〆のそばをいただいたし、そろそろ帰るかと駅の売店へ。もちろん、帰りの新幹線で飲む、酒の調達である。スナックは乾きものにするか、サンドイッチにしようかとあれこれ物色していると、濃い緑色の包装が美しい弁当が目に留まった。「伊豆北条寿司」と書かれている。その瞬間、あのオープニングが頭の中に響いてきた。
エヴァンコールさんのあの威勢のいいオープニング。
お弁当の横には、中身が分かる見本が置いてあった。おぉ、寿司といっても巻物か。これはちょっと好みではない。ただ、寿司ネタはないが、ブログのネタ的にはいい。ただ、値段が1,000円と高め。そばで〆て腹はいっぱい。ブログネタだけで、買うのはリスクあるな。
う〜ん、どうする熊猫。どうする義時。
と、言いながらも買っちゃいました。そのお供に「白壁蔵 吟醸」を侍らせて。
新幹線ひかりの自由席に座ると、疲れが一気にきた。なんだかいろんなことがあったなと車窓の暗闇を見ながら回想する。おっと、こんなことしている暇はない。何しろ、1時間ちょっとで東京なのだから。
「伊豆北条寿司」を袋から出し、包装をとると現れたのが巻物中心の折り詰め。
大きな太巻きとお稲荷を中心に結構なボリュームである。買う間際まで、ネガティブだったが、今見るとかなり豪華な組み合わせじゃないか。小さな巻物、卵焼きを合わせて、全10個。なんだ13人ではないのか。
ネットで検索したら、それぞれのお寿司には意味があるらしいことが分かった。以下、「あなたの静岡新聞」の引用である。
「太巻きは義時、ハス入りのいなりずしは源頼朝、ワサビを使ったいなりずしは北条政子をイメージした。卵焼きには北条家の家紋「三つ鱗(うろこ)」の焼き印を押した。」
義時、頼朝、政子か。
なるほど13人ではないのか。なら、合点もいくが果たしてどれからいただくか、とまたしばし考える。
役者は最後までとっておいて、最後にクライマックスとするか、それともいきなり鎌倉殿にいっちゃうか。はたまた、小四郎からいくか。
どうする熊猫。どうする鎌倉殿。
三谷幸喜さんの大河はこれまで3作、全て観てきた。「新撰組」も良かったし、「真田丸」だって素晴らしかった。もちろん、「鎌倉殿の13人」もいいのだが、「鎌倉」は最後の方が辛かった。謀反の名の下に次々と人が死んでいった。とりわけ、心にずしんと来たのが、畠山重忠だった。小四郎との殴り合いのシーンは大河史上、類を見ない長回し(実際はカットしてたが)の戦闘シーンではなかったか。
「次郎は決して逃げようとしなかった。逃げるいわれがなかったからです。所領に戻って兵を集めることもしなかった。戦ういわれがなかったからです。」
小四郎が時政に語るシーンがまた心をチクチクとさせる。
そんなことを回想しながら、「北条寿司」をいただく。酒がしみるし、お寿司がほろ苦い。いや、ほろ苦いと言うのはちょっと違うかも。重いのだ。いわれのない謀略で次々と静粛される時代が。そんな企てが渦巻く鎌倉の昔を思うと。はたして、この太巻きは、その諮らいの渦を表しているのか。重い。重すぎるる。
「あなたの静岡新聞」を最後まで読むと、こんなことも書かれていた。
「三島駅と土、日曜のみ韮山時代劇場(同市)の伊豆の国物産館で販売する。」
え? ということは駅で販売しているのは三島だけだったか。 これはなんと運が良かったことか。
そう思うと、「北条寿司」がおいしい思い出へと変わっていく。
どうした熊猫。
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