和井弘希の蘇生

桂信子先生に師事。昭和45年「草苑」同人参加。現在「里」同人「迅雷句会」参加

若芽4 小説「新・人間革命」  

2013年10月24日 07時27分47秒 | 新・人間革命

      小説「新・人間革命」

【「聖教新聞」 2013年 (平成25年)10月24日(木)より転載】


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若芽4(10/24)

   入学式のメッセージで山本伸一は、児童と保護者らに、心からの祝福を述べたあと、『イソップ物語』の「塩を運ぶロバ」の話を紹介した。

 ――塩を背に積んで運んでいたロバが、川を渡る途中で、滑って転んでしまう。塩は水に溶け、背の荷物が軽くなった。喜んだロバは、今度は、綿を運んでいる時に、また身軽になろうと、わざと川で転ぶ。すると、綿に水が染み込んで重くなり、溺れてしまう。

 この話から伸一は、怠けて、楽をしようとすれば、最後には自分が損をしてしまうことを述べ、こう訴えた。

 「皆さん方もこれから、苦しいこと、辛いこと、重荷に思えるようなことがあるかもしれません。先生に叱られたり、勉強が思うように進まなくて悲しくなる時もあります。友だちとケンカして、悔しくて悔しくてしょうがない時も、きっとあるでしょう。

 しかし、それらのことは、全部、皆さんが大きな人間に成長していくための荷物といえましょう。

 冬の次には必ず春がくるように、悲しいことのあとには、必ず楽しいこと、嬉しいことがやってきます。竹は、どんなに大雪がつもっても、決して折れない。じっとしんぼうして、希望の春を待ちます。

 だからといって、なんでも一人でがまんしていなさいというのではありません。両親と話し合うのもよい。先生や仲のよい友だちに相談するのもよいでしょう。

 皆さんは、これから伸びゆく若竹です。心を大きく開いて、体をきたえ、心をきたえ、竹のようにしなやかで、ねばり強い“がんばり”を身につけていっていただきたい」児童たちの目は、キラキラと輝いていた。

 伸一は、まず子どもたちに、困難に挑むという、人としての最も大切な生き方を教えておきたかったのである。

 困難を避ける生き方が身についてしまえば、最終的に、子ども自身が不幸になってしまうからだ。


■小説『新・人間革命』の引用文献
 注 セネカ著『道徳書簡集』茂手木元蔵訳、東海大学出版会


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