カイロじじいのまゃみゅむゅめも

カイロプラクティック施療で出くわす患者さんとのやり取りのあれこれ。

鶴見俊輔 『思い出袋』

2013-09-14 18:05:36 | 本日の抜粋
 
     **************

 その学生たちが私の前にあらわれてから四十年あまりになる。
 彼らは、奈良にハンセン病回復者の家をたてた。学生が自分よりすぐれていると感じる事は、しばしばだ。この学生たちは、四十年あまり私をひっぱった。
 柴地則之は、古神道の教団から土地を借りて、家をたてるワーク・キャンプの工事をおこした。近所から反対が出て、工事の現場をかこまれた。すると、「皆さんの同意を得なければ、この宿舎は建設しません」と言って、途中まで積んであったブロックを、みんなの目の前でくずした。あきらめたわけではなく、夏休みごとに男女数人でつれだって、反対派の家々に、ハンセン病は新薬プロミンで治るようになったので、この人びとから伝染することはないという西占貢(京大医学部教授)の証明をみせて、説得をつづけた。もはや反対がなくなったと見て、一挙に家をたてた。このように数歩退いて、やがて盛りかえす姿勢が、この学生たちにはあった。(中略)
 学生の何人もがなくなった。この若い人たちと会うことができたのが、私にとって大学のもつ意味である。

 鶴見俊輔 『思い出袋』より 岩波新書

     **************

八十歳を過ぎた鶴見俊輔。
素敵なおじいちゃまである。

第二次世界大戦を挟んだ頃、かなり特異な生育環境を強いられた鶴見俊輔が、落ちこぼれの劣等生になったり、不良少年になったりなどの曲折を経て、アメリカに留学する。
敗戦が明らかになってる時点で、日本に帰国する事を決意する。
国家への忠誠でなく、〝くに〟への帰還だ。

帰国後、語学の才を買われ、インドネシアで米軍の通信傍受の仕事に。
過労で肺を患う。
効かない麻酔下で手術を受ける。

敗戦後、鶴見俊輔が大事にした事は、普通の人としての振る舞いだ。

60年代後半、ベトナム戦争に反対するべ平連を小田実などと結成した。
当時、過激派からは馬鹿にされた組織だったが、過激派の誰一人として、具体的なアメリカ脱走兵をかくまう事なんて発想はなかった。
過激派は自意識過剰で、地味な世界には手を出そうともしなかった、、、。

普通人としての感覚が、人間として、当たり前の行為に駆り立てた。

学ぶ所だらけの一冊だった。


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施療後、痛みが強まったと訴えるチャーぼう

2013-09-13 19:56:53 | 本日の患者さん
昼に施療を終えたチャーぼうから夕方電話が入る。
「カイロを受けた後、痛みが強まってしまったんです。
少し寝てたら楽になるかも知れないと思って寝てたんですけど一向に楽になりません」

わりに近くに住んでる方なのでもう一回来てもらうことにする。
もちろん料金はいただきません。

「前回は、帰り道をスイスイ歩いて帰れたんですけどね」

「チャーぼうの場合、整形で牽引をして症状が悪化したということもあったのでかなり慎重にやっているんですが、、、。
今日やった施療の一つの行為がチャーぼうには無理だったって事なんでしょうけど、それが特定できるかな?」

一応、今日やった施療をなぞってみる。
かんばしい答えは見つからない。

後は、想像力で答えに近づくしかない。

前回の施療に対して、今回加えたものは何か?
(最初のうちは、その人に対する施療法が安定するまでは、いろんなやり方を出し入れする)

徳さんにとってターゲットは、チャーぼうの半ば骨化した右腰背部。
(レントゲンを見た整形の先生に、何じゃこりぁ!と叫ばしめた所だ)
カチンコチンになっている部分の中から、それでも筋肉の面影を残している部分をゆっくり押したり引いたりした。

