小寄道

日々生あるもの、魂が孕むものにまなざしをそそぐ。凡愚なれど、ここに一服の憩をとどけんかなと想う。

『そこにすべてがあった』を読む

2022年02月26日 | 本と雑誌
  『そこにすべてがあった』という書名は、本の内容を的確にしめす題名とは思われない。だが、装丁をトータルにみると、この暗示的な言葉は惹句としては良い。副題に『バッファロー・クリーク洪水と集合的トラウマの社会学』とあり、これでおおよその見当を知ることができる。 著者はカイ・T・エリクソン、出版社は「夕書房」という会社。地元の本屋の、社会科学系のコーナーに4,5冊ほど平積みされていた . . . 本文を読む

ロシアがウクライナに侵攻<侵略した

2022年02月25日 | 日記
遂にロシアがウクライナに侵攻(侵略)した。最悪のシナリオが現実のものとなったという思いだ。いや、少なくともアメリカの要人たちは、起こるべくして起こったと苦い思いを共有したであろう。 ロシアの侵攻は、侵略の実戦プロトコルを確実に現実化したものであり、ウクライナの主要軍事基地を次々と攻撃した。首都キエフ、南のオデッサ、そして東部のルガンスク、ドネツクの両共和国(?)、さらにウクライナの主要軍事基地を . . . 本文を読む

ウクライナに関する2,3の私見

2022年02月22日 | エッセイ・コラム
ビデオニュース(会員20年)でロシア政治の専門家・慶應大学総合政策学部の廣瀬陽子教授をゲストに招き、一触即発の危機だとされるウクライナ情勢論議が放送された。以前、ロシアがクリミア半島を電撃的に併合したときにもゲストに招聘された廣瀬氏。穏やかな語り口ながら、その緻密な情勢分析には確たる論拠があり、成程と唸らせるものがある。偏ったロシアプロパーではなく、アメリカを基軸にした国際関係論にも精通している研 . . . 本文を読む

モデルナ打って進む、老人性優越感症候群

2022年02月19日 | 日記
このほど厚労省のワクチン副反応検討部会より「3回目交互接種した人の、1か月後の副反応結果」が報告された、と朝刊の一面にあった。 記事のタイトルは「モデルナで高い抗体価」とあり、主に医療従事者のそれを調べたものであろう。要するに、ファイザー製ワクチンを2回打って、3回目にモデルナ製を交互接種した人の方が、3回ともファイザー製を接種した人より、抗体価の上昇率が顕著であったということ。ただし、副反応に . . . 本文を読む

賢太と慎太郎②

2022年02月15日 | エッセイ・コラム
前回の続き まず前置きとして、石原慎太郎について詳しく知らない。だから語る資格はないし、知ったようにものを書くのは不遜である。では止めますというのでは、読者に失礼だ。この身のダブルバインド状態を、ちと伝えたかった次第である。以上 優れた「石原慎太郎論」はあるか。巷では江藤淳のものが評価高い。江藤は神奈川の湘南高校にいたとき、石原慎太郎と同窓生であった。石原が35歳のとき国政選挙に打って出た。文 . . . 本文を読む

賢太と慎太郎①

2022年02月13日 | エッセイ・コラム
  西村賢太氏の作品の魅力はその人生の公理といおうか虚構といおうか、人々が実は密かに心得、怯え、予期もしている人生の底辺を開けっぴろげに開いて曝けだし、そこで呻吟しながらも実はしたたかに生きている人間を自分になぞらえて描いている。それこそが彼の作品のえもいえぬ力であり魅力なのだ。私小説は日本独特の領域ともいわれるが、私はそうは思わない。優れた作家は誰しもがどの作品の中でも己の一部を . . . 本文を読む

ジム・ジャームッシュの『パターソン』を観た

2022年02月08日 | 芸術(映画・写真等含)
このところアメリカ映画をよく見ている(※)。ハリウッドの大作ではなく地味な佳品、通好みの映画を探し、その予告編を鑑賞して自分なりの基準でgoodなら見る。(ただし、イーストウッド監督のものはよく観ている) USAを一つの国として見る、それはもう無理だと気づいた。この齢になってそう思うのは、お恥ずかしい限り。何事も周回遅れの轍を踏む、我が人生といえる。ということで、アメリカのローカルな貧しい州、あ . . . 本文を読む

ワクチン接種3回目を終えて

2022年02月02日 | 日記
3回目の新型コロナ・ワクチン接種を打ってきた。秋葉原にある区の公民館が接種会場で、それは予想を超えた高層ビルの1階にあった。これより上層階は住宅マンションのような建築で、隈研吾設計の豊島区役所のそれと同じコンセプトといえる。自治体が所有する建造物を建て替えるときは、民間デベロッパーの力を借りるのであろう。 中に入ると、玄関から接種会場への案内は、自衛隊ふうの服装で体格のいい青年が誘導している。地 . . . 本文を読む