
立ち飲みラリー山手線編は田町を終え、いよいよ品川へと進出する。
田町から品川は第一京浜ではなく、海岸通り方面から。JALシティの前を通り、南下した。
10年前はよく通った道。その訪問先Jスは横浜に移転してしまった。もう10年はここを通っていない。だが、風景はあまり変わっていないようだ。
梅雨はもうすぐのはずだが、穏やかな天気が心地よい。
殺伐とした第一京浜と比べて、ウォーターフロントの小道は23区内とは思えないほど牧歌的だ。
途中、芝浦水再生センターという施設が行く手を塞いだ。どうやら、東側に迂回しなければならない。その迂回分だけでもゆうに10分は余計に歩いた。
しかしながら、品川駅が遠い。さすが田町、品川駅間に新駅が誕生するだけのことはある。
水再生センターを抜けると、急に見覚えのある風景に出た。すぐそこはもう品川だった。ここもかつてわたしがよく通った道。現在は豊洲に移転してしまったが、かつてSップオンツールズがあり、週に一度この界隈をわたしは歩いた。
どれ、久しぶりに行ってみようか。そう思い立ち、わたしは新港南橋を渡った。すると思いがけない風景が眼前にあった。きれいなマンションが建ち、瀟洒なスーパーマーケットが見えるではないか。わたしが通っていた頃、橋を渡ると右側は古い団地だった。その1階はちょっとした商店街になっており、その一角におじいさんとおばあさんが経営していた小さなお惣菜屋があった。あぁ、あのおじいさんとおばあさんはどうしたのだろう。わたしはすぐさま気になってしまった。そのお惣菜屋があった場所に行ってみると、マンションの広場になっており、その一角が酒屋にとって変わっていた。
きれいな酒屋だった。それもそのはず、このマンションはここ数年で建てられたのだろう。かつてあったお惣菜屋さんとは雲泥の差である。さて、品川駅へと向かうかと踵を返そうとした瞬間、この酒屋が角打ちであることに気が付いた。何気なく見た立て看板にそう書いてあったからである。まさか、外から見てもそんな雰囲気は全く感じられない。とにかく、入ってみることにした。
お店に店員さんの姿がない。
奥に引っ込んでいるようだ。店内を見回す。コンビニのような造り。角打ちスペースは狭い。テーブルが3つ。もともと、角打ちを想定した店ではなく、どうやら後付したみたいだ。
ビールのラインナップは揃っている。いつも思うのだが、酵母に消費期限があるクラフトビールを在庫するリスクを負う店の勇気は称賛に値する。
わたしは、エチゴビールの「エチゴスタウト」をチョイスし、つまみは渇きもの系の「酸いか」とした。本当はうにせんべいが食べたかったのだが、この店には置いていなかった。
わたしは、スタウトとうにせんべいの取り合わせが一番おいしいと思っている。
レジに進んだが、店員はいない。仕方ないから、大きな声で呼んだ。
すると、不愛想なおじさんが出てきて、レジに立った。
日本のクラフトビール史の1ページを飾ったブルワー、エチゴビール。福助の絵が描かれたピルスナーは何度か飲んだが、このスタウトは初めて。
ワクワクしながら、口をつけると、意外にもホップが効いた青臭さが口に広がる。甘味はそれほどなく、スタウトっぽさがない。
いいじゃん、これ。
一気に飲みほし、またもや冷蔵庫に向かった。お次はヤッホーブルーイングの「東京ブラック」。
ポーターと呼ばれるビールだが、今度は胃にずしんときた。上面発酵の薄味さは感じられず、硬派。
東京ブラックなんて、名前もまたいいね。
お店がなんとなく居づらい雰囲気だから、そろそろおいとま。
品川駅から遠いし、この角打ちは穴場かもしれない。
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