和井弘希の蘇生

桂信子先生に師事。昭和45年「草苑」同人参加。現在「里」同人「迅雷句会」参加

人材城(二十四)小説「新・人間革命」

2012年05月08日 12時42分16秒 | 今日の俳句
    小説「新・人間革命」

【「聖教新聞」 2012年 (平成24年)5月8日(火)より転載】
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人材城24(5/8)

 原谷家の兄弟姉妹は、皆、懸命に信心に励んだ。やがて、長男の永太をはじめ、次男、三男、長女、次女、三女も、男女青年部の支部の責任者として活躍するようになった。

 また、父親の了承を得たうえで、三兄弟は、それぞれ独立し、店をもつようになった。彼らは希望の光に包まれ、学会活動にも一段と力がこもっていった。

 一方、父親は、工務店のほかに、瓦生産の事業にも着手した。 だが、ほどなく事業は失敗してしまった。三兄弟は、その借金の返済にも、協力を惜しまなかった。

 “それなのに、親父は……”

 父親の失踪に、彼らは、憤りと情けなさをかみ締めながら、先輩幹部に指導を受けようと、車で熊本会館に向かったのだ。

 熊本会館には、折よく九州方面の壮年幹部が来ていた。原谷三兄弟は、かいつまんで現在の窮状と、そのいきさつを語った。

 「大変だな。それで今、君たちは、どういう一念で祈っているんだい」 長男の永太が、率直に語った。

 「『もう、親父のことは許さんぞ!』と思いながら、祈っています」九州の幹部は、厳しい口調で言った。

 「君たちは、何を考えているんだ! なんのために信心をしているんだ! 信心の眼を開いて考えてみるんだ!

 どんな父親であれ、親父さんがいたからこそ、君たちは、この世に生を受け、大きくなり、御本尊に巡り合うことができたんじゃないか。その恩を感じているのか!

 今、親父さんが、どれだけ辛い思いをしているか、考えたことがあるのか。誰よりも苦しんでいるのは、親父さんだよ。逃げて、身を潜めている暮らしが、幸せなわけがないじゃないか。怯えと不安にさいなまれ、死ぬほど、苦しんでいるはずだ。

 それでも君たちは、『親父を許さん!』と、御本尊に祈るのか!」三人とも、返す言葉もなかった。


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