
『聖なるイチジクの種』は3時間近くの長編映画です。
短い映画なら2本分といっていいほどです。
で、この映画の後半は第2部といっていいでしょう。
映画の雰囲気もガラッと変わっていきます。
主人公のイマンは、家族ともに彼の郷里に戻ろうとします。
反政府派に身バレしてしまった以上、首都テヘランから脱出することが身を守るために必要な行動です。
車で逃げていく途中にも複数の車が追ってきます。
振り切って田舎へ帰る途中に食料店で寄ります。
そこで追跡者の車を把握し、カーチェイスが始まります。
荒涼とした風景の中を砂煙を上げて走る2台の車、イマンは相手の車を道路から駆逐します。
車から降りてきた男女二人、男はナタを持ち女はスマホで撮影を始めます。が通信圏外です。
逮捕され虐待された被害者の家族でしょう。
(本来なら私たちはこの二人に寄り添うべきだが感情は家族の側に向かいます)
イマンの手には銃があります。権力側が二人を制します。
実はこのカーチェイスの間にイマンが失った銃の現在の持ち主が映像に映ります。
観客には誰が銃を盗んだか分かってしまいます。
(えーこの時点でばらすのかと観客全員が思ったことでしょう)
※ネタバレになりますのでこの先は要注意です。
観客も必死になって事の展開を追います。
遂にイマンの郷里の家にたどり着きます。
広大な敷地の中に空き家になっている住居があります。
電気とガスはかろうじて通じています。
実家に戻ったイマンはイランの旧習に戻ったかのような抑圧的な態度に変わります。
女性たちを別々の部屋に閉じ込め白状させようとします。
権力構造が家族の中であらわになりました。
すでの家族崩壊です。
妻と長女は閉じ込められました。
次女だけは逃げ出すことができ物置小屋に隠れます。
この後、知恵を絞って二人を助け出しこの場を脱出します。
クライマックスは今は廃墟になった村で展開されます。
このあとはさすがに書けません。
エンドロールでは、街頭で活動する反政府の女性たちのスマホ映像が流れます。
監督やキャスト、スタッフが、エールを送っています。
俳優たちにも弾圧の手は伸びています。
妻役の女優は実刑判決を受けています。
他の俳優も国外には出ることができない状態の人がいます。
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お読みいただきありがとうございました。
ウクライナとガザに平和を!
イランの女性を自由を!
見出し画像の黒いシルエットの父親。象徴的です。