和井弘希の蘇生

桂信子先生に師事。昭和45年「草苑」同人参加。現在「里」同人「迅雷句会」参加

福光(四十四)新・人間革命

2011年10月24日 06時38分38秒 | 今日の俳句
    新・人間革命

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    福 光(四十四)

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 菅田歌枝と鈴村アイは、鏡石で、〝今度こそ! 今度こそ!〟と自らに言い聞かせ、知人宅を訪ねて、仏法を語っていった。


 予定した訪問先を当たり尽くした時には、二人は、意気消沈し切っていた。どこも厳しい反応であったからだ。最高の仏法を持ちながら、その力を明快に伝え、納得させることができない自分たちが、ふがいなく、情けなかった。


 日差しが、肌を焼くように感じられる、暑い日であった。トウモロコシ畑の緑が、まぶしく目に染みた。もう行くあてはなかった。でも、このまま、「できませんでした」などと言って、帰りたくはない。


 菅田の息子の信は、疲れたらしく、ぐずり始めた。三人は、トウモロコシ畑の傍らに座り込んだ。信は、お腹がすいたのか、よく実ったトウモロコシを見て、「あれが食べたい」と言いだした。


 「駄目よ。あれは、よその家のものよ」


 「でも、食べたいよ」


 「駄目なの!」

 信は、恨めしそうな目で、母親を見て、しくしくと泣きだした。


 菅田も、張り詰めていた心の糸が切れ、こらえていた涙が、一気にあふれだした。泣き濡れる母と子を見て、鈴村も目を潤ませた。


 農作業に出てきた近所の老婦人が、道端に座り込んで泣く三人の様子を、いぶかしそうにうかがっていた。


 「どうしたの?」


 老婦人は、放っておけずに声をかけた。


 ここから、仏法対話が始まった。菅田と鈴村は、先ほどまでとは打って変わって、瞳を輝かせ、生き生きとした表情で、仏法の偉大さについて語っていった。


 老婦人は、彼女たちが語る一言一言に大きく頷き、話を聞いていた。そして、ほどなく入会を決意したのである。菅田と鈴村は、今度は、歓喜の涙で頬を濡らすのであった。


 “地涌の使命を、断固、果たし抜こう!”という執念が実らせた弘教といえよう。



【「聖教新聞・2011/10/24」より転載】
http://m.seikyoonline.jp/top/top?t=805&sk=377037b65d04f4e970507bffe8ed9125


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