輸送包装研究室

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パレットに段積みされた段ボール箱の強さ

2015-12-11 13:38:43 | 日記
フォークリフトなどの荷役機器で効率よくハンドリングするためにパレットが用いられています。

大型トラックの荷台寸法の関係上、例えば1辺の長さが1100mmの正方形パレットが用いられます。
海上輸送で用いられ、陸上輸送でも兼用されているISOコンテナはそのサイズが厳格に決められていますが、
パレットの大きさはひとつに統一できておらず、物流の効率化という観点からは今一歩というところです。

また、段ボール箱の大きさは中身の大きさによって様々ですので、パレットの上に効率よくかつ不安定に
ならないように積んでいくために、工夫が凝らされています。逆にパレットにきっちりと収まるように
1箱のサイズをあらかじめ決め、場合によっては中身サイズを決めるときもあります。

段ボール箱をどの程度の強度にすればいいのかは、簡単そうでなかなか厄介な問題です。
倉庫などでは段積みされますので、最下段の段ボール箱に大きな荷重がかかっても潰れないような
事前の検討が必要です。

さて、パレットに積まれた状態で、パレット化された段ボール箱集合体の強度はどの程度になるのでしょう?

パレット上に1段当たり8個積まれた場合には、段ボール箱1個あたりの強度の8倍の強度を期待しては
危険です!!

段ボール箱の強度は、箱の周囲長さと非常に関連があることは知られています。

そこで、われわれは、これまでにパレット積みされた状態の段ボール箱の上下の箱の周囲が合わさってる長さの
割合を、EBPRという指標で定義し、パレット積みされた状態の強度を予測できる非常に簡単な実験公式を
導きました。

先週の金曜日には、1月から卒業までの3ヶ月間の船舶実習に望む4年生の卒論発表会があり、
彼は、上下2段積みの箱を、わざと縦または横にずらした状態での段ボール箱強度実験を行った結果を発表してくれました。
その結果、過去の研究で導き出したパレット積みされた段ボール箱強度算定公式とは少々異なるものの、
たった2つの箱を用いた実験でもいろいろなパターンで積まれる状態での強度を推定できるかもしれないことを
示唆できました。

以上の結果は、いづれどこかでその結果を公表できると思います。

そして、また一人、研究室を後にして、大海原へ出て行く若者を送り出すことができました。

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