栃木と茨城、特に茨城の奥久慈にかけての旅行はわりかしと僕のお気に入りで、昨年は袋田の滝全面凍結のTVニュースを見ての日帰り見物を含めて3回(笠間周辺だけを加えると5回)も、今年も笠間から北茨城の旅に続いて2回目となる。栃木から奥久慈、さらに那珂湊、大洗と回っての欲張り旅を計画して、毎度のことながら忙しく走り回ってきましたよ。このコースはまず関東一番の焼物生産地があり、温泉や酒造もややマイナーだけれども一応あるしで、農産物や水産物が豊富で買出しもできるし、もう一つは前回初めて知って以来行って見たいと思っていた骨董市まで寄道する魂胆があったのですよ。
あまり早く出てもどこも開いていないので、7時頃自宅を出発、春休み前で比較的に空いているだろうの予想通り、8時半にはまずいつもの佐野IC近く、岩舟町にある三毳山公園に到着。まずここの栃木花センターの前に行ってみると、この時期4月中旬までは花フェスティバルが開かれていて、生花や品評会優秀花の展示などをやっていて今日は有料だと。聞けば山野草の展示はやっていないというのでこちらはパス。それで今年は暖かくなるのが早く、平年より2週間も早くカタクリやアズマイチゲの花が見られるというので、整備された園内の群生地だけの見学散策を。本当に二輪草や福寿草なども咲いていてカタクリはもう完全に見頃、今年は思いがけずいい時期に来られましたと。
広場ではフェスティバル客目当てにいつもの常設農産物直売所以外にテント販売が並び、名物佐野ラーメンまで準備しているし、少し離れた空地ではフリーマーケットも開催中。それらを一回りして駐車場に戻ればもう大きな駐車場も満車状態で、これでも早めに来たのは正解でしたね。テントには塩分が多い土で育てて甘いと評判の小振りなブランド品と似たトマトがあって、形が少し歪んで悪いからと安くなったのを買ったのだが、これは確かに今まで食べた中でも最高級の糖度がありましたねぇ。フリーマーケットではやや骨董的ガラクタを売るところもあったけれど、大した物は目に付きませんでしたな。面白半分で昔に硫黄を水を張って入れていたと記憶する大きなガラス瓶を1500円で買えば、何処に置くのと女房は怒ること、これを金魚鉢にすればどうでしょう奥様と僕は涼しい顔。中で死んだらどうやって取り出すのという反撃に、そりゃぁ針金を工夫してつまみ出せばいいじゃないかと、まぁこんな応酬をやりあうことに相成りました。
栃木花センター
大温室
カタクリ
農産物直売所
次は益子方面に行くついでと、結城市内にちょっとだけ寄道。ご存知結城紬で有名なところで、結城紬会館や大手問屋の奥順がやっている結城紬参考館を見学してみた。高いものでは数千万円、普通でも百万円以上という結城紬であるが、やや厚手の機械織らしきは20万円位からあったもののやはり高いですねぇ。この着物は軽さと丈夫さが特長だそうで、そういえば20年ほど前に初めて訪れた時に女房が買った、ここの紬の布製財布は6年以上の酷使に耐えたそうですよ。女房は昨年福島や山形で買った山葡萄やくるみ皮のバッグの内側に貼る生地にと、メーター2500円也の無地の紬を買い込んでいましたな。最近、結城中心街には蔵造りなどの古い商家が多く残っていると宣伝していたようだが、ズラッと並んで壮観というよりポツポツと点在といった感じで、川越のような町並みまるごとという強い印象に欠けるのが残念ですね。丁度12時近くということで手早くて旨い食事処がないかと買物した紬問屋に聞くと、目の前の中華屋のラーメンは美味しいですよと。車を止めておいて貰えるからと、見た目は田舎の食堂風で期待は出来そうもないのを承知で、昔風懐かしい味というラーメンを食べたら、まぁマズイという訳ではないものの我々にはややショッパかったですねぇ。時間的に余裕があるのなら、最初訪れたときに教えてもらって座敷で鰻を食べた喜久屋の方をお薦めしますよ。
奥順の結城紬展示
機織の様子が見られる
