小説「新・人間革命」
【「聖教新聞」 2013年 (平成25年)11月28日(木)より転載】
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若芽33(11/28)
児童は、やがてランチルームに移動した。山本伸一が用意したアイスクリームを食べるためである。
伸一もランチルームに行き、一緒にアイスクリームを食べながら、次々と子どもたちを自分の隣に呼び、家庭環境や、学校になじめているかなどを尋ねた。
また、その間に、子どもたちとコップの水を掛け合うしぐさをして、ふざけ合った。
児童たちは、最初は、緊張しながら伸一と接していたが、このころになると、すっかり“友だち”になっていた。
さらに彼は、正面玄関の前に立って、下校していく児童と握手をして、見送った。
「パパ、ママによろしくね」
「学校を頼むよ」
「しっかり勉強するんだよ」
権威を誇示しての教育は、子どもの心を歪める。魂の触れ合いを通して育った信頼こそが、教育の基盤だ。ゆえに伸一は、児童との接触を何よりも大切にしたかったのである。
伸一は、午後五時過ぎから、作法室で行われた教職員の代表との懇談会に出席した。
彼は、児童が健やかに成長し、良い伝統がつくられつつあることに感謝を述べ、皆の意見に耳を傾けた。
校長の新木高志からは、児童の健康増進のために、体を鍛える工夫を重ねていることや、全校遠足の様子などが報告された。
また、教頭の木藤優からは、モットーの碑を造るので、低学年と高学年のモットーを揮毫してほしいとの要望が出された。
「私は、字が下手なので、上手な人に書いてもらった方がいいのですが……。でも、皆さんの希望であり、児童が喜んでくれるのならば、書かせていただきます。すぐ墨と筆を用意してください」
伸一は、最初に、低学年のモットーである「明るい子」「思いやりのある子」「ねばり強い子」と書き、それから高学年のモットーである「闊達」「友情」「根性」と認めた。
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