カイロじじいのまゃみゅむゅめも

カイロプラクティック施療で出くわす患者さんとのやり取りのあれこれ。

アーシュラ・K・ル・グウィン 『空飛び猫』 村上春樹訳 講談社文庫

2015-10-05 19:52:02 | 本日のしりきれとんぼ








夢溢れるファンタジー、幼い子が眼を輝かせ胸をドキドキさせる素敵な絵本に、じじいの徳さんは口を出さぬがいい。
徳さんが説明をし出すと、途端に面白くもないものに化学反応するはずだ、、、。


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吉本ばなな 『体は全部知っている』 文春文庫

2015-10-04 20:35:18 | 本日の抜粋
世界中から注目されている吉本ばななさん。
という事だけで、何かよく分からぬがどこかで引いてしまっている徳さんだった。
確実に性格の破綻が自分の中にあることを認めざるを得ない、、、。

今回、〝体〟という一文字がタイトルにあったので、職業柄ついつい手にして見た。

どうやら、人間には脳の冷静な判断以前に体が発する様々なシグナルがあって、脳は体の下僕である、ってことを文学として主張している短編集ってことらしい。

毎日平凡な生活という事を続けている中で、己が切り捨ててきた感性を呼び戻すきっかけを与えてくれる短編集だった。

  *****
 シートに毛虫がいて、私は大騒ぎした。
「おまえは昔、毛虫なんて平気で手でつかんでいたじゃないか。」
 父はあきれて、いったん車を止め、ティッシュで毛虫をつまみ出してくれた。
「わたしもびっくりしているのよ、自分で。」
 自分の、毛虫に対する強度がゼロの価にまでいつのまにか下がっていたのだろう。そういうことにとても驚いた。最後に毛虫に触った時から、なにも毛虫に対する情報は変化していないはずなのに、見なれていないというだけで、こんなにこわいと思うなんて・・・…こんな調子で私はどれだけの感受性をすりへらしてきたのだろう?私はその時青空を見上げながら、本当に不思議に思った。
  *****




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思わぬ成果、ワウぼうの膝水腫

2015-10-03 20:08:04 | 本日の患者さん
「家に帰って気付いたんですけど、膝が軽く感じるんですね。
あれ!て思って膝の辺りを見たら、さっきまで苦しめられていた貯まっていた水が引いていたんです」

めでたしめでたしの話なんだが、正直、徳さんはいささかうろたえている。
前回の施療で、徳さん自身がここまでの成果を期待していなかったのだ。

膝痛と水が貯まっていることを訴えてるワウぼう。
膝を守る筋肉は大腿四頭筋。
それを管理しているのは大腿神経。
加齢性の関節の変形も考えねばならぬ。

何が出来るのか?

大腿神経の出処の腰椎の歪みをただす。
大腿四頭筋の緊張を緩める。
膝関節の空間を広げる作業をする。

それ位しか思い至らず、それへ向けての施療をした。
別に膝水腫を標的にした施療をした訳ではない。
膝の水腫は結構やっかいなのだ。

膝の水は何故貯まるのか?

膝には関節の動きをスムーズにさせるために、関節に滑液という水分が補給される。
栄養補給など血液の役目も代行している。

膝の関節に、重心のそれた想定外の圧力がかかってきたらどうするか?
膝関節内部の細胞が、そのへんてこりんな圧力に対抗して、ショックアブソーバーの役目を果たさんとして水分を産生する。
現場での細胞の行為は、すべて良かれと思っての行動である。
ただその行為が、その持ち主にとっては不愉快であるという事だ。

水が貯まる本体の滑液胞は、関節の行動がすみやかに出来るための援軍である。
本来、圧力を受けることになかった部分に圧力がかかる。
それをとりあえず上手に受け止めておきますよ、というのが膝に水が貯まることの本質だと、徳さんは勝手に思っている。

今回は、その望外な成果に驚いている。
そして、ちょっぴり、うれしいかな、、、。



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多田富雄 『生命の意味論』 新潮社

2015-10-02 18:18:45 | 本日の抜粋
この本を読んで一番うれしかったのは、高校時代の友人野地澄晴の研究成果が詳しく紹介されていたことだ。
何も知らずに読んだ徳さん、びっくりするやら、嬉しいやら、励ましを貰った気分になったりした。
高校卒業後も彼の研究室に入り浸ったり、一緒に広島の低い山地に遊んだり、小旅行をしたり、様々な思い出が一挙に吹き出してきた。
当時は二人共稚拙だったが、妙に生真面目だった。
その後、徳さんだけ一方的に崩れ散った、という訳。

紹介されていた彼の研究は、人間の胃癌の細胞から取り出した線維芽細胞増殖因子を初期のニワトリの胚移植すると、そこに、本来の設計図には無い足が一本生えてきたという事実の発見だった。
種を超えて遺伝子を操るものがいる、という事だ。

人間は、偶然にして生まれた一つの生命から始まった。
それからの進展を免疫学の立場から解説してくれるのが本書である。
なにやら、日頃嫌悪しているバイ菌や見るもおぞましい生き物たちが親しみを込めて眺められる様になるのが不思議。

免疫学の話はとてつもなく面白い。
今までの、生き物に対する知見を物の見事に裏切ってくれる。

個々の細胞たちは己れの使命を知らない。
その時その時で自分に課せられた状況に応じて反応のみ。
自殺しなきゃならない時は、なんの躊躇もなしに自殺する。
その理由は、隣にいる細胞の状態だけだ。

徳さんたちの脳の中ではそんな振る舞いは出来ない。
でも、徳さんたちがどう思おうと、細胞さんたちは勝手にやって仕舞うのだ。

免疫学の話は面白い。
が、とてつもなく難しい。
科学の中にあいまい性、偶然性を持ち込んだのだ。
そして、その理由とからくりを解明しようとしている。

そんな、難しさへの理解は本書を読むしかない。

という事で、徳さんは関係のない気になる箇所の抜粋。


紀元前430年という大昔の話だ。
ギリシャで黒死病と呼ばれるペストの大流行があった。
当時のアテネ市民の三分の一が亡くなったという。
人々は何も打つ手立てが無く、恐慌状態に陥ったのだが、やがてペストはいつの間にか身を引いた。

細菌もウィルスも生き延び、子孫に己を引き継ぎたくて彼らなりに努力する。
宿主が壊滅しては困るのは彼ら。
やがて、構造が似た兄弟のような細菌が生まれ、人々の発病を止めるに至る。
エイズもエボラ出血熱もそんな行程を辿るはずだ。

で、徳さんが注目したいのは、当時の世相の動きに反応したツキディデス描写だ。

  *****
 この病気が流行し始めると、アテネ市民の日常の行動様式が変わってくる。 突然の災厄に動転した人々は、まず病気のもととなった犯人をさがし出し、リンチにかけようとする。それまで友人だった人が、感染を恐れて互いに近づこうとしなくなる。病人を誰も看病しなくなるので、空家同然となった家に、患者は独り残されて死ぬ。(中略)宗教的感情が失われ、道徳が退廃して、死者を弔う儀礼さえ怠るようになった。(中略)  
 逃亡、差別、犯罪、殺し合い、無秩序、絶望、そして死と隣り合わせの京楽。これが、ツキディデスの描いたペスト猖獗の下での人間の行動様式であった。
  *****

あれ!?
これって、今の今の、日本の姿だよね~。



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