和井弘希の蘇生

桂信子先生に師事。昭和45年「草苑」同人参加。現在「里」同人「迅雷句会」参加

小説「新・人間革命」

2015年09月02日 19時42分53秒 | 新・人間革命


【「聖教新聞」 2015年(平成27年) 9月2日(水)より転載】

【勝利島37】

 派遣された幹部が、山本伸一の伝言を語るにつれて、伊豆大島の同志の目は潤み始め、その顔は紅潮していった。

 「先生は、また、こう言われました。

 『伊豆大島に会館を建設したいと思う。島の同志の方々が希望に燃えて、元気に頑張っていけば、島は必ず復興し、ますます繁栄していく。その原動力となるよう、会館建設を進めていきたい』」 

 話が終わらぬうちに、大きな拍手が起こった。参加者は肩を抱き合って喜んだ。

 座談会の空気は一変していた。

 皆、口々に、決意を語り合った。

 「この災難を、大島の大発展のバネにしていこう! 今こそ、仏法を持った者の強さを示していこうじゃないか!」

 「そうだね。島のみんなは、希望をなくしている。励まし、元気づけよう! そして、信心をすれば、どんな苦難も必ず克服していけることを、訴え抜いていくんだ」

 「それが大事だと思う。この大火を変毒為薬していく道は折伏だ。島中に、弘教の大旋風を巻き起こしていこう!」

 皆の胸に、闘魂が燃え上がった。

 戸外には、月明かりの下、焼け跡が黒々と広がり、吹き渡る風も焦げ臭かった。

 しかし、同志は、清新な建設の息吹を胸に、この夜から喜々として仏法対話に走った。

 焼け出された学会員には、“これから先、どうすればよいのか”という強い不安があった。しかし、“友の再起のために、仏法を語ろう”と、弘教を開始すると、いつの間にか、自身の悩みの迷宮から脱していた。“必ず乗り越えてみせるぞ!”という固い決意と、“絶対に乗り越えられる!”という強い確信が、胸に込み上げてくるのだ。

 境涯革命の直道は、弘教にこそある。

 大島の同志は、話し合いを重ね、会館が完成するまでに、会員千世帯をめざそうと誓い合った。誰もが意気盛んであった。

 元町に建てられた被災者のプレハブ住宅では、同志の唱題に力がこもった。





 

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