小説「新・人間革命」
【「聖教新聞」 2013年 (平成25年)11月15日(金)より転載】
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若芽22(11/15)
所長の鈴木元雄は、作業に追われ、自宅がある神奈川県の鎌倉に帰れぬことも多かった。そんな時は、建設現場に泊まり込んで、陣頭指揮を執った。
工事途中の教室の床に段ボールを敷き、毛布にくるまって仮眠し、朝を迎えることもあった。
“工事は、なんとしても間に合わせる!”
その鈴木の一念と気迫に打たれ、現場の作業員も懸命に努力してくれた。工事は、ハイペースで進んだ。
優れたリーダーの要件とは何か。
それは、まず自らが、絶対に目的を成就すると決めて、率先垂範で物事に取り組むことである。そして、自分と同じ思いで、共に行動してくれる人たちへの、感謝と配慮を忘れぬことである。
一九七八年(昭和五十三年)の三月十六日、創価高校の第八回卒業式が行われた。この日、山本伸一は、東京創価小学校の近くを車で回った。三階建ての立派な白亜の校舎が姿を現し、完成に向けて、最後の作業が行われていた。
伸一は、鈴木所長をはじめ、関係者の苦労に深謝しつつ合掌した。
校舎の竣工引き渡しが行われたのは、三月二十日のことであった。東京創価小学校は、遂に完成をみたのだ。
伸一は、ここに出席することはできなかったが、創価学園の理事長・青田進から、こう報告があった。
「鈴木所長も、大きな仕事を成し遂げた満足感を〓み締めるように、感慨無量の表情をされていました」
「そうですか。鈴木所長には、本当に大奮闘していただいた。所長のお名前と功労を、永遠に残したい。
たとえば、校内の桜に鈴木所長のお名前をつけて、児童も、教職員も、この木を見るたびに、校舎を建ててくださった方々の苦闘を、末永く偲んでいくようにしてはどうだろうか。私からの提案です」
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