大阪の飲食店街を歩けば、だいたい立ち飲みを見つけることができる。そんなに難しいことではない。大阪駅前ビルという建物に入り、店を物色すると「立ち飲み」と書かれた店がたくさんあった。でも、そのほとんどは座り。転んでしまったのか。
ボクはビルの中をくまなく歩き、探しあてた立ち飲みが、「しげ家」だった。大阪らしい簡素な造りの、コの字カウンター。男性2人が切り盛りする。
「ホッピーはないんだろうな」。
そう思って、メニューを見ると案の定、ホッピーはなかった。大阪の立ち飲み屋で、ボクはホッピーを見たことがない。
さて、何を飲もうかと思い、飛びこんできた文字が、瓶ビール380円。
まさか。
「たきおか」でも、今は大瓶が410円だ。消費税率が5%から8%に引き上げられた際、410円になった。この「しげ家」では、その分を店側が吸収したことになる。ものすごい営業努力だ。
まずは、その瓶ビールをもらった。
安価なのは、瓶ビールだけではなかった。
肴も80円から。メニューの中心が100円から150円というのもすばらしい。例えば、「ハムカツ」や「揚げ餃子」が、100円でラインナップされる。また、お造りは旬なものを300円で提供しているらしく、それもまた魅力的だった。
まずは「コロッケ」(100円)から。
「コロッケ」は恐らく、出来合いのものだろう。それをつつきながら、次に何を食べようかと、ホワイトボードを眺めていると不思議な名前の料理を見つけた。
「小松菜と揚げのたいたん」。
「たいたん?」
星?それとも鉱物?
いやいや、当然ながらそんな訳はない。多分、「炊いた」もの、だろうか。しかし、それを名詞にしてしまうのがすごい。ある意味、適当というか。
しかし、炊くというのが、関東人には分からない。よく、義母が炊く、という言葉を使うが、よく考えると腑に落ちない。炊く、は米だけである。したがって、野菜などを炊くというのはどういうことなのか。
蒸すのか。それとも煮るのか。
ボクは気になって、「たいたん」を頼んでみた。
しばらくして、運ばれてきたのは、「煮びたし」だった。薄味ではあるものの、間違いなく、関東では「煮びたし」と呼ばれるもので、出汁で煮たものだ。
そうか、西のほうでは、煮るを炊くというのか。
しかし、改めて思う。
「たいたん」て料理名、ありえない。
でも、煮物がある立ち飲みって、やっぱいいなぁ。
食べたくても頼みません(笑)。なんか言えません。
これって京都あたりだとあたりまえなんでしょうか??
銀座屋が良いです。
イントネーションが難しそうだね。標準語で「たいたん」は通じないかも。
京都の状況は、是非ふらいんぐふりーまん師から、コメントをいただきたいな。
あいさん。
大阪の立ち飲みの 懐の深さに、ただただ敬服しています。
「銀座屋」さん。
次回、大阪に行った際、寄ってみます。
情報ありがとうございました。
引き続き、よろしくお願いいたします。
で、「たいたん」だけど、確かに言う場合はある。京都や大阪では・・・。
http://www.weblio.jp/content/%E3%81%9F%E3%81%84%E3%81%9F%E3%82%93 ← ここでは京都では煮た物、大阪では煮物、煮付けという意味となってる。
実際、京都においては、「煮たもの」というそういう意味合いで使ってる。
ただ、この「たいたん」って言う表現、店とかのメニューとか、京料理本のレシピとかで、完全に「関西的な料理である」という事を意識しての、マーケティング的に使われている場合がほとんどな気がする。
それ故か、この言葉について調べてる時、抵抗や嫌悪感があるという人もネット上では少なくなかったねえ。
ちなみに自分の周りでは、日常での料理で、たいたんとは言ってないと思う。普通に煮物とかって言ってるなあ。
だってわざわざたいたんって言うと、狙ってる感じがしてちょっと恥ずかしい気もするし・・・。
おばあちゃんとか京料理の料理人が言うならまあそれはおかしいことではないと思うし、認識として、煮ることを炊く、という表現がおかしくないという感覚は、明らかに京都大阪ではある、ということは言えるだろうね。
でも、前述の通り、現代でそれを俺らが日常で使うのは、結構恥ずかしい感じになってしまうという、ま、そんな感じかなあ。
だったらなおさら関東人は使いづらいわけですね・・・・。
嫌悪感はありませんが、「恥ずかしい」がぴったり来ます。
「たいたん」の今が、よく分かったよ。
昔言葉なのね。
しかし、京都にしては、ずいぶん情緒がないように感じるんだよなぁ。なんか、なげやりな感じで。
関西のお店とか、京風系のお店があまりにも「たいたん」をマーケティング的に使いまくるので、僕らが日常それを使うのが恥ずかしくなってしまったという面もあると思います。
特に書いたり読んだりすると、恥ずかしい感じが倍増する気がします。(苦笑)
<師よ>
昔言葉だけど、死語というわけでもないんだよね。
先に書いた通り、基本文字にする言葉じゃないから違和感が際立つ気がするよ。
ちなみに、京都のおばあちゃんとかおばちゃんが、「○○のたいたん」って言うたら、メッチャ情緒あると思うで。(笑)
少なくても決して投げやりな感じはしないと思う。
そもそもが家庭料理で使う言葉をプロが雰囲気のために使うことがおかしいんだと思うよ。
話し言葉を名詞にした過程が、おかしいというか。
ご当地グルメだって、マーケティングばりばりだからね。恥ずかしくて、言えないメニューって、結構あるよ。