
「ひよこ」は駅から遠い酒場だったが、今度はかなりの駅近の店「魚荘」へ。
JR王子駅から徒歩30秒。まさに駅近のロケーションである。
落語「王子の狐」で登場する割烹「扇屋」さんはもう目の前。王子を代表する立ち飲み「平澤蒲鉾」さんの並びにある。
元々、この店を決め打ちしていたわけではなく、S栄印刷のMさんと待ち合わせをしたのが王子、適当に歩いて、この店を見つけた。見つけたと言っても、この店はビルの2Fにあって、普通に歩いている分には見つかりにくい。ボクらはたまたまこの店に辿り着いたのだった。
王子には飛鳥山があるように、駅の西側は武蔵野台地がそびえ立つ。区役所所在地の駅なのに、繁華街はほぼ皆無だ。このため、居酒屋の数もそれほど多くない。ましてや、大衆居酒屋ともなると、ほんの数える程度である。
例えば、王子で最も有名な店が「山田屋」だろうか。次いで、「一福」。それから、駅から少し離れるが「ヤマニ」あたりが、王子を代表する店だ。できれば、そういう店に行きたかったが、Mさんがいることで自重。そこで、Mさんに店をお任せする形で入った店が、「魚荘」だった。
そんな「魚荘」だったが、かなり大衆性の高い店だった。
いや、雰囲気からすると、もう定食屋さん。蛍光灯の光が強く、テーブルがチャチで、店内は結構ぐだぐだ。でも、かろうじて統制がとれているのは、おばちゃんのオペレーションと、おいしい肴である。とりわけ、充実しているのが魚。刺し盛りを頼んだが、素材が新鮮で、おいしかった。仕入れがいいのだろう。ボクは調子にのって、熱燗をいただいた。
Mさんは、スマホの音源をダイレクトで繋ぐスピーカーを買ったらしい。どうやら家入レオにはまっているとのこと。Mさんは、熱燗を飲まず、ボクだけ小さな猪口を口に行ったり来たりさせている。
周囲は皆、サラリーマン。
若い客は一人もなく、皆、白いワイシャツにどぶねずみ色のスーツである。
短冊メニューが壁にびっしり。
魚だけじゃなく、串焼きもあったりする。
いい酒場だ。
王子の知られざる居酒屋。
Mさんとは、いい酒が飲める巡り合わせのようだ。
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