さて今回の最初の焼物の里は益子焼に。しかしここでも手前には我々の関所となるものがあって、銘柄燦爛の蔵元である外池酒造に立寄ることとなる。濃い味わいが好きな向きにはお薦めの酒で、この時期にしかないアルコール度が高い生酒原酒を買うことに。こういう時期でも火入れしていない生酒は高温になる車内に長く置くのはご法度で、車では常に持ち歩くことにしているアイスボックスは必需品なのです。
外池酒造の屋敷門
益子には共販センターもあるメインの通り一郭が道路整備されて広くなり、昔の薄汚れた感じから一変、奇麗な街路の陶芸の路になりました。我々がここに来るとまず最初に入って物色するのが、陶庫という大谷石造りにガラス張りの風情ある店。益子駅から歩けば整備された街路の最初にあって、昔の大谷石の蔵倉庫を改装して店の一部にしているのでこの店名を付けたらしく、シャレた外観がまず目に留まるはず。益子の人気作家の作品を中心に比較的に良いものを揃えているので、是非ここからスタートしましょうとなる。
陶庫
店内
ちなみにこの店の一軒手前が陶器の路の起点で、そこには日下部染物店といって茅葺屋根で町文化財になっている藍染工房の建物が庭越しに見えるので、こちらも必ず見学していくことをお薦めします。藍甕の数では僕が今まで見た中では最大規模で、この時期はまだ発酵温度を確保するため加温しながら作業している様子を見られると思います。作品も展示販売されているし、奥の棟にはギャラリーもあるからそちらは一声掛けて中に入りましょう。今回は桜がテーマの染めを中心に展示されていて、女房はテーブルセンター用にと、花柄を白く残して濃淡に染め分けた寸法売りの生地を50cmだけ購入して自分で縫うとか、ケチ根性なのか自分の手作りを楽しむのかどちらなんでしょうかね。ここではもう15年以上前に先代のお爺さんが染めた鯉の図柄の暖簾を買い求めたが、代替わりしてからは同じものはまだ見掛けたことはありません。今の染めは全体的な感じがやや硬いものになっていて、先代の作品はもっと味があったように思います。その当時結構高かったんだけどよくぞ買っておいて良かったなとつくづく、我家の玄関に掛けて楽しんでいますよ。
日下部染物店
鯉の図柄の暖簾
また益子焼陶器の路に戻って店々を探索する前に中心部の丘の上、浜田庄司の屋敷も移築してある陶芸メッセ益子の展示館には、この地の作家の作品がほぼ網羅して展示されているから、その中から自分の気に入ったものを見つけてから巡るのも良いかと思います。また笠間で修行した大塚啓三郎が江戸末期にここに窯を築いて始まったという益子焼を、全国区に有名にした浜田庄司の作品を展示する益子参考館も訪ねておきたいところです。現在ここで人間国宝に指定されているのは島岡達三で、象嵌線模様の民芸風作品は数が多いこともあって比較的に安い方なのだが、それでもかなりしますよ。ほかに焼物の店ではクラフトやまにとかつかもと陶芸広場などが大手、個人作家の店では添谷などにちょくちょく立寄ったが、最近は通りすがりの足早訪問ばかりとなっていました。今回よく見ればこの街路には石工芸の店や新しいシャレた店が増えているようで、またジックリと見て回ろうかなと、温泉も湧いたことだし泊まりもありかなと。今回は大家佐久間藤太郎の孫という、佐久間藤也作の益子らしい茄子の図柄の六角中皿を2枚と、和茂吾作の湯呑1個だけでオシマイ。益子焼は土物でやや焼きが弱いものが多いので欠けやすいのが難点、その分厚づくりで重さがあるから注意して使って下さいよ、と奥方様にお願いしておきます。
益子での食事では笠間方面に行く途中の丘の上にある、味のかけれ里鎌倉の雪の下という店はかなり品の良い蕎麦を食べることができると、外池酒造の社長がオススメと教えてくれた。隣にある丸山はフランス料理の高級店と聞いたがが、二つともその名前通りで鎌倉にある店ではないでしょうか。<これらの店は閉店してしまった>