
赤羽で仕事を終え、しばし街を散策。一月前も街を歩いたが、開けている店も少なくない。しかも客もだいぶ入っているのだ。
「まるます家」は灯りがともっているが、営っていない。テイクアウトのみの対応。その先に行くと、開いているお店が増えてくる。とある店の店頭で一人飲みしているおばさんがいた。スマホを見ながらジョッキを傾けている。そこに通りかかったおばあさんが、その女性に注意をした。
「外から見えてるよ」。
多分、堂々と飲むのはやめなさいと言いたかったのだろう。確かに、その女性の飲み方は見ていて見苦しかった。だらしないと言ってもいい。
注意された女性は、一瞬何が起きたのか分からず、動揺していた。
通りの入口あたりには、数人の客引きがいた。地べたに座り、コンビニ弁当を食べている輩もいる。赤羽も地に堕ちたな。
一通り街を回ったところ、営っているお店は7,8店くらい。一月前に通った時と同じメンツだった。需要も多く、大抵の店は混雑していた。その中で比較的空いているお店をチョイスして入ったのが、ここ。
「酒月 はなれ」。
「元祖千ベロ」らしい。大抵、元祖と名乗るのは怪しい事が多い。元祖と名乗れるのは釜飯の「おぎのや」くらいなものだろう。
では、この「元祖千ベロ」の実力でも拝見させてもらうか。
一階の一番奥の席に座り、店員のレクチャーを受けた。それによると、千円でドリンクは3杯と小鉢がついてくるという。ただし、この他に一品、つまみをオーダーせよ、とのこと。
一品頼め、なんて外の看板に書いてないじゃんと思った。
ルールを理解して、次に飲み物をチョイスしようと壁に貼られたメニューに目を移す。ドリンクメニューは豊富だが、全てのドリンクが対象という訳ではなさそうだ。メニューにある赤枠の中で選べとなっている。よく見ると、「ホッピー」は対象から除外されていた。
これはちょっとずるいな。元祖が聞いて呆れらぁ。
ならば、「酎ハイ」にしようかと、メニューをよくよく見ると、一品一品が高い。「のどごし生」、498円。「酎ハイ」498円。
そもそもの設定が高い。「のどごし生」って、ビールじゃないし。それが498円とは。税抜か税込かの表示はない。前提としては税抜でなければならないが、果たしてそうか。後で会計金額を検証したが、どうも税抜き価格の表示のような気がする。とすると、「のどごし生」547円、「酎ハイ」547円になる。
お店の魂胆が透けて見える。こうすることで、お客のお得感を高めているような。
仕方ないから、「酎ハイ」をオーダー。
タンブラーは腰が細くなったタイプ。一見シャレオツに見せて、内容量を少なくできるタンブラーね。これまたマイナスポイント。
小鉢は本当に小さなもので、内容は味付けメンマ。これはほんのお通しみたいなもんで、これでは千ベロは成立しない。
一杯目のドリンクとともに、「ドラえもん」のトランプが2枚、テーブルに置かれた。次の一杯からは、このカードと引き換えるというシステムだ。
一方、つまみをチョイスしようとフードメニューに目を移した。やはり、こちらも一品一品が高い。けれど、なかなか魅力的なつまみがあるのも確かだ。その中から「ハムカツ」をオーダーした。確か500円くらいしたかな。
「ハムカツ」は予想に反して立派なものだった。しかも、サクサクとしてうまい。惜しい。つまみはいいのに、店のシステムが胡散臭くてダメなパターン。
お店には何人もの店員さんがいた。男性2人に、女性一人。さすがに多いような気がするが、しっかり雇用を守っているのは立派。だから、営業しなければならないのだろう。ただ、女性店員がしきりに咳をするのは恐怖そのものだった。一回や二回の咳ではなく、5分に一度の割合で、激しく咳き込むのだ。マスクはしているが、至近距離で咳をされると怖い。店員さんが大勢いるのだから、自主的に休むか、お店側が休ませるかした方がいいと思う。
二杯目からは「バイスサワー」にした。その都度、「ドラえもん」カードが召し上げられていった。そのカードは「ドラえもん」の名言集だった。
一枚は「気にするな 人の値打ちは顔じゃない 頭だ 力だ」。
そしてもう一枚が、「誰でもなにかとりえがあるもんだねえ こういうくだらないことだと きみは実にうまい」。
自分に向けられた言葉のような気がしてきた。
落ち着かない飲みだったし、楽しくなかった。
咳き込む店員さんが恐怖だった。
お会計は1,600円余り。
千ベロセットに「ハムカツ」。ハムカツ600円ということはないと思う。ならば、メニューは税抜き表示では。ドリンクを単品でオーダーする人はいないと思うが、とにかく高額設定しているのがこすい。全然ベロベロになれなかったし。
まぁしかしこのままコロナ禍が続く事になれば、東京都内の歴史ある居酒屋さんも姿を消し始めるんじゃないかなぁ、そうなると酒場放浪記の吉田類さんも仕事が無くなっちゃったりして...
ハムカツ、チーズも入っているのですか?
こちらこそ、ご無沙汰してすみません。
訪問ありがとうございます。
アフターコロナは酒文化そのものを変えるような気がします。吉田類さんのようなおっさん酒文化はシュリンクしていくのでは。喫煙所が隅っこに追いやられたように。
今年も家でおとなしくするお盆ですね。
ジャンさん。
今回の外飲みが一番怖かったです。
「やっちゃった」って何度も思いました。
「ハムカツ」はおいしかったです。チーズ入ってました。
私、センベロって行ったことないです。
何だかシステムがめんどくさそうですね。
私には立ち飲みは合わないかな。。。
センベロはシステムではなく、安く酔える店の代名詞です。センベロというが一般化したことで、様々な店がセンベロに便乗し始めました。
この店のように、センベロセットとか、そういう商品を出して販促するようになったのです。その結果、単価を上げるために、分かりにくいルールを作るようになりました。
本来、センベロはものすごくコスパのいい店という意味なので、面倒くさいことなどひとつもありませんでした。だから、今わざわざセンベロを謳う店は怪しいと判断した方がいいと思いますね。
センベロは立ち飲みに限りません。
自分はジャンさんの定点観測的な飲み方が羨ましいと思っています。