小寄道

日々生あるもの、魂が孕むものにまなざしをそそぐ。凡愚なれど、ここに一服の憩をとどけんかなと想う。

秋の散歩、なじみの銀杏の木へ

2023年11月18日 | 日記

ついこの前、一年以上も遠のいていた谷中墓地に行く。のぼりが辛い蛍坂を見ると、やり切れなさが先に立つ。春先の墓地に行けば、土は匂い立っている。冬は霜が降りるし、夏はいろんな虫が這いつくばっている。秋は桜の葉が黄色から真紅になる。銀杏の実も落ちはじめる。

墓地のメイン通りは桜並木で、そこの土は踏み固められて面白くない。古い墓石の間の、人通りのない通路のような、雑草が生えている土がいい。ここは懐かしい、子どものころを思い出す場所だ。

五重塔のあったところの近く、銀杏の木はずっと見覚えがあり、下日暮里に降りていく芋坂に出て、羽二重団子の店に降りるための、そう、メルクマール的な大木である。この木に辿りつく前に、了ごん寺さんのめだか、金魚をみる。もう咲き終わったしまった彼岸花も、紅白そろって見事だった。

前記事のリンクを貼っておこう。➡十日も早い彼岸花

散歩の終りは、御殿坂にある通称月見寺、本行寺さんへ。この時季には、ここの金木犀の匂いはそれほど強烈ではなく、香しいのでよろしい。前にも紹介したが、山頭火と小林一茶の句碑がある。小さなお寺さんだが、由緒のある落着いた佇まいが好きだ。

本行寺の記事のリンク➡桂花の香に誘われ

五重塔跡近くの銀杏の木は、てっぺん当りがやや黄色がかってきたが、全体的にはまだたっぷりと緑色で、いまだに太陽光を吸収している。小生もたっぷり光りを浴びて元気をいただこうと歩いたが、けっこう草臥れてしまった。

大きな銀杏の木の下で
せめてのもの澄んだ空気を
この胸で途切れなく吸い込もう
笑い、悲しむ、そして知ることの
不易流行を噛みしめて、少し泣く
ああ、秋は深まるのに、秋はなし
銀杏の緑は青く、強く、へたれない
アイルランドの独立を思わせて
動かない雲と、緑は溶けあうように
一日の終りを悠然とむかえようと
人は生き、人は死に、人の世は
ただ荒れただれ、愛しきこと少なし
明日を見よう、緑はまだ青いから
森に行こう、緑はかならずあるから

 

 

 




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