水谷麻里「地上に降りた天使」(1986)
水谷麻里ちゃんと言えば、“恋コロン、髪にもコロン”というコピーが売りのシャンプー&リンスのCMイメージガールを選ぶコンテストで5万人以上の中からグランプリをとってデビューしたアイドルです。
ちなみに、このコンテストには酒井法子ちゃんもエントリーしていたわけですが、後のスーパーアイドルのりピーを押さえてのグランプリですから、価値ある受賞と言っていいでしょう。
この曲は、そんな麻里ちゃんの2枚目のシングルです。
麻里ちゃん自身も出演した映画「子像物語」のテーマソングで、さきほどのシャンプー&リンスのCMにも流れていましたから、耳にした方は多いと思います。
「地上に降りた天使」って、麻里ちゃんのイメージにはぴったりかなと思います。ジャケット写真を見てもおわかりのとおり、髪はストレートのショートカット、というより、「おかっぱ」と言った方がいいでしょう。それに、大きくてクリクリっとした目が印象的です。でも、インパクトのある顔というわけでもなく、そのかわり変な癖もなく、普通の女の子っぽくて、見ていてホッとする感じがしませんか?
事務所がサンミュージックということもあり、活動は歌中心だったんですが、ビッグヒットというところまではいかず、TVでの露出はCMがメインだったかもしれませんね。
まあ、毎度言いますが、麻里ちゃんがデビューした1986年というのは、おニャン子旋風荒れ狂ってた時期ですから、おニャン子以外のアイドル歌手には、厳しい時代でした。
前振りが長くなってしまいましたが、この曲、作詞:松本隆、作曲:筒美京平という、80年代アイドルポップス黄金コンビによる作品です。
曲は、かわいい感じのイントロで始まる、メルヘンチックな、ほのぼのとした曲ですね。麻里ちゃんの声はどちらかというと低めで、癖のない声で、語りかけるように歌います。
サビの部分の♪地上に降りた天使・・・という部分は、キャッチーなメロディで、さすが筒美メロディというところです。
それに続く♪この掌で翼のように あなたの涙 包んであげる・・・とか♪そしてあなたの手を握りしめ 風に向かって走ってゆくの・・・なんてところは、さすが、松本ワールドって感じですか。
二人とも、麻里ちゃんのかわいさを十分引き出してます。
作品としては、すごくよくできてると思いますね。やっぱり、アイドルには、こういう曲を歌ってほしいというのが、素直な感想です。
当の麻里ちゃんは、デビュー2年目には、「ポキチ・ペキチ・パキチ」など、意表をついたいわゆる「不思議路線」的な曲を出しはじめ、局面打開を図ったようですが、結局実らず、その後、1990年に、18才の若さで、麻里ちゃん自身がファンであった漫画家の江口寿史と結婚し、引退。短かったアイドル歴にピリオドを打ってます。
結局、ブレイクしたとは言えなかった麻里ちゃんですが、アイドルファンの心には確かな足跡を残したアイドルだったと思います。
仮に、今の時代に、当時の麻里ちゃんがそのまま現れたら、そのあまりの普通っぽさに、人気爆発するんじゃないか、そんな感じもしないでもないですね。