アメリカの野球映画ではない。
大阪の漫才コンビを描いた日本映画である。
伝説の漫才師「河本栄得」が亡くなってもう20年が経とうとしている。
映画化の話はまったく知らなかった。
ベイブルースの名はもちろん知っていたし実際の漫才も何度か見た。
漫才の王道であるテンポあふれる「しゃべくり漫才」で
ネタの面白さだけでなく「間」の取り方に天性のものを感じた。
同期に「雨上がり決死隊」がいるが漫才の「うまさ」では当時から群をぬいていた。
彼らの舞台を見て漫才を諦め
コントに鞍替えした芸人仲間も多かったと言う。
向かって左が河本榮得、右が相方の高山知浩。
大阪・桜宮高校の同級生で、卒業後、河本が声をかけるかたちでコンビ結成。
デビュー後は「上方お笑い大賞」など数々の新人賞を総なめ。
漫才のセンスとクォリティは抜群で、最も将来を期待される漫才コンビだった。
しかし、その絶頂期に河本が「劇症肝炎」による脳出血で急死。
まだ25歳という若さだった。
まさに上方お笑い界の星だった。
マスコミ各社はこぞってその早すぎる死を惜しんだ。
相方の高山の悲嘆は大きく、葬儀の席で参列者を前に
「天国に向かって河本のアホ!と叫んでください」と泣きながら弔辞を読んだ。
私は間もなく東京に出たのて、その後の経緯は知らない。
そして、死後10年が経って・・・
高山は河本へのオマージュとして「ベイブルース~25歳と364日」を出版。
愛すべき「伝説の漫才師」の実像を赤裸々に綴った。
友人の千原ジュニアが中心になって当時から映画化の話はあったようだが・・・
映画「ベイブルース ~25歳と364日~」予告編
高山はもちろん素人監督である。
脚本や演出の「完成度」から言えば不満な部分は多い。
ただひたすら「思い」だけで撮り切ったような印象の映画ではあるが
逆に、その「思い」の強さに撃たれる。
二人の青春の舞台は劇場のステージではなく
草生い茂る淀川の河川敷である。
来る日も来る日も稽古を繰り返し、ネタを合わせ、時には互いを罵倒し合う。
トコトン漫才のクォリティにこだわる河本は妥協を許さない。
下らない楽屋話でお茶を濁す昨今の「ひな段芸人」に見せたいようなシーンである。(笑)
河本役の趙民和、高山役の波岡一喜、ともに好演だった。
とくに「パッチギ!」でも光っていた波岡の存在感が抜群であった。
イパンパクトあふれる青春映画だった。
映画の後は打ち合わせも兼ねた「お好み焼き」で締めた。
コテコテの「大阪漫才」と大阪の「粉もん文化」に酔い知れた一日だった。
またTプロデューサーとでしょうか?
映画!見てみたいです!
2人の万歳も見てみたかったです!
ハイ、おっしゃる通りです。
新宿から帰ろうとしていたのにTプロデューサーがら強引に誘われて・・・
たまには映画もいいものですよ!(笑)