そこら辺が原因かも。

今まで動きらしいものを止めてた世界で、突然の運動で炎症を起こした可能性がある。
それなら、チャーぼうの体位変換時の痛みがよく説明できる。

で、どうしたらいい?
それが分かれば苦労はいらぬ。

痛い患部に手を当てて、じっと念ずるだけ!しかできない。

でも、帰り際のチャーぼうの表情は幾分晴れやかになってくれたので、今後ご期待!ということに、、、。


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思わぬ効果、痩せましたオーじょ

2013-09-11 20:21:51 | 本日の患者さん
いろんな意味で問題オバサンのオーじょ。
脳性マヒというハンディーを負っている。

どこかやけっぱちな性格からか、中年を過ぎる年齢になって様々な健康上のトラブルを抱えるようになってしまった。

高血圧、高脂血症、糖尿病、肥満など成人病のオンパレードである。

肥満の話をオーじょに問いただすのは少し過酷な気がする。
運動が出来ない。
自ら選ぶ事の出来ない介助者との人間関係。
健常者が想像できないストレス下に置かれてる訳だから、、、。

オーじょに新たな問題が発覚した。
睡眠時無呼吸症!
そう診断されてから酸素吸入器を睡眠時に週に二、三回装着するようになった。

その結果が面白い。

酸素供給を始めて一週間後、オーじょの体重は見る見る減っていった。
20キロは減ったそうである。

ともかくおしっこの量が半端ではない。
一日に6リッターなんて日もあったそうだ。

体に酸素を送り込むことだけで、これだけの反応があることを現代医学は真摯に受け止めなければいけない。

何でか?
と、問われたけど徳さんにはそれに答える能力はない。

苦し紛れに、いくつかの返答はした。

「CPには呼吸が上手く出来ない人が多い。
オーじょもそうだよね。
それに睡眠時無呼吸症が加われば、オーじょの体はひどい酸欠状態だった訳だ。
俺達の身体の細胞は栄養と酸素で生きている。
酸素が供給不足だと細胞は上手く機能できない。
おしっこを管理する自律神経もそうだよ。
身体の余分な水分を排泄する機能が働けない状況だったんだよ」

「今回、酸素がちゃんと来てほっとしてるのは、やっと自分本来の仕事が出来ると喜んでるオーじょの自律神経だよ」




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ゆるむ暑さで、温かそば

2013-09-10 18:21:12 | 本日の悪食
ようやくうだるような暑さがゆるんできた。
ということで、昼飯にあったかいそばを作ってみた。
そうめんと冷やし中華の連ちゃんもさすがに飽きが来てたのだ。



隣の西友でかき揚げとシナチクを買ってきて、後は適当に、、、。

食べ始めは快調。
しかし、後半は額から汗が、、、、。

ちと、時期早々でした。
食い意地が張ってると、それなりの報いを受けまする、、、、。


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橋爪大三郎*大澤真幸『ふしぎなキリスト教』

2013-09-09 21:10:26 | 本日の抜粋

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 一神教は、たった一人しかいない神(God)を規準(ものさし)にして、その神の視点から、この世界を視るということなんです。たった一人しかいない神を、人間の視点で見上げるだけじゃダメ。それだと一神教の半分にしかならない。残りの半分は、神から視たらどう視えるかを考えて、それを自分の視点にすることなんです。
 多神教は、神から視るなんてことはどうでもいい。あくまでも人間中心なんです。人間中心化、神中心か。これが、一神教かどうかの決定的な分かれ目になります。

 橋爪大三郎*大澤真幸 『ふしぎなキリスト教』より 講談社現代新書

    ************

信心がまるっきし欠けてる徳さん。
それでも心の大半は空虚感に満たされてるので、特定の宗教にはそれほど関心が湧かないせよ、人びとの宗教性ということに関しては気持ちが揺らぐ。

だから、時々、宗教に関した本を手にする。

この本は、そんなキリスト教に関して無知蒙昧な輩にはうってつけの解説書となっている。
大澤真幸が聞き手に徹して、我々の素朴な疑問を代表して投げかけ橋爪大三郎がそれに答えるという役割分担をしている。

