カイロじじいのまゃみゅむゅめも

カイロプラクティック施療で出くわす患者さんとのやり取りのあれこれ。

村田喜代子『ゆうじょこう』

2013-09-02 19:56:21 | 本日の抜粋

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 目をつむって立ってごらん、と東雲さんが言う。
「おまえは、高い所につるされているんだよ。頭の天辺から紐もみたいなもので、天に真っ直ぐ吊るされている。足のずっと下のほうには地面がある」
 東雲さんの声は呪文のようだ。たちまちイチの体はどことも知れない広い、何もない、虚空とでもいうような所に吊るされていた。
 「どうだい、背骨が一本、正しく通った感じだろう?その真っ直ぐを、体に覚え込ませておおき。座ってるときも、寝ているときも、歩いても、しゃがんでも、体をどんな形に動かしても、その真っ直ぐが一本、体に通っているんだよ。ゆるっと自然に真っ直ぐなのさ」

 村田喜代子 『ゆうじょこう』より 新潮社

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明治時代の遊郭を扱った小説で、カイロの先生顔負けの、あるべき背骨のあり方の講義を聞くことになるとは思わなかった。

これは、遊郭に売られた主人公、小鹿が花魁の東雲から、プロとしての性技の基本を教わる場面である。
表現は違っても、日頃、徳さんが患者さんに対して説明する、正しい背骨のあり方とほぼ同調する。

この中で重要なのは、上から引っ張られている感覚と、ゆるっと、という感覚である。

もしかして徳さんは、知らず知らずに患者さんに性教育をしてたのか?、、、。


この小説は凄い!
題材からすると、湿り気を予測するのだが、予想に反してからっとしている。
主人公小鹿を介して硫黄島という離島の感性が本島(俺達ってこと)を圧倒している。

島言葉で書かれた小鹿日記が珠玉の極みである。

 ***
じょりはくの わすれて
いぬ、ねこだと 言われました
あたいの おとさん かかさん
しまでは はだしで あるいている
あたいは ここで じょうり はいてる
じょうりを はいたら にんげん でしょか
 ***



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