小寄道

日々生あるもの、魂が孕むものにまなざしをそそぐ。凡愚なれど、ここに一服の憩をとどけんかなと想う。

声は楽器のごとく

2019年07月29日 | 音楽
声はその人の身体のイメージ、心理の全体を伝達する。    R.バルト『第三の意味』 自分の顔についてあれこれ言われたことはない。ただ、声についていえば、いい声だと誉められたことがある、複数の女性から。落ち着いていて、高からず低からず、発声の艶(つや)のようなものが、わたしの特徴を端的に表しているのだと。もちろん、世辞であったろう。 自慢話をしたいわけではない。冒頭にあるバルトの言葉通り . . . 本文を読む

他人様に己を晒すときの涙

2019年07月27日 | エッセイ・コラム
芸能ニュースにはほとんど関心がないのだが、今回の吉本興行の一連の報道は、タレントと社長のそれぞれの記者会見が、嫌がおうにも目に入ってきた。内実について関知しないが、タレント側が二人ともに、男泣きしながら事実を、本音・心情を語る。一人は、よくこんなに泣けるなと思うくらいボロボロ泣いていた。 この光景をみて、彼らはつねに自分を意識・演出している、そんな芸能人の性(サガ)みたいなものを感じた。それは彼 . . . 本文を読む

フリージャズ、咆哮の夜

2019年07月23日 | 音楽
二、三回ほどしか入ったことのない居酒屋で、独り寂しくカウンターの片隅でちびちびと呑んでいた。奥の方でつなぎの作業服を着た年配の女性がひとり、テレビを観ながら店の主人と談笑している。まさにこれが居酒屋の雰囲気だなと、悦に入る境地を味わう。 しばらくして、齢の頃は5,60代の男性二人が入って来て、小生の後ろのテーブルに着いた。焼酎のなんとか割と、ししゃもだけを注文した(当ては水雲酢)。店の主人が炭に . . . 本文を読む

月一原発映画祭、今もなお

2019年07月20日 | エッセイ・コラム
フクシマ原発事故に関する映画・ドキュメンタリーを観た方はたくさんいるだろう。事故後は当然だが3,4年前でも、NHK制作はじめ様々なスペシャル番組は放映された。民放でも深夜枠ではあるが、被害・避難者のドキュメント番組などを観ることができた。もはや8年も経つと、観る機会が少なくなったのは、さびしい限りだ。 それよりも今、運転されて40年が経過する原発が目立つようになった。廃炉になるかと思いきや、各地 . . . 本文を読む

無明のなか、本願もない

2019年07月17日 | 日記
参院選の趨勢は明白である。さしたる変化もないだろう。 もう私には政治的な情勢とか、現実の諸問題に関してあれやこれや考える気力が萎えている。それ以前に、もはや思考の極限において行動するひとを見かけないし、「現在」を参照する、的確かつ公正な分析者さえいないのだ。 正統なるマスコミは崩壊し、もはや現実そのものがなしくずしなのだから、将来の世界を想定してものを言うことは憚れるのだろう、頭のいい人は。 . . . 本文を読む

春樹が未映子に諭したこと

2019年07月13日 | 本と雑誌
まず最初に。これは2年ほど前の本を取り上げたもので、時流から外れたものであることを、あらかじめお断りしておく。(ゆえに、読む価値を割り引いていただくと助かります) 先日古本屋に寄って、町田康のフォトエッセイ集『爆発道祖神』と一緒に、川上未映子と村上春樹との対談本『みみずくは黄昏に飛びたつ』を同じ金額で買った。   以前、この新刊書が出たときに、店頭でざっと前半の方を斜め読みして . . . 本文を読む

思うように書けたら

2019年07月10日 | 日記
現在のGooブログに、なかば強制的に引越しさせられて、約5年経った(正確には1761日)。 いろいろな面で使い勝手が良くなって、思わぬ恩恵、発見もある。どこぞの誰かが(といってもGooの中)小生のブログに訪問中であることを、「アクセス解析中」なら確認することができるのだ。訪問するのは、せいぜい一人がいいところだが、その方のブログを逆にこちらもアクセスできるようになる。 そこでお互いの興味や関心 . . . 本文を読む

七夕の日に、なにを願うか

2019年07月07日 | エッセイ・コラム
遥か昔になるが、たぶん小学校だったか、七夕だというので短冊にお願いごとを書き、それを竹笹の茎に括りつけた記憶がある。クラスの皆で笹に色とりどりの飾りつけをし、先生が用意した和紙に、それぞれが願いごとを書いた。 どんなことを書いたのか、なにも覚えていない。野球が上手くなるようにとか、そんな子どもっぽいことしか思いつかない。女の子のなかで、世界が平和でありますようになんて、今となれば褒められることを . . . 本文を読む

英国建築事情、その勉強カフェにて

2019年07月03日 | 日記
30日の日曜日、月一映画祭の会場となる「谷中の家」にうかがった。 映画祭主催の一人でもあり、「谷中の家」のオーナー西川直子さんは、建築専門誌『建築ジャーナル』の編集・発行に長い間携わっており、その道のプロフェショナルでもある。あの3.11の直後に、築60年の民家を木造耐震補強し改築された。谷中の町並みにもしっくり溶けこんだ、瀟洒でセンスある木造住宅に蘇らせたのは、町の景観と住宅との関係を真摯に向 . . . 本文を読む