教養書としては抜群。

でも、そこに熱は感じられなかった。

抜粋部は、多神教に対する断定部分なのだが、何となく、納得がいかないので取り上げた。

素朴な原始的宗教心だけを信頼する徳さんでありんす。




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中古で福祉車両を購入

2013-09-08 18:40:33 | 本日の患者さん



おふくろがこの助手席リフトアップ車なるものを、これから先、何回乗ることになるのかな。
などと思いつつ、中古の福祉車両なるものを購入した。
電動で助手席が回転しながら、ドアの外にセットされ、さあ、あなたは座るだけでいいですよ。
後は、自動的に座席が持ち上がり、回転して、正規の位置に誘導しますよ、というすぐれものだ。

よくもまあ、こんな狭い空間でこれだけの機能を成立させたものだと感心しきり。

日本人得意の分野なのかな、、、。

ここに至るまでに二つの要素が。

まず、徳さんが事故りました。
道路法規上は100パーセント徳さんに非あり。
(まっすぐの道にカーブした優先道路が合流。こちらが一時停止しなきぁならない。
でも、徳さんに言わせれば、標識の設置が悪い。
脇の公園の木立で見難くなっていた)

で、相手の車の右前面とこちらの左前面がご挨拶。
幸い、双方ともスピードが出てなかったので人身は無し。

修理費が30万かかるとのこと。
10年近く乗った車なので、価値は10万もしないだろう。
法外な値にうんざりしてると、最近の修理は部品全部を替えますから、だって。

最先端の技術と情け無い修理技術の並存。
日本の諸技術の実情の見本のようなお話。

もう一つの要素は、おふくろ殿の、急速な体力の衰えだ。
もともと片方の股関節が手術で固定されているため、助手席に乗り移るのには苦労してた。
それが、ここに来て上手く出来ないようになってきた。
後ろ向きに倒れこんで自分では起き上がれない。

二つの要素のドッキングで助手席リフトアップシート車購入となった。
まあ、中古車だけど。

結果オーライになってくれれば良いが、、、。

川上弘美『神様2011』

2013-09-07 19:17:25 | 本日の抜粋

     ***************

 ウランの神様の話に戻ります。
 何億年もかけて、ゆっくりと、地中で減りつづけていたウラン235.人の手さえふれなければ、そのままひっそり微量の放射線を出しつつ、「でも宇宙からふってくる宇宙線よりも、私たちのだす時間空間単位あたりの放射線は、ずっと少ないのだぞ。なんとおくゆかしい」と、地中で世界を見守ってくれていたはずです。
 ところが、人間は、あちこちのウラン235をかきあつめてぎゅうーっとかためて、「さあ、どんどん分裂せよ、光を出せ、熱をだせ、衝撃波をだせ、働け働け」と、鞭打ったわけです。原爆では、ウランをいっぺんにぱあっと働かせ、原発では小出しに働かせ‥‥‥。

 川上弘美 『神様2011』のあとがきより 講談社

     ***************

1993年に川上弘美は『神様』という短編でデビュウした。
18年後、福島第一原発で爆発事故が起こった。

地震、津波、原発事故で誰しもが存在の根底を揺さぶられた。

川上弘美は、その20日後に『神様2011』を書いた。
そして原稿を出版社に持ち込み出版してくれと頼み込んだという。

寓話めいた『神様』が3・11後なら、どう語られるか。

物語の大筋にはほとんど手が付けられていない。
ただ、無垢な存在のまま、主人公達にじゃれあっていた子供達が登場する事はない。
(登場しない子供達というのは未来世界への暗示である)
周辺に立ち現われる大人たちは防護服をまとっている。
そして、常に自分の行動によって浴びる放射線量を測る行為が当然のように織り込まれている。

淡々とした日常の機微を問いかける寓話が、淡々とした日常が脅かされてる中でどう生き延びるのか?の問いでもある。

川上弘美は理科系らしく、あとがきで述べているウランの説明がわかりやすい。

天然ウランには三種類のウラン同位体がある。
ウラン234、235、238。
238が圧倒的に多く99、3%を占める。
これは穏和な反応をする。
まあ、人間にとっては役立たず。
で、レアな235はウラン同位体の0・7パーセントしかないのだが、性格は凶暴。
中性子が当たればたやすく分裂する。

人間はこのウラン235を濃縮して使う道を見出したという訳だ、、、。

ウラン235の半減期は7億4百万年!


