3月20日に富田靖子ちゃんが出演する舞台「新センセイの鞄」を観た私ですが、事前に靖子ちゃんファンの集まる掲示板で、翌21日に神保町シアターで靖子ちゃん主演の映画「BU・SU」(1987)を上映するという情報を得ていたものですから、これは願ってもない機会だと思い、満を持して神保町へ行きました。
以前東京に住んでいた頃から、神保町は好きな街でして、特に、これでもかというくらいアイドルグッズを揃えている店とか、レアなCDやレコードを売ってる店とか、お気に入りの店もいくつかあるものですから、そんな神保町で、靖子ちゃんの映画をスクリーンで観れるというのはなんともありがたい機会でした!
初めて訪れた神保町シアター。こじんまりした映画館ですが、シートは広くて、しかもゆったり座れる、上質なものでした。で、ここ数日は、新旧の実力派女優を特集したシリーズを上映していて、日本映画を彩った名だたる女優陣が名を連ねた名作中の一作品として選ばれたのが「BU・SU」だったわけです。
靖子ちゃん主演映画の代表作は何か?という質問に対しては、なかなか決定弾がないのが正直なところです。話題作という意味では大林監督作品の「さびしんぼう」かもしれませんし、デビュー作「アイコ16歳」の初々しさも伝説になってますし。それに、戦列な印象を与えた香港映画「南京の基督」も素晴らしい作品です。
そんな中、新鋭の故市川準監督がメガホンをとった「BU・SU」。アイドル女優時代の靖子ちゃんの代表作ではないかと思っている靖子ちゃんファンは、わたしだけではないのではないかと思います。
この作品、主演である靖子ちゃんのセリフは非常に少ないです。それに、怒ったり沈んだりするシーンは多いのに、笑顔のシーンはほとんどありません。ほぼ全編、暗い表情のお芝居なのですが、それにもかかわらず、ストーリーの中での主人公の心情を見事に演じてくれてます!これぞ、靖子ちゃんの女優力の面目躍如という印象です!
さらには、着物姿での「八百屋お七」の舞いも見どころです!めちゃ色っぽいですよ!
親子関係の不和によるつらい過去を持つ、思春期の女子高生の複雑な心情を描いたこの作品ですが、ラストシーンで、それまで反感を持っていた母親と笑顔で話すシーンが・・・これがいいんです!このシーンの靖子ちゃんの笑顔は、靖子ちゃん史上最高と言っていいくらい素敵な笑顔なんです!
そんなこの「BU・SU」、観終わって感じるのは、なんだかんだ言っても、市川監督は靖子ちゃんの”惚れてた”な、ということでしょうか。ともかく、靖子ちゃんの魅力を存分に描いてくれてるんです。だって、アップのカットが多いですもんね!
前日に、舞台でひたすら語る”今”の靖子ちゃんに接し、次の日には言葉少なに演じる”スクリーン上の”若き日の靖子ちゃんに会えた・・・そんな素敵な春の2日間でした!