
出張先の長野で仕事を終えたのが1時半。
食べ損ねた昼飯を駅前にある「油や」というお蕎麦屋さんで食べ、店を出ても、まだお天道様が真上にある。まさか、この時間から居酒屋へ行くわけにもいくまい。
もっとも、居酒屋に行ったところで、ばれることもない(夕方会社に報告する電話でろれつが回ってなかったらばれるけど)が、真面目な熊猫は、この後新幹線に乗って帰京した。 本当はうまいもの処・酒処の長野で一杯やりたい未練を抱えて。
帰京といっても帰社するわけではなく、そのまま直帰を企てており、大宮到着が4時半、赤羽に着いたのが4時50分くらいだったか。赤羽から南北線に乗り換えるのだが、南北線の赤羽岩淵駅まではだいぶ距離がある。しかも、その道中には盛り場を通っていくことになり、その誘惑たるや人智を超えている。
あれ?デジャビュか?
この文章どこかで読んだことがあるような…。
さて、赤羽駅東口を出るやいなや、その目の前に、すっごい引力で引き寄せる居酒屋ひとつ。恐らく、東口を出たら真っ先にその店が目に飛び込んでくるだろう。店の名前は「大衆居酒屋 まるよし」。
実は熊猫、以前から気になっていた酒場だった。古い木造の建物に大きな看板。白い暖簾が清々しく、大きな赤提灯がまたお店に映える。格子の引き戸からは、中の様子が見えない。「相当な強者がいるだろう」。そう思い起こさせる店構えだ。
引き戸を開ける。
ガラリと乾いた音が心地よい。眼前にはコの字カウンター。既に客はいっぱいだ。
だが、手前角の席が辛うじて空いていた。オレはそこに腰掛け、チュウハイ(350円)と「煮込み」を頼んだ(何故、いきなりチュウハイを頼んだかは秘密である)。
マルヨシの「煮込み」は実にうまい。
モツに味がしっかり沁みて、深いコクがある。さすが、激戦区赤羽でしっかり客の支持を取り付けているだけはある。本物を出さなければ、ここ赤羽で生きていくことはできないのだろう。
赤味噌ベース、生姜は多くもなく少なくもなく。
大鍋で作らなければ、これだけ深い味わいにはなりえない。
したがって、スープは毎日新しく作り直すような代物ではないはずだ。
その間、お客の入れ替わり立ち替わりは激しい。
客層はサラリーマン3、高齢者(隠居)3、自由人風4といった感じ。
近所にパチンコ屋が多いため、勝利を収めたパチンカーがお店を訪れるのだろう。
さて、コの字カウンター横にある小上がりは3卓ほどあり、総勢15人ほどの客が入れるスペースになっている。ここに、3人のサラリーマンが入ってきて、ベテランお姉さんに「ホッピー3つ」とオーダーした。
それを聞いたベテランお姉さんは確認の意味を込めて「スリーホー?」と尋ねるが、サラリーマン集団らは要領を得ない様子。もう一度お姉さんが「スリーホー?」と聞くと、集団のリーダー役は「すみません、初めてなもんで」と白旗をあげた。
そこで、「スリーホッピーでしょ?」とお姉さんが尋ねて事なきをえた。なるほど、「スリーホッピー」で「スリーホー」か。
カウンター内では焼き物担当のおじさん、つまみを運ぶ2人の女性が従事していた。働くみなさんはもうベテラン。きびきびと仕事をこなしている。これは、人気のある大衆居酒屋に共通したことなのだが、働く人の動きは集客にも比例するのである。やはり、独特のリズムが客のリズムを作り、酒や肴を進ませているのかもしれない。
「煮込み」をスープまでペロリと飲み干したら、俄然調子が出てきた。
オレのひとつ向こうに座っているお兄さんが食べているのが、おいしそうに見えて「それ何ですか?」と聞くと「きゃべ玉だよ」と親切にも教えてくれた。
オレも「きゃべ玉」(320円)を貰うことにした。
お兄さんは服装から判断して「パチスロ」のように見えた。「まるよし」にはこれで3日連続で来ているという。そんな話しをしていると、今度はオレの右隣のおじいさんが話の輪の中に入ってくる。既に定年を迎え、齢は73歳だという。以前はカメラマンだったと豪語した。そのご隠居は「まるよし」に1日おきに来店するのだという。「同居している娘さん夫婦の目を盗んで」とのこと。
「きゃべ玉」が運ばれてきた。
いい香りが鼻腔をつく。
キャベツと卵の炒め物。
素朴だが、素朴であるが故に落ち着いて酒が飲めるというもの。
その期待に違わず、この「きゃべ玉」が実にうまい!
