小説「新・人間革命」
【「聖教新聞」 2013年 (平成25年)11月29日(金)より転載】
o☆:*:.♪o☆:*:.♪o☆:*:.♪
若芽34(11/29)
教職員との懇談会の席上、東京創価小学校の校歌作成についても話題に上った。
山本伸一が、「どうですか。すばらしい校歌はできそうですか」と尋ねると、校長は、困惑した顔で語った。
「実は、皆で作詞をいたしましたが、“これは”というものがありませんでした。それで、できましたら、山本先生に歌詞を作っていただければと……」
伸一は、キッパリと答えた。
「校歌は、皆さん方で作ってください。私は、あらゆる面から全力で応援し、アドバイスはさせていただきますが、中心はあくまでも皆さんです」
彼は、校長をはじめ、教員たちに、“すべて自分たちが責任をもって、最高のものをつくり上げていくのだ”という決意と自覚をもってほしかったのである。
物事は、よく相談して進めることが大事である。しかし、人を頼み、人に甘える気持ちがあれば、いつまでたっても、成長も自立もない。“自分が一切の責任をもって立とう”と決めることから、力が生まれるのだ。
伸一は、言った。
「ところで、皆さんが作ったのは、どんな歌詞だったんですか」
教員の一人が歌詞を取りに行き、封筒を伸一に手渡した。中には、歌詞の書かれた紙が何枚か入っていた。
彼は、それを丹念に見ていった。ある一枚の紙に、視線が止まった。
その歌詞は、「いつの日か いつの日か」という言葉で始まっていた。
「これは、なかなかいいかもしれません。誰が作ったものですか」
傍らにいた教頭の木藤優が、恐縮した様子で答えた。
「私が作りました」
「これを推敲してみてはどうですか。
私は、このあとも、校長先生と打ち合わせがありますので、その間に、仕上げて持ってきてくだされば、検討します」
o☆:*:.♪o☆:*:.♪o☆:*:.♪
、
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます