小寄道

日々生あるもの、魂が孕むものにまなざしをそそぐ。凡愚なれど、ここに一服の憩をとどけんかなと想う。

草臥れても、朽ちぬように

2020年09月28日 | 日記
くたびれる 疲れて草に臥す意の当て字だそうな。漱石も使ったような漢字に思えるが、語源はいつごろなのか分からない。(調べたら『詩経』からだった。ネットでは諸説あり) 今では着古した服や使い倒した靴・鞄なんかにも「草臥れた」なぞという。もちろん大きな声では言えないが、人間にも使ったりする。「くた」は、憔悴する意の「くたばる」のくたと同じで、「くつ(朽つ)」「くたす(腐す)」と同源だそうで、語感からし . . . 本文を読む

北欧映画について、断片的に

2020年09月25日 | 芸術(映画・写真等含)
最初、デンマークの作家ユッシ・エーズラ・オールスンの警察小説〈特捜部Q〉シリーズの新作『アサドの祈り』の読後感想について書こうとしていた。 その導入として、北欧の映画にふれる必要があり、何としたことか、こちらの方に比重がかかり、自前の思考分裂がはじまった。この際、結末がどうあれ、北欧映画について書かないと、自分のなかで収まりがつかない。それにはまずベルイマンを語るしかない、ということの前書きであ . . . 本文を読む

試詩10:寄りそってくれるもの

2020年09月18日 | 
寄りそってとか寄りそいながらとか今どきの言葉なんだろうかよく聞くフレーズですね新しい天皇さまも国民に寄りそいながらと決意をのべていらしゃった 寄りそっていくのはたいへんなことだと思うだって片時も離れないってことちょっとの間もそばから離れないちゃんと見守っていますってことトイレのときはまあしょうがないけど 僕には寄りそってくれる人がいないそれはしょうがないことだしはなからあきらめている犬だったら . . . 本文を読む

百日白(さるすべり)、過ぎ去りし夏の・・

2020年09月11日 | 日記
百日紅は、その字義を辿れば、当て字だということはわかる。江戸時代には夏の花として親しまれ、100日もの長いあいだ紅い花を咲かせることから「百日紅」と名づけられた。ものの本には、中国南部が原産で、「紫薇」(しび)という漢名で渡来したとあった。こちらの名の方が、由緒ありそうで格調高い。ご承知のとおり、和名の「さるすべり」は木肌がつるつるとして、猿でもすべるという意からきている。ただし、滑らかな樹皮の幹 . . . 本文を読む

善悪の彼岸へ、ウィルスのこと

2020年09月07日 | エッセイ・コラム
愛よりなされたことは、つねに善悪の彼岸に起る。(153) ニーチェ (新潮文庫)   地球誕生からの歴史を「一年史」で譬えると、我々人類ホモ・サピエンスは、大晦日、それも最後のほんの数秒を生きているにしか過ぎない。ウィルスはといえば、新緑の美しい5月の初めごろに誕生したらしい。ウィルスは自然のなかの生物に寄生し、揺り籠の中にいるかのごとく静謐を保っていた。地球生態系の安定した、収まり . . . 本文を読む

スウェーデンにみる、冷徹な死生観

2020年09月03日 | エッセイ・コラム
期せずして、という言い方が適当かどうか分からないが、先日のビデオニュースでは、「感染が拡大してもスウェーデンが独自のコロナ対策を貫ける理由」と題して、ゲストに元駐スウェーデン特命全権大使の渡邉芳樹氏を招き、その独自性を打ち出したバックグランドや実情、さらに日本の課題とすべきテーマなどが議論された。 筆者もスウェーデンのコロナ対策について2回ほど記事を書いていて、いわゆる「この国のかたち、人のあり . . . 本文を読む