小寄道

日々生あるもの、魂が孕むものにまなざしをそそぐ。凡愚なれど、ここに一服の憩をとどけんかなと想う。

人それぞれの15歳を生きる

2022年08月25日 | 日記
自閉症の10代兄妹が描く絵が、とてもユニークなので興味をもった。いわゆるアール・ブリュットほど偏執的ではなく、「世界中のみんなが幸せに」という願いを込めて描いたもので、こちらが元気をいただくような画風である。兄妹の共同制作というのも微笑ましい。作品展は、内幸町の東京新聞本社なので、ついでに日比谷公園や銀ブラへ行く理由もできた。 兄妹は金沢県に住む輪島貫太くん(15)と妹の楓かえでさん(13)。人 . . . 本文を読む

坂口安吾の『復員』を読む(18行の人間賛歌)

2022年08月15日 | 本と雑誌
  坂口安吾の掌編小説『復員』(1946年11月4日付「朝日新聞」大阪・名古屋版掲載。2018年、阪大・斎藤理生氏が発掘)  四郎は南の島から復員した。帰ってみると、三年も昔に戦死したことになっているのである。彼は片手と片足がなかった。 家族が彼をとりまいて珍しがったのも一日だけで翌日からは厄介者にすぎなかった。知人も一度は珍しがるが二度目からはうるさがってしまう。言い交した娘が . . . 本文を読む

心のなかの暴力、刃③

2022年08月11日 | エッセイ・コラム
アメリカ・イリノイ州生まれの哲学者、アルフォンソ・リンギスの著作『暴力と輝き』(水声社2019)は、日本語訳で読める最新刊。ルーツはリトアニアで、E・レヴィナスの翻訳者としても名高い。この一冊しか読んでいないので、知ったようなことを書く資格はないのは承知している。だが、どうしても書き残しておきたいことがある 屍体は恐怖を抱かせると同時に私たちを惹きつけもする。こうした死の装いが、私たちを . . . 本文を読む

因果律が及ばない「情緒」について

2022年08月06日 | エッセイ・コラム
最近、愛読しているメロンぱんちさんのブログに『なんじゃこれ事件簿』という記事があった。動機も理由もなく、個人(老若男女)が衝動的に人を殺めるという事件簿のようなものだ。→http://blog.livedoor.jp/ussyassya/archives/52163137.html 「なんじゃこれ」という反応は、殺された人もふくめて人間なら誰もが思う、突発的な行為による殺人。こうした個 . . . 本文を読む