
家族を迎えに羽田空港に行った。20時近くの着陸まで、小一時間ほどある。どこかで、ビールでも飲もうか。
「エアポートダイナー」で、ジャンクなつまみを食べながら、一番搾りでも飲もうと思ったけれど、一階まで下がるのが面倒で他の店をあたった。ビールを飲みながら、ラーメンという選択肢も捨てがたいが、ここはグッと我慢して、蕎麦とビールというチョイスをした。
「酒処 つきじ庵」。
ただの蕎麦屋だと思ったら、酒のラインナップも充実しているようだ。
「出羽桜」、「獺祭」の美しい瓶が店頭のショーケースに並んでいる。これは、かなり期待できそうだ。
店はかなり空いていた。平日の夜なら客もまばらである。4人掛けのテーブルに、一人座った。
まずは生ビールとつまみ。
つまみは「肉豆腐」で。
さすが、蕎麦屋。鰹出汁に浸かった滑らかな豆腐と、さっぱりとした薬味が乗った、立派な「肉豆腐」が運ばれてきた。鰹出汁は角がとれてない荒々しいかえしのつゆで、この店の表情がそれでうかがえる。
さすが、「つきじ庵」。こだわりにつゆはエッジが効いてる。そうなると、俄然蕎麦が楽しみだ。この荒々しさに、どんな蕎麦を用意してくれるのか。
迷わず、「もり」を頼んだ。
そして、お酒を2合、冷やで。
酒をちびちび飲んでいると、運ばれてきた「もり」とつゆ。そして薬味。やっぱ蕎麦には、日本酒だ。香りのある蕎麦には、それを倍加させる主張の少ない酒が合う。
蕎麦はそれほど黒くなく、さりとて更級ではない。盛りはあり、100gは余裕である。食べごたえがありそうだ。蕎麦の香りは予想以上に強く、粉は恐らく国産であろう。
予想以上にうまい、と言ったら失礼か。
ともすれば、空港などにテナントする店は堕落するのが常だ。何故なら、営業所努力をしなくとも、ある程度の集客が可能だからだ。
その点、「つきじ庵」は、そうした驕りを感じさせず、謙虚に食べ物がうまい。
街の蕎麦屋という風情ではなく、羽田空港のテナントとして、気取ってはいるが、雰囲気は悪くない。
羽田空港の掘り出し物って感じの店である。
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