大衆居酒屋には、こうした和気藹々とした空気が流れている。
モツを焼くご主人もまた面白い方だった。
風体はコメディアン大泉晃氏のようであり、どこかとぼけた感じが店を和やかなものにしていた。
カウンター越しのお客と簡単に作れる一品料理のレシピで盛り上がっていた。
そんな彼の手さばきを見ていると、なんだか焼き物を貰いたい気分になってきた。
ここの焼き物は一本80円。安い。強烈に安い。これまでの当ブログにおける最安値は「ささのや」の70円均一。果たして、これに文字通りどう肉薄できるか。オレは皮とホーデンとハツを頼んだ。だが、暫くして、目の前に出されたのは、皮が3本。指摘しようかな、と思ったが、やめとくことにした。肉は少々貧弱だった。皮は充分すぎるほどの脂質だった。だが、これで80円ならまず納得というものだろう。
メニューの多さも素晴らしい。全て手書きの品書きにはざっと50~60種類のメニューがある。一品料理が多く、腹の足しになるものも多い。料理が出てくるスピードも早く、好感が持てる。
これこそまさに大衆居酒屋の醍醐味。
これだから、赤羽はやめられない。
主なメニュー(メモできた メニュー一例) チャンジャ290円・にら玉320円・豚肉しょうが焼420円・まぐろ納豆山かけ420円
食べ損ねた昼飯を駅前にある「油や」というお蕎麦屋さんで食べ、店を出ても、まだお天道様が真上にある。まさか、この時間から居酒屋へ行くわけにもいくまい。
もっとも、居酒屋に行ったところで、ばれることもない(夕方会社に報告する電話でろれつが回ってなかったらばれるけど)が、真面目な熊猫は、この後新幹線に乗って帰京した。 本当はうまいもの処・酒処の長野で一杯やりたい未練を抱えて。
帰京といっても帰社するわけではなく、そのまま直帰を企てており、大宮到着が4時半、赤羽に着いたのが4時50分くらいだったか。赤羽から南北線に乗り換えるのだが、南北線の赤羽岩淵駅まではだいぶ距離がある。しかも、その道中には盛り場を通っていくことになり、その誘惑たるや人智を超えている。
あれ?デジャビュか?
この文章どこかで読んだことがあるような…。
さて、赤羽駅東口を出るやいなや、その目の前に、すっごい引力で引き寄せる居酒屋ひとつ。恐らく、東口を出たら真っ先にその店が目に飛び込んでくるだろう。店の名前は「大衆居酒屋 まるよし」。
実は熊猫、以前から気になっていた酒場だった。古い木造の建物に大きな看板。白い暖簾が清々しく、大きな赤提灯がまたお店に映える。格子の引き戸からは、中の様子が見えない。「相当な強者がいるだろう」。そう思い起こさせる店構えだ。
引き戸を開ける。
ガラリと乾いた音が心地よい。眼前にはコの字カウンター。既に客はいっぱいだ。
だが、手前角の席が辛うじて空いていた。オレはそこに腰掛け、チュウハイ(350円)と「煮込み」を頼んだ(何故、いきなりチュウハイを頼んだかは秘密である)。
マルヨシの「煮込み」は実にうまい。
モツに味がしっかり沁みて、深いコクがある。さすが、激戦区赤羽でしっかり客の支持を取り付けているだけはある。本物を出さなければ、ここ赤羽で生きていくことはできないのだろう。
赤味噌ベース、生姜は多くもなく少なくもなく。
大鍋で作らなければ、これだけ深い味わいにはなりえない。
したがって、スープは毎日新しく作り直すような代物ではないはずだ。
その間、お客の入れ替わり立ち替わりは激しい。
客層はサラリーマン3、高齢者(隠居)3、自由人風4といった感じ。
近所にパチンコ屋が多いため、勝利を収めたパチンカーがお店を訪れるのだろう。
さて、コの字カウンター横にある小上がりは3卓ほどあり、総勢15人ほどの客が入れるスペースになっている。ここに、3人のサラリーマンが入ってきて、ベテランお姉さんに「ホッピー3つ」とオーダーした。
それを聞いたベテランお姉さんは確認の意味を込めて「スリーホー?」と尋ねるが、サラリーマン集団らは要領を得ない様子。もう一度お姉さんが「スリーホー?」と聞くと、集団のリーダー役は「すみません、初めてなもんで」と白旗をあげた。
