小寄道

日々生あるもの、魂が孕むものにまなざしをそそぐ。凡愚なれど、ここに一服の憩をとどけんかなと想う。

島尾伸三が書いたもの

2019年06月28日 | エッセイ・コラム
『みすず書房旧社屋』の著者、潮田登久子さんの夫、島尾伸三について書く。 彼は幼い時に、両親の壮絶な軋轢と緊迫のもとで、妹を庇護し世話をしながら、必死に生き抜いてきたという奇特な経験をもつ・・。こう書くと、やっぱり仰々しくなる。 ブログではありきたりでも、飾らない文章で書こう。 戦争のさなかに伸三の両親は、南方の島で知り合い結ばれた。男は、九州帝大卒、特攻船「震洋」の隊長、島尾敏雄。女は代用教 . . . 本文を読む

宮崎郁子と、エゴン・シーレとの間

2019年06月27日 | 芸術(映画・写真等含)
  ▲少年のようなシーレ? 宮崎郁子さんという人形作家を知った。最近ではエゴン・シーレばかり作っていて、その繊細でリアルの塑像を観たときは目に焼きついた。 彫刻ではなく、「石塑、綿布、アクリル、発泡スチロール」と図録には記載されていた。その図録だが、いろいろ調べて岡山県の個人の方が扱っていて、郵送してもらったのだ。 宮崎さんの作品は、昨年シーレ生誕の地ウィーンが展覧会が催され . . . 本文を読む

古書ほうろうで、珈琲ブレイク

2019年06月22日 | 本と雑誌
税務署に行ったので、ちかくの古書ほうろうに寄った。一箱古本市の日に仮オープンした時に行ったきり。一か月半近くもご無沙汰していた。 そのときは箱が山積みに押し込められ、閉鎖されていた小部屋があった。今日伺うと、詩・歌句集の棚、店主宮地氏の好きな鉄道本、グローカルで多種多彩な評論、その他一口で形容し難い癖のある文学書、エッセイなどが集められた、趣のある古本の別室といった雰囲気が漂う。有名なウォーホル . . . 本文を読む

『みすず書房旧社屋』を読む

2019年06月18日 | エッセイ・コラム
前々回に、みすず書房についてふれた。それに関連して、写真家、潮田登久子さんの『みすず書房旧社屋』(幻戯書房2016年刊)という本について書く。 1996年に同社社屋が解体されるまで、数年を通して撮影されたモノクロ写真は、朽ちかかる古い木造住宅へのノスタルジーを見事なまでに写し出し、亡び去るものへの美を切り取っている。人も、モノも、寿命を全うするとき、想像をこえる美しさを放つのだろうか。愛着や諦観 . . . 本文を読む

生き返ろひっくりかへれ蟇蛙

2019年06月16日 | 日記
夜の11時前に床につき、明け方に目が覚める。3,4日ほど我ながら驚くような健康的な生活を続けている。 早朝から青い空が拡がっている。二日続きの梅雨空がなかったかのような朝の輝きだ。予報では30度を超える晴天で、湿気がみるみる飛んできえてゆく、そんな気がするほど日光の熱を感じる。 日曜日なのに出かける用事はない。せいぜい予約した本を借りに、図書館に行くぐらいのものだ。 池之端をめざす。皆さん同 . . . 本文を読む

ナミアゲハよ、またしても

2019年06月12日 | エッセイ・コラム
  5年ほど前になるか、みすず書房の方から親切なメールをいただいたことがあった。ナミアゲハ(アゲハチョウ)の飼育のことで、ご教示してもらったのだ。樹をネットで囲むなどして天敵から守ること。理想は室内で飼育すれば安全、かつ観察も思う存分愉しめるというものだった。ところが翌年、肝心のナミアゲハの幼虫を見ることはできなかった。 それから数年たっても、なぜか全く現れない。ここぞというときに当て . . . 本文を読む

私にとっての『名井島』②

2019年06月08日 | 
この本の帯には、たぶん編集担当だろうが、『名井島』の一端を紹介する、簡潔で暗示的な文章が載せられている。 用済みになった人形やアンドロイドが余生を送るサナトリウムの島。過去―未来を貫いて、精妙にスタイルを変容させながら、多層的に織り上げられた、言語の島をめぐる探求の地誌。   時里二郎の作品を最近になって読みはじめたものとして、あれやこれやと論評する資格はないことは自認している . . . 本文を読む

駒込の「ときの忘れもの」にて

2019年06月05日 | 芸術(映画・写真等含)
なぜ、そこに行ったのか。それを書くと長くなるので省く。一端を書くとなれば、柄澤齊の師匠にあたる日和崎尊夫の作品(※追記)を観ることができるかもしれないと思ったこと。 もうひとつ、そのギャラリーで舟越桂の弟、直木の展示会カタログが入手できるはずだと推測した。結論をいえば、これは叶ったが、日和崎のものは無理だった。 ただし驚くべき邂逅があった。「葉栗剛展」を偶然にも鑑賞できたこと。木彫作品の最新作 . . . 本文を読む

越生にハイキング

2019年06月03日 | 日記
このブログに何度かコメントを寄せてくれる「山猫軒」さんの山行愛好会に参加した。埼玉県の越生(おごせ)へのハイキングで、初心者にも無理なく楽しめるコースとのことだったが・・。当日は、山猫軒さんをリーダーとする愛好家のグループに、小生夫婦と手話仲間の女性が参加した。当日は曇りで、残念ながら眺望はあまり良くないだろうという説明。(一方、紫外線に弱い妻は、小さい快哉をさけんでいたことを記す)。 総勢12 . . . 本文を読む