和井弘希の蘇生

桂信子先生に師事。昭和45年「草苑」同人参加。現在「里」同人「迅雷句会」参加

革心17/小説「新・人間革命」

2015年05月19日 13時20分06秒 | 今日の俳句
【「聖教新聞」 2015年(平成27年) 5月19日(火)より転載】

【革心17】

 孫中山故居の参観を終えた山本伸一の一行は、中庭に出た。そこには、木々が茂り、青々とした芝生が広がっていた。一行は芝生に腰を下ろし、しばし懇談の機会をもった。

 山本伸一は、訪中団の青年たちに視線を注ぎながら語り始めた。

 「孫文先生の生き方のなかには、天道という考え方が確立されていた。

 たとえば、人間を抑圧することは、天に逆らうことであり、それに抵抗することは、天に従って行動しているとする考え方だ。この天道に従うという考えのもとに、革命を組み上げていった。だから、そこには、自分を律する力が働き、困難に屈しない力が湧く。

 “法”が根本になければ、結局は、崇高な理想を掲げた運動も欲望に蝕まれ、頓挫してしまう。いかなる革命も、人間革命なくしては、本当の意味で成就することはできない」

 孫文は、訴えている。

 「革命事業をなすには、どんなことから始めたらよろしいのか。それにはまず、自分の心の中からはじめ、自分がこれまでもっていた良くない思想・習慣や性質、野獣性、罪悪性や一切の不仁不義な性質をすべて取り除かなければなりません」(注1)

 さらに、こんな言葉も残している。

「ただ、われらは、中国の改革と発展を、既に自らの責任と定めているのだ。何があろうと、生ある限り、その心を断じて死なせない。失敗しても落胆せず、困難に遭っても後退してはいけない。全身全霊を注いで勇往邁進していく。世界の進歩の潮流と合致し、『善は栄え、悪は滅びる』という天の法則に則るならば、最後は必ずや成功を勝ち取ることができる」(注2)

 それはまさに、仏法という生命の法理のもと、世界の平和と人類の幸福の実現、すなわち広宣流布をわが使命として立ち上がった、創価の同志の生き方、確信に通じよう。

 私利私欲、立身出世といった“小物語”を超え、人びとのため、世界のためという“大物語”を編むなかに、人生は真実の輝きを放つ。


■ 小説『新・人間革命』の引用文献
 注1 「陸軍軍官学校開校演説」(『孫文選集 第2巻』所収)庄司荘一訳、社会思想社
 注2 「トウ沢如および南洋国民党員への書簡」(『孫中山全集 第3巻』所収」中華書局(中国語)



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