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ちーさん、転倒

2013-09-06 20:08:05 | 本日の患者さん
ちーさん、額に絆創膏を張って来た。

さては、やったな。

「久しぶりにこけました。
朝、会社に行く途中コンビニに寄ったんですけど、何かに躓いてずっこけました。
思ったより血がたくさん出て救急車に乗せられました。
3針縫ったけどもう大丈夫です」

ちーさんは、脳性麻痺で片足が10センチほど短い。

しかし、小さい頃は何も気にせず、近所の子らと遊びまわっていたそうだ。
でも、40代後半を向かえ、さすがにいろんな体のトラブルがやってくる。
この数年は股関節痛に悩まされている。

昨年、ちーさんは、つま先立ちする片足の空間を埋めるべく靴を作ってもらった。
片足のつま先立ちはそのままだが、多少はその足が休まるのかもしれないとおもって。
(長年のつま先立ちで足の甲が反れず、単純に上げ底をしても歩けなくなるだけなのだ)
言葉は悪いが、中途半端な障碍者は、行政からの援助も中途半端で、自費と自前の知恵でやってくしかない、、、。

ちーさんのその靴を見ると、よい方の足の靴のかかとの部分の磨耗が激しい。
布の中の緩衝材がはみ出している。
きっと、一足ごとによい方の足に強い負担がかかっているのだ。

今回の転倒の原因もそこらにあるはず。

現在の心配は、通勤時の出来事なんだが、コンビニに寄ったことが労災適用のネックになるとか。
適用は微妙とか、、、。

杓子定規な行政運営の犠牲にならなければよいが、、、。





ブイカ新作、Don't Explain

2013-09-04 21:56:35 | 本日のコンチャ・ブイカ
ようやく手にした。
アマゾンに注文して10日。
アメリカからの送料も含めて千円チョイ。
なんか申し訳ない気がする。

早速、仕事の合い間を縫って、ざっと聴いて見る。

これが良いんじゃない?

<iframe width="420" height="315" src="//www.youtube.com/embed/56vHPq83oW8" frameborder="0" allowfullscreen></iframe>

ともかく、そう立て続けに新譜が出るわけでもないので、ここはゆっくりじっくり楽しませていただきやす。

なんか、老いらくの恋みたい、、、。




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治そうとするばかりが能じゃない、チャーぼう

2013-09-03 19:44:06 | 本日の患者さん
「何だ!この背骨は!」これは今回かかった整形外科の先生に言われた言葉。
「こりゃ、治らんぞ!」とは、その前にかかった整形外科の先生に言われた言葉。

施療室に入って来るチャーぼうは、腰から上が右に前こごみにかなり傾いでいる。

訴えは、右臀部の鈍痛と、歩行時の右下肢の痺れと股関節の違和感。

「整形で電気治療と牽引を受けてますが、かえって症状はひどくなってます」

いろいろ話を聞いていく。
胃腸は弱いがたいした内科的疾患はなし。
その代わり、外傷が多い。
25歳の時階段から転落、仙骨部を強打、その後何年もお尻を床に付けず。
ぎっくり腰を度々。
60歳の時、交通事故で右脛骨粉砕骨折。
65歳の時、同じく交通事故で腰椎圧迫骨折。

二十歳から八百屋さんで働きづめ、これらの外傷に出くわした時も、できるだけ仕事優先でやってきたとのこと。

拝見する背骨は、右の腰部全体が一つの大きな塊になっていて、一つ一つの腰椎が確認できない。

こんな人のレントゲン写真を見たことがある。
個別の骨がはっきり写ってなく、その周辺一帯が白くもやもやとなっているのだ。

あまりの負担にその部分が骨化して補強しようとした結果のようである。
これは、年齢も考えて不可逆性と思わなければならない。

「今あるものを現実として受け止め、周りの筋肉に悪影響を与えるのを何とか宥めすかして、、、、って方針でやっていきましょう」




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