そこで、「スリーホッピーでしょ?」とお姉さんが尋ねて事なきをえた。なるほど、「スリーホッピー」で「スリーホー」か。
カウンター内では焼き物担当のおじさん、つまみを運ぶ2人の女性が従事していた。働くみなさんはもうベテラン。きびきびと仕事をこなしている。これは、人気のある大衆居酒屋に共通したことなのだが、働く人の動きは集客にも比例するのである。やはり、独特のリズムが客のリズムを作り、酒や肴を進ませているのかもしれない。
「煮込み」をスープまでペロリと飲み干したら、俄然調子が出てきた。
オレのひとつ向こうに座っているお兄さんが食べているのが、おいしそうに見えて「それ何ですか?」と聞くと「きゃべ玉だよ」と親切にも教えてくれた。
オレも「きゃべ玉」(320円)を貰うことにした。
お兄さんは服装から判断して「パチスロ」のように見えた。「まるよし」にはこれで3日連続で来ているという。そんな話しをしていると、今度はオレの右隣のおじいさんが話の輪の中に入ってくる。既に定年を迎え、齢は73歳だという。以前はカメラマンだったと豪語した。そのご隠居は「まるよし」に1日おきに来店するのだという。「同居している娘さん夫婦の目を盗んで」とのこと。
「きゃべ玉」が運ばれてきた。
いい香りが鼻腔をつく。
キャベツと卵の炒め物。
素朴だが、素朴であるが故に落ち着いて酒が飲めるというもの。
その期待に違わず、この「きゃべ玉」が実にうまい!
大衆居酒屋には、こうした和気藹々とした空気が流れている。
モツを焼くご主人もまた面白い方だった。
風体はコメディアン大泉晃氏のようであり、どこかとぼけた感じが店を和やかなものにしていた。
カウンター越しのお客と簡単に作れる一品料理のレシピで盛り上がっていた。
そんな彼の手さばきを見ていると、なんだか焼き物を貰いたい気分になってきた。
ここの焼き物は一本80円。安い。強烈に安い。これまでの当ブログにおける最安値は「ささのや」の70円均一。果たして、これに文字通りどう肉薄できるか。オレは皮とホーデンとハツを頼んだ。だが、暫くして、目の前に出されたのは、皮が3本。指摘しようかな、と思ったが、やめとくことにした。肉は少々貧弱だった。皮は充分すぎるほどの脂質だった。だが、これで80円ならまず納得というものだろう。
メニューの多さも素晴らしい。全て手書きの品書きにはざっと50~60種類のメニューがある。一品料理が多く、腹の足しになるものも多い。料理が出てくるスピードも早く、好感が持てる。
これこそまさに大衆居酒屋の醍醐味。
これだから、赤羽はやめられない。
主なメニュー(メモできた メニュー一例) チャンジャ290円・にら玉320円・豚肉しょうが焼420円・まぐろ納豆山かけ420円
ってもういいですか?しんづれいしました。
感謝です。
しかし、ビール好きなわたしが何故ビールを飲まなかったか。それは永遠に謎ですね~。
この酒場おすすめです!
怪鳥!赤羽で直帰の日があったら、連絡してください。
ここ、行きましょう!
焼物も美味しそう・・・
アメリカにはない・・・懐かしくて涙が出そうな光景です。
しかし、「すりーほー」。。。
2人だったら「つーほー」になるんでしょか?!
そういうのは、極力外したくないですね。
それで、1番人気ってどうやって判断するかですよね。
周囲の人がほとんど食べている。それでも、よく分からなかったら、直接聞いてみるに限りますね。
「まるよし」の「きゃべ玉」「にら玉」は定番メニューだと思います(1番かどうかは不明ですが)。
「八起」(放浪記NO.0190)の「チャーメン」といい、赤羽はまさに魅惑の居酒屋が揃っています。
「スリーホー」はホッピーセットを3本頼んだからです。2本だと「ツーホー」なのでしょう。
そうそう、こないだ野毛に行ってみました。
すごいとこでした。
いやぁ、野毛も魅惑の町でした。
あそこは、大学生時代からたむろしていたので、
なんとも言い難い「自分に取っ手は大事な街」的な感じがします。
でも、また野毛の記事を楽しみにしています!
でも、あの路地裏の居酒屋群を見たら、もう血が騒ぎましたよ!
どれだけ、通えば全店を制覇できるのか。
いやぁ、マジですごいッス。