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このタペストリーはもう20年以上昔に子育てが一段落して夫婦で遠出の旅行をし始めた頃に、喜多方の民芸品店でもっと小さなパッチワークのクロスが気に入ってラベルを見たら、その次の日に行く予定だった米沢の工房名があったので翌日着いてから電話帳で調べて立寄り購入したものなので、思い出がかなりある。
電話して道順を教えてもらって訪ねたのだが、古い古民家屋敷が工房でいくつかのタペスタリーの中から一番大きいこれを選んだ。まだこういうものを買うようになった初めの時期だったのだ。工房は老夫婦でやっていて、二人が集めた古布を作り手に出して加工してもらっているということだった。工房名は青園工房といって、ご主人は女流日本画の上村松園の遠縁だそうで、憚ってその松を青に変えて同じ呼び名にしたのだそうだ。以前には筒描の染布を大量に集めて売っていたそうで、その当時でももう良い物は無くなってきて商売も終り、我々も老人でオシマイなどと冗談を言われていた。
このご主人、もっとあとになって女房が読んでいた婦人雑誌に、日本有数の古布の収集家ということで顔写真入の記事が載っていた。ネットで調べたら米澤復古会の会員としてまだ工房名が掲載されているようだが、何方かがあとを継いだのでしょうね。
日本の民芸刺子では津軽こぎん刺しを筆頭でこれは高価で買えません、我々がもっているのには庄内刺子、南郷刺子、飛騨刺子などがある。柔道着や剣道武具にも刺子を応用しているし、消防員の半被も刺子がしてあって、日本中には民芸ものはもっと沢山あるでしょうね。僕が子供時代には穴が空いた靴下を母親が刺子みたに縫ってくれて、何回も何回も穴を補修して履いていたものだが、これも懐かしい思い出になってしまった。