波佐見の狆

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イギリス人の質素さに思う

2008-01-19 15:25:11 | Miscellaneous

Oxford市内のSummertownという街の、私がよく買い物に行っていた魚屋さんのご主人と息子さん(多分)です。1/4世紀以上も昔の写真を引っ張り出してスキャンしてみました。私は、Oxfor市内のSt. Clare's という語学学校に1年ちょっと通っていました。この学校は、原則として寄宿制でしたので(いわゆるboarding schoolですね。public schoolなどもみなそうですが)、私も半年は校内の寮(寮はhouseといいます。dormitoryは米語)に入り学校で出される食事をしていましたが、半年は自炊をしてみたくて、近くのフラット(日本で言うアパートのこと)に1人で住んでいました。だいたいは、WHSmithとかWoolworthsといったスーパーマーケットで買い物をしていましたが、この魚屋さんは、ハンサムな店員さんに会うこと自体が楽しみでよく行ったものです。 

Summertownの町並み。このすぐ近くに住んでいました。

今日はなんで急にイギリス滞在時代の話をしたくなったのかというと・・・シトロンさんのブログで、イギリス人は物をとても大切にするという話をしていて、若かりしころのイギリスでの質素な暮らしがとても懐かしくなったからなのです。

シトロンさんと話していたのは、聖歌隊の式服を繕いながら代々大切に着ているのでは、ということだったのですが・・・St. Clare'sでも、教科書が全部貸与になっていて、図書館から自分で借りて使うようになっていました。学生に出来るだけ負担をかけさせないようにという配慮からというよりも、とにかくいちいち買わないのが当然という感覚だったように記憶しています。

物を大切にするということ以前に、とにかく物が日本のようにあふれかえっていないのです。自炊をしていたのでよく覚えていますが、スーパーも食料品を必要最小限しか置かない。閉店1時間も前になると、品物は殆どなくなってしまいます。日本でももちろん閉店時間が迫ると、お刺身などは無くなりますが、閉店間際に行っても、たいていの生鮮食料品は少しは残っていますよね?(私はだいたい昼間に行くのでよく知らないのかもしれませんが。。ともかく仕事帰りに買い物する人たちのために何かはあるでしょう??)・・・そんなものじゃないんです。肉、魚、乳製品、野菜・・・あらゆる生鮮食料品がきれいさっぱりなくなてしまうのです。6時が閉店時間だとすると、5:30に行ったらもう何もありません。だって、6時というのは、片付けが終わって、従業員がお店から帰る時間なのです。蛍の光なんかが流れていて、客がまだちらほら残っている日本とはあまりに異なる光景です。(ちなみに、それはスーパーだけに限ったことではなく、銀行でも郵便局でも5時なら5時でぴったり業務を止め、1分たりとも融通がきかないので、後ろの方に並んでいたりすると、4:50とかでも応対してもらえません。)

普段の家庭料理の内容も、それはそれは質素なものです。私はホームステイも少し経験しましたが、通例、お皿にお肉が少しとグリーンピースとジャガイモだけ(芋が主食ですから、これ以外にパンもありません)。これをさっと食べると、奥さん手作りのデザート(アップルパイとか)が出てきて終わりです。私がお世話になったのはworking classのファミリーだったので余計質素だったのかもしれませんが、基本的にはupper middleでも同じだと思います。Sever家だって、普段は特にリッチな食事をしているとは思えません。

私自身、今ではもう随分物を粗末にしています。特に食べ物は、、、料理が下手なこともあって、材料をいっぱい買い込み無駄にして捨てたりよくします。実際、この間も河口湖のホテルで夕食を1/3しか食べられなかったように、外食しても残すこともちょくちょくあります。それでも、それは自分では申し訳ないといつも思っていますし、TVで食べ物を粗末にするお笑い番組などを見ていると、やはりとても腹が立ってきます。

いわゆる「大食い」タレントさんというのは、最初は気持ちが悪いだけでしたが、何でもいかにもおいしそうに嬉しそうに食べ、仕事としておいしいものを食べられることに感謝の念を持っているようなので、否定はしないのです。大食いのプロフェッショナルとして、食べるというショウを演じることに誇りを持っていること自体は、すごいとすら思ってしまいます。

しかし、お笑い芸人が、あるお店のメニューを全部制覇するとかいって、アイスクリームだとかお寿司だとか蟹料理などの同じ料理を3日間とか食べ続けるとかいう企画は、別です。たとえば、先日のこれですが、3人組みの若手芸人が、次から次へと運ばれる蟹会席や蟹しゃぶなどを、文句をぶりぶり言いながら、トイレに駆け込みつつ、最後には料理人さんに悪態をつきながどうにかたいらげていました(87品?!)。しかも、仲居さんも料理人さんもニタニタしながらそれに付き合っているんです。この構図って一体なんなんだろうと思ってしまいました。食材たちがあまりに可哀想・・・こういう企画に協力するお店側の見識も疑われます。今こうしている間にも世界中で、飢餓に苦しむ人々が大勢いることを考えて欲しい。。。 

もちろんイギリスには、こんな食べること自体をお笑いネタにするつまらない番組はありません。