小寄道

日々生あるもの、魂が孕むものにまなざしをそそぐ。凡愚なれど、ここに一服の憩をとどけんかなと想う。

小さな正義・実践編

2018年01月27日 | 日記
  「小さな正義」を実行することは、とても難しく、それを行う機会も少ない。 その偶然の場に居合わせたとしても、「小さな正義」を実践できるか、そのハードルは高い。実践する前に、自分の気持ちのポテンシャル、まず声を発するという前段階で気後れしてしまう。 東京新聞に掲載されたその実践的な記事が、最近たまたま目に留まったので紹介する。 女子中学生がバス停で待っているとき、中年女性2人がゴミをポイ捨 . . . 本文を読む

『この世界の片隅に』のエロス的問題

2018年01月25日 | 芸術(映画・写真等含)
  映画『この世界の片隅に』について、面白くしかも記憶をえぐられるような論評を『極東ブログ』で読んだ。『極東ブログ』は、私がブログを書き始めたとき既に、群を抜く人気ブログであり、その知的ハイブローな記事を読むにつけ、ブログを書く上での模範、ひとつのスタンダードになった。 『極東ブログ』の著者は「違和感というのでもない微妙に、もにょーんという感じが残った」としながら、『この世界の片隅に . . . 本文を読む

雪の下のどんぐりを想う

2018年01月23日 | 日記
  今日は昼間から雪が降りだした。何年ぶりかの大雪予報がでた。ご近所で雪掻きができる成人男性は私ぐらいしかいず、しかも私がいちばんの年少である。少子化どころではなく、無子高齢化が、我がご近隣の実態だ。明日が思いやられる。(夜に人が通れるぐらいの道幅を雪掻きした。体はきついが、後からぽかぽか温まってきて、心は軽い) ▲午後3時頃、自室から銀白色になりつつある街を眺む。 前回の最後に「どんぐ . . . 本文を読む

我を忘れて、狂え

2018年01月20日 | 日記
  なにせうぞ くすんで 一期は夢よ ただ狂え     閑吟集   大岡信の「折々の歌」に紹介されていた。室町時代の歌謡。この時代に流れていた無常観を突き放すかのような言葉だ 「なんだなんだ、まじめくさって。人生なんぞ夢まぼろしよ。狂え狂えと。『狂う』は、とりつかれたように我を忘れて何かに没頭すること。無常観が反転して、虚無的な享楽主義となる。そのふしぎなエネルギーの発散」なぞと、大岡らし . . . 本文を読む

今そこにある、小さな正義を

2018年01月18日 | エッセイ・コラム
  ワインスタイン、「はあちゅう」さんにセクハラをした電通クリエイターの何某が、どんな行為、セクハラに及んだのか、ネットで読んで具体的に知っている方は多いだろう。彼らの「やりかた」はまず「立場の違い」を明確にし、その関係性から強迫していく。権威あるもの、上に立つ者・・才能ある「俺」、責任ある「俺」、優位にある「俺様」を強調していく。 そうやって懇々と、そのとき、立場が消え入りそうな目の前の女性 . . . 本文を読む

男と女のあいだの溝とは

2018年01月15日 | エッセイ・コラム
  もはや旧聞に属することになるが、一言書きおきたいので記す。  フランスの大女優カトリーヌ・ドヌーヴと100 名の女性たちが、注目すべき声明を発した。1月11日付の東京新聞に、その内容を紹介する記事があった。タイトルが「女性口説く権利ある」となっている。これだと、女性側に権利があるように誤読される。正確には、全文を読むと「男性には、女性を口説く権利がある」となる。本文に導くリードには、「過度 . . . 本文を読む

「かわいい」をめぐる二、三の事柄

2018年01月13日 | エッセイ・コラム
  先日、70歳で亡くなったフランス・ギャル(1960年代後半「夢みるシャンソン人形」でフランス国内、日本でヒットしたフレンチポップ歌手)とシャルル・アズナブールのことなど、竹下節子さんとコメントを交わした。文字通り「ギャル」、かつての可愛いフランスのアイドルが、「大人のおんな」として成長したこと。そこに人間としての成熟した女、あるいは本質的なフランス風のフェミニズムを見出すことができた。 竹 . . . 本文を読む

『手話を生きる』を読む

2018年01月08日 | エッセイ・コラム
    ▲この女の子に見覚えある方いませんか?  まず最初、地元の書店・往来堂(※別掲)で偶然、この本を見つけた。手話の本は珍しかったし、表紙の女の子の顔でピーンと来た。ブログにも以前書いたのだが、品川区にある、手話を第一言語としている「明晴学園」を思い出した。そう、NHKのEテレ『ハートネットTV』で放送されたドキュメンタリー「静かだが、にぎやかな学校」で、その小学部6年生の生徒会長だ . . . 本文を読む

「ゴッホ 最期の手紙」をみた

2018年01月05日 | 芸術(映画・写真等含)
   ▲炎の人フィンセント・ファン・ゴッホ 拳銃自殺したが死に至らず、その傷がもとで死亡。しかし、その真相は・・。 作り手たちの情熱がひしひしと伝わってくる映画だった。実写の映像をわざわざアニメーションにした。現在進行のストーリー部分はカラーで、ゴッホそっくりのペインティング・タッチと色づかい! 過去を振り返るときの映像はモノクローム。カラーよりも、逆にリアルさを際立たせているのだが、白黒 . . . 本文を読む

2018年01月01日 | エッセイ・コラム
あけまして、おめでとうございます。  去年の11月、吉村昭の文学記念館に行った。そのつながりから尾崎放哉の句集を読んでみようと、積ん読棚から文庫本を引き抜いた。今も時々、思いだして拾い読みしている。 放哉(ほうさい)は、一高・東大法卒の超エリート銀行員だったが、30代の後半、酒で失敗し借金も作り転落した。その後、妻にも見放され、種田山頭火と同じ自由律俳句を詠みながら放浪し、終焉の地小豆島にて肺 . . . 本文を読む