小寄道

日々生あるもの、魂が孕むものにまなざしをそそぐ。凡愚なれど、ここに一服の憩をとどけんかなと想う。

「ゴッホ 最期の手紙」をみた

2018年01月05日 | 芸術(映画・写真等含)

 

 ▲炎の人フィンセント・ファン・ゴッホ 拳銃自殺したが死に至らず、その傷がもとで死亡。しかし、その真相は・・。

作り手たちの情熱がひしひしと伝わってくる映画だった。実写の映像をわざわざアニメーションにした。現在進行のストーリー部分はカラーで、ゴッホそっくりのペインティング・タッチと色づかい! 過去を振り返るときの映像はモノクローム。カラーよりも、逆にリアルさを際立たせているのだが、白黒の映像は落ち着きと味わいがある。ゴッホやゴーギャンの実在感が増した。 

兎にも角にも、衝撃的なアイデアが形になった映画。ゴッホの油絵が動いている感じなのだ! ゴッホの鮮やかな青、赤、黄色が再現される。カンバスにペインティングされる筆使い、その微妙なタッチもアニメーションで表現される。これを観るだけでも価値がある。

後で調べたら、3ヵ月で約580コマ描いても作品にしたら1分弱にしかならない。これに関わった画家は125名で、全部で62,450枚もの油絵が描かれたという。日本人の女性画家も1名加わっていて、その方のインタビュー記事も読んだ。(画家 古賀陽子さんが語る『ゴッホ~最後の手紙~』制作の裏側 ⇒http://www.webdice.jp/dice/detail/5500/

 

 

    ▲このように完全な映画をつくり、アニメーションにする。ガシェ医師の娘マルグリット役を演じたシアーシャ・ローナン。

監督・脚本は、ポーランド人女性ドロタ・コビエラと実際のパートナーであるイギリス人のヒュー・ウェルチマンの二人。ドロタ・コビエラの「ゴッホの油絵をアニメーションにする」という型破りのアイデアから始まったという。まさしくビッグ・ピクチュアの実現をウェルチマンが物心両面で支えたということだろう。

通常の映画をつくって、それをもとにアニメーションにするのは過去にもあった。しかし、画家のタッチそのままの表現手法でアニメ化しようなんて、まず制作費と人材・労力を想定しただけで計画は頓挫する。その意味でも、この映画は革新的なのだ。 

去年の暮にこの映画を観た方の素晴らしい感想をきいていた。それにインスパイアされ、自分のブログに「ゴッホの狂気」を書いた。是非とも見たい映画だった。今回はじめて映画館にて吹き替えバージョンの映画を鑑賞。字幕だと画面上の油絵が損なわれるかもしれないから、「敢えて吹き替えの方が御すすめ」というアドバイスに従わせていただいた。大正解であった! 

▲ゴッホの実作品にもある郵便配達夫ルーランとその息子アルマン(主人公)

アルマンの吹き替えが山田孝之で、父親はイッセー尾形であった。去年、神保町の美術専門の古本屋でイッセー尾形を見かけた。折しも映画「沈黙」を観たばかりで、嬉しくて声をかけたくなったが自制した。美術が好きなんだと思ったが、このゴッホの映画や、美術展にもイッセー尾形は関わったという記事がネットにあった。

映画についての概略は、公式のサイトに詳しくかいてあるのでここでは触れない。以上、貼りつけた画像も公式サイトにあったものを転用させていただいた。

「 ゴッホ~最後の手紙~」公式サイト ⇒http://www.gogh-movie.jp/

 


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