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岩清水日記

「あしひきの岩間をつたふ苔水のかすかにわれはすみわたるかも」良寛

映画『百年の時計』を観ました。よかったです。

2014-09-13 21:35:09 | 映画・DVD 
香川でオールロケした「ご当地映画」です。ですが、さすが金子修介監督です。
いい作品に仕上がっています。

ミッキー・カーチスさんや井上順さんが頑張っています。

琴平電鉄が出来てちょうど百年になる2012年に制作上映されました。
高松から金比羅に行く時に乗る私鉄ですね。

金子監督いわく、東京で電車撮影は大変な困難を伴う。でも琴電は全面的に協力してくれるという。
そこで話に乗ったと。琴電100周年だから、当たり前といえば当たり前だけど。
それだけに、電車内外、駅、電車のある風景とふんだんに鉄道が出てくる。
鉄道マニアにこたえられない映画です。

これだけ、鉄道を被写体にした映画も珍しいかもしれない。

地方の私鉄には人情があると東京出身の監督はいう。
ゆるやかで人にやさしい。普段使っている小田急など、人をモノ扱いしているという。

金子監督は、琴電100年という時間自身を映画にできないかと考えたようだ。

明治44年というと日露戦争の後に琴電は開通したことになる。
その時に、作られた鉄道時計が『百年の時計』なのである。

ヒロインは、香川市美術館学芸員(木南晴夏)。
彼女が憧れる年老いた香川県出身の有名芸術家(ミッキー・カーチス)。
この二人を軸に時間を超えたドラマが進行する。

回顧展を開いてもらおうと奔走してきた木南は、やっとの思いでミッキーを香川に帰省させる。
しかし、すでに才能が枯れたようにみえる芸術家はやる気がない。

では彼はなぜ、故郷に戻ってきたか。別の理由があった。
彼は「百年の時計」を持って帰ってきた。

1960年代に彼に手渡された時計に秘められた過去が次第に明らかにされてくる。
その回想シーンがまるで「劇中劇」で、とても素晴らしい。
見事な悲恋ドラマが挿入される。
監督の力量をもっとも感じる。

時計と電車がタイムカプセルのような役割をするハートフルな映画です。
時間の混乱がもたらす効果は、映画のもっとも得意な表現でしょう。

お薦めです。


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