにも収録されていることをここで記しておきます。
ついでながら、New College のことで、先の記事をちょっと訂正しておきますね。
「『神官たち、レビ人たち』というグループの役なのですが、上記試聴サイトの8. Act Two, Scene 3: Chor: The Clouded Scene Begins To Clear - Chor Of New College, Oxford/Edward Higginbottをぜひ聴いてみてください!合唱であるにもかかわらず、ボーイ個々の声が、まるで2、3人ソリストを使っているかのように鮮明に聞こえるのです。 これがまた素晴らしい・・・」
と書きましたが、正確にいうと、Choir of New Collegeは、「神官たち、レビ人たち」ではなくて、「若い乙女たち、神官たち、レビ人たち、イスラエル人たち」という集団でした。全体的には成人男性も混じっていますが、「若い乙女たち」というグループのみが出てくる箇所は、少年だけで唱っています。上記 8. Act Two, Scene 3: Chor: The Clouded Scene Begins To Clear は、よく見ると「若い乙女たちの三重唱」となっており、トレブルの少年が3人のみで歌っているのですね!ソリストとして名前こそ出ていませんが・・・個々の声が鮮明に聞こえるのも当然でした。失礼しました。
以上、私の独断的な見解が多分に混じっています。お買い求めになられて、皆さんそれぞれの感想をお聞かせ願えれば幸いです。
> 購入して16年かそこらあまり聴かないで湿気の多
> い部屋の押入れに入れていたため、ディスクのクッ
> ションに入れてあったスポンジがべったり張り付い
> てしまい、取れなくなってしまっているではありま
> せんか~~
ディスクにくっついてしまったスポンジですが、水洗いしても取れませんか? CDじたいは濡れてもしっかり乾燥させれば大丈夫ですので。
さすがCantoresさん、何からなにまで物知りでいらっしゃいますねーーー (知らなかったのは私だけ??)
水洗いしたあと、すぐに水滴を拭き取ってください。盤面にシミが残らないようにするためです。
拭き取る方向は、かならず中心から外側へ向かって、です。このへんはライナーにも注意書きがあるかと思いますが…。やわらかい布で水滴を拭き取ったあと、できればカメラレンズ用シリコンクロスのような、微細繊維の布を使って軽くなでるように仕上げの拭き取りをすればよいかと思います。
でもスポンジがないと、安定しなくてどうせ傷つきそうだし。。。うーん、、
ブログのトップページも、夏らしくさわやかになりましたね~。私の方は、テンプレートが少ないのでうらやましいです
ええ、まあとにかくこの値段ですし、廃盤にならないうちにゲットしておくといいかなと思うんですよ。。
Aledの声がつやがなくなったとかって一方的なことを言いましたが、その分なんというか極限まで研ぎ澄まされたような神々しい感じがあって、やっぱりこの人はすごかったなーーと今更ながらに思ったりして。。
テンプレート、どっちにしろ限られた中でのデザインですからねーー やっぱりいまいちですけどね。
Deoさん
>理想的に管理しても70-80年が限度だろうと言われ始めたのは聞いていますが
あら、じゃあ管理がよければ、ほぼ一生ちゃんと聴けるってことなんですね!じゃー今回買ったUK盤は私が栗之介のところに行くまではしっかり元気なはず!
>出来れば蒸留水がいいと思うのですが。日本の水道水はあちらに比ベれば軟質だとはいいますが、やはりミネラル分があるでしょう?
なるほど。。。細かくどうもありがとうございます。
>CDの劣化は紫外線によるものが一番悪いようです
それは知りませんでした!とにかく、ケースから出しっぱなしでは勿論いけないけど、かといってあまり聴かないからずっとしまいこむってのも風通し悪くなってよくないのでしょうか。時々虫干しするとか?? LPの時代と比べると取り扱いも保管も随分楽になったと思って、油断しすぎたみたいです。。。。。
>人間的にも、音楽的にも対照的ですね。
あっ・・・
>彼の声自体がこのアルバムが一番いい状態だからという意味ではありません
Aledの1番いいときの声ってどれなんですか?
アタリアって言われてもピンとこないのですが聞いてみたい作品ですね。こんなことプロにいうのは失礼かもしれませんが、Keikoさんの音楽記事のレベルがググ~ンとアップした気がします。Satomiさんや皆さんとの交流がKeikoさんの才能を開花させたのかしら?ブログやると自分の未知の力を引き出せることもありますよね。
それでは
根がミーハーなもので、、、根底にあるものはちっとも変わらないのですが・・・それでも、おっしゃるとおり、皆さんのおかげで随分目線が高くなったと自分でも思っています。Satomiさんのように、専門的技術的な分析はできないにしても、作品の背景を盛り込んだり、さまざまな面から鑑賞してみるとまた再発見がいっぱいあるなあと。。。
>プロにいうのは失礼かもしれませんが
ん?プロ??何のですかあ??ちがいますよーーー
・・・でも、、そっか、、考えてみれば、ライターの端くれのそのまた端くれかも・・・ 和訳はあまりやらないので、、とかって言い訳してないで少しでも読みやすくおもしろい記事になるようがんばりますっ。
>Aledの1番いいときの声ってどれなんですか?
うーん・・・
私も「これは一番いい状態のときじゃない」とかなんとか、えらそーに、、良い悪いという書き方して、ちょっと語弊があったかもしれませんね。
私が一番好きな、芳醇さというか色気を感じさせるのはやはり日本デビュー盤(UKでは2枚め)のこれとか
http://www.boysoloist.com/album.asp?AlbumID=5947&ArtistID=58&gid=170
クリスマスアルバムあたりまでかなと、、、
http://www.boysoloist.com/album.asp?AlbumID=2058&ArtistID=58&gid=170
「セイリング」とか「チチェスター詩篇」とかになるとそれほど惹かれるものがなくって。。。
(でも、アレッド命のコアなファンの方たちが読まれたら、何言ってるの!ってお叱りを受けるかもしれませんが・・・)
アタリアの中のアレッドの役は迫害される王子ということなので、リリカルに色気出して歌う必要もないし、ストイックな美しさがあるとは思うのですが・・・