土曜の夜はいつもの「寅さん」だった。(笑)
夕食を食べながら家族でBS放送を観るのがわが家の習慣である。
寅さんのおかげで「家族円満」が保たれていると言っていいかも知れない。
寅さんシリーズの第17作目になる。
山田洋次監督の演出にも円熟が増し、数々の映画賞にも輝いたシリーズ屈指の名作である。
映画の舞台は唱歌「赤とんぼ」のふるさとで知られる播州・龍野。
マドンナは地元の芸者ぼたんに扮する太地喜和子さん。
寅さんが初めて所帯を持つ決心をする(?)記念碑的な作品だろうか。
この作品では太地喜和子さんの底抜けに明るい笑顔と
カラカラという笑い声が「通奏低音」のように映画全体に絶えず流れ続けている。
ひょんなことから上野の飲み屋で知り合った爺さんこと
日本画の大家・池ノ内青観(宇野重吉)と旅先の龍野で再会した寅さん。
その歓迎の宴会で龍野芸者のぼたんと出会って意気投合。
人生の裏街道を生きる者どうし
互いに惹かれ合って「一緒に所帯を持とう」と約束するのだが・・
その後、ぼたんが突然、柴又の「とらや」を訪ねて来ていつもの大騒動。
芸者をしながら貯めた200万の大金を悪い男に騙し取られ
それを取り戻しに来たと言うのだが・・・
とらやの面々があれこ協力するものの、結局、お金は取り戻せず。
寅さんも画家の池ノ内青観を訪ねて「金のために」絵を描いてくれと頼むのだが
それも断られ、ばたんは泣く泣く龍野へ・・・
池ノ内青観の初恋の人を演じたのが岡田嘉子さんだった。
松井須磨子亡き後の新劇界の大スター、トーキー映画時代のトップ女優
愛する人と手に手を取ってロシアへ亡命した一大スキャンダル。
まさに波乱万丈の人生を生きた女優さんだが
その人生経験を感じさせる重厚な演技と、今も変わらぬ美しさが印象的だった。
それにつけても太地喜和子さん。
彼女も数々の男性遍歴で話題をさらったスキャンダル女優だが
その不思議な存在感と奔放な演技はオジサンを虜にするような魅力があった。(笑)
どこかに「哀しみ」を漂わせる場末の芸者役は
ドサ回り歌手のリリー(浅丘ルリ子)と同じで、素晴らしいマドンナだった。
映画のラスト、青観からプレゼントされた絵を前に
泣き笑いする演技は見事であった。
文学座のホープで杉村春子の後継者と期待されたが
1992年、公演先の静岡県伊東で桟橋から車が海に転落し事故死。
惜しみて余りある48歳の生涯だった。
いい女優さんだったなあ・・・
サントリーウィスキーが太地さんをモデルに使った広告があって、
キャッチフレーズは「一度ふられていらっしゃい」。
シルクブラウスのはだけた胸元に、
自分の手をすっといれている写真なのですが
その手の位置が、あきらかに・・・モ~たまらん(笑)
おのれのオヤジ度をあらためて認識しました(笑)
話を聞いただけでモ~たまりまへん。(笑)
♪ 酒は大関ィ 心意気ィ~は知っているのですが
残念ながらサントリーのCMはちょっと記憶にありません。
年代的に少し若いせいでしょうか。(笑)
身も世も捨てて飛びこみたいような女性でした。