古森病院@福岡市博多区 病院管理者のブログ

ベイサイドプレイス近隣にある長期滞在型病院です。投稿記事は管理者の独自見解であり、医療法人の見解ではありません。

妊娠・授乳と 薬

2014-12-20 12:40:07 | 日記
古森病院@福岡市博多区 です。


今日は外来でもリクエストの多い、妊婦さん&授乳婦さんから
「妊娠中だけど・・・体調が悪くて」「授乳中だけど・・・体調が悪くて」
というお話です。

一般的に妊婦さんや授乳婦さんになられるような女性は 閉経前で一番病気になりにくい
年代です。しかしながらその年代でも合併症のある(糖尿病とか高血圧とか自己免疫疾患とか担癌状態とか)
妊婦さん&授乳婦さんは総合病院での妊娠管理(引き続いて授乳管理
もっとも最初から母乳育児を避け、ミルク育児になる方もかなりおられるでしょうが))と
なることが大半です。従って、当院にそういうリクエストで来られる方は、
感冒症状や消化器症状、頭痛、腰痛などの方が圧倒的に多いです。

妊娠初期は一般的に重要な臓器が形成されるため、薬は飲まないほうが無難と言われています。
もっとも、妊娠しているかどうかわからず、薬を飲んでしまう方も少なくありません。
飲んでも大丈夫かどうかは、妊婦さんを薬を飲んだグル―プと薬を飲まないグループに
無作為に分けて、グループ間で 薬を飲んで出産した児に異常があるか否か、
薬を飲んだクループでどれくらい異常児が増えて、統計上も薬のせいであると証明できるか 
という検証が必要ですが、一般的に人間の妊婦さん相手にそういう検証は
倫理上 行えないので、製薬会社は薬の添付文書に「妊婦 授乳婦への投与の安全性は
確立されていない(ので、薬を投与する有益性が薬を投与しない不利益を上回る場合に
医師の判断で投薬を行ってください)」と一文を添え、責任を逃れているのが現状です。

私個人はどうしているかというと、
妊娠初期か、中期か、後期かなどによりますが
小児科で投与されている薬と同じ薬を出します。

抗生剤ならペニシリン系かセフェム系、解熱剤ならアセトアミノフェン、
感冒薬や消化器系の薬、気管支喘息の薬、その他もろもろなら、
胎児危険度分類 アメリカ / 米国食品医薬品局(FDA)http://www.safefetus.com/ 
オーストラリア医薬品評価委員会(ADEC)先天異常部会http://www.tga.gov.au/docs/html/medpreg.htm
TGA:保健省薬品・医薬品行政局 という表を見て、安全性が高いとされている薬品を
説明の上、投与します。授乳婦であれば、根拠は乏しいのですが、
一回母乳を搾乳した後に赤ちゃんに母乳を与えるなどして 
乳汁中の濃度を少しでも減らすという手もないわけではありません。
どうしても気になる人は 内服中はミルク育児とか 
子供が離乳食後期ならこれを機会に卒乳という手もないわけではありませんが、
産婦人科による母乳育児教育が行き届いていることもあり、大抵の方は母乳継続の
希望が強い方が多いです。(まあ、ミルク育児の方は母親側の投薬について悩む必要はないので
当然かもしれませんが・・)

日本では東京の成育医療研究センターの妊娠と薬情報センターというところで
情報提供を行っています。問い合わせに時間を要するので
急病でない方は利用してもよいかもしれません。
http://www.ncchd.go.jp/kusuri/

以上、古森病院でした。
インフルエンザと感染性胃腸症が流行中です。
皆様 お気をつけてお過ごしください。

古森病院ホームページ http://komori-hp.cloud-line.com/







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