いつも訪問刺させていただく「国会傍聴記」さんのブログは国会の現状がよくわかります。
昨日は重要な一日だったようです。
転載させていただきます。
アベノミクス3本目の矢、「成長戦略実行国会」が「成長戦略失速国会」となってきました。
今国会では11月15日(金)の衆・本会議が残り会期3週間となるため、参院での審議時間確保による確実な法律成立のめどとされてきました。ここで、午前中に自民党・民主党・公明党の3党共同修正で可決していた、「産業競争力強化法案」を本会議に緊急上程できないハプニングが起きました。ほぼ同時刻に、「社会保障制度改革プログラム法案」を自民党が強行採決したため。
「過剰規制・過少投資・過当競争」をなくすために、企業の合併を促進する新陳代謝を盛り込んだ産業競争力強化法案は10月29日(火)の本会議で審議入りしましたが、経済産業委員会で「電気事業法改正案(電力システム改革法案)」=成立済み=を優先したため、審議が遅れました。11月1日(金)の本会議で審議入りしていた「社会保障制度改革プログラム法案」の強行採決により、本会議上程が見送られ、早くても19日(火)の本会議での衆院通過となりました。なお、参院・経済産業委員会はすでに改正電気事業法の審査を終えているので、火曜日にも委員会審査をスタートできる段階でした。
国家戦略特区法案は、衆院内閣委員会で審議が続いています。こちらは、特区への減税について、麻生財務大臣の出席を野党が求めていますが、麻生大臣が、参院の特別会計法改正法案=成立済み=や、衆財務金融委員会のみずほ銀行などの暴力団融資事件の対処策の答弁に追われたこともあり、出席できませんでした。ただ、来週以降も、特区法成立後の減税・免税措置については、野田毅・自民党税制調査会長らが12月中旬に決定することになるため、麻生大臣には当事者としての答弁能力がないのが自民党政治の実態です。
iPSなど再生医療の安全確保関連2法案は、14日(木)の参院・厚生労働委員会で、趣旨説明だけが行われて散会。質疑は来週に持ち越されました。ところで、再生医療関連2法案が成立すると、「薬事法」のタイトルが「医薬品・医療機器の安全確保法」に変わります。ところが、火曜日(12日)、政府は医薬品のインターネット販売を解禁する「薬事法及び薬剤師法の一部を改正する法律案」を国会に提出しました。法案タイトルだけでも分かる政治センスのなさは厚生労働省特有です。
このように、再生医療2法案の成立は来週以降、産業競争力強化法案と国家戦略特区法案の成立は再来週以降おそらくおそらく今国会最終週になりそうです。
「実行なくして成長なし」との安倍首相の所信表明演説から始まった今国会ですが、おそらく、業界団体と監督官庁がセットになって圧力をかけているのだろうと推測されます。
衆・農水委では「農地集積バンク2法案」が審議入りしましたが、よく聞いてみると、「貸付けは、無利子とし、その償還期限(据置期間を含む。次条第一項において同じ。)は十二年以内、据置期間は五年以内で公庫が定める」といった条文が入っており、相変わらず、農業者を融資でしばりつける自民党農政は不変のようです。
今週末、日本銀行の本店、支店の金庫で過ごす現金は102・5兆円。わが国金融市場最大の状況が続きます。ところが、内閣府(旧経済企画庁)の統計では、2013年7―9月期のGDPは年率換算で1・9%成長に鈍化しました。さらに新SNA統計を精査してみたら、公共事業が増え(ただし政府最終消費支出は減っている)、民間住宅投資が大幅に伸びているだけです。とくにこの民間住宅投資の拡大ですが、現金で戸建てを買っているだけではないでしょう。ラジオ番組で、「まだ建て替えたくないけれども、今のうちにと家族で決めて建て替えしていますが、工事をみているとせつない」との投書が読み上げられました。これはまだしも、中堅デベロッパーが銀行から融資を受けて、高層マンションをとりあえず建てているのかもしれません。
あたかも、安倍首相・林農相の既得権益「下関銀行」大繁盛という感じがします。
ただ、今週決算発表したメガバンク頭取も沈痛な表情だったので、国債を買うだけの簡単なお仕事もストレスがたまるだけのようにも感じます。
正直、日本のバンカーが収益性の高い成長産業を見つけて、融資をする、というのは厳しい面もあるかもしれません。しかし、「実行なくして成長なし」「全国津々浦々までアベノミクスを実感してもらう」うえで、「1・9%成長」の「102・5兆円の日銀当座預金勘定」は一つのターニングポイントになりかねません。
いずれにしろ年次税制改正議論を9月ごろから始めて、その責任者である政治家が国会で答弁するよう国会改革すべし。
昨日は重要な一日だったようです。
転載させていただきます。
アベノミクス3本目の矢、「成長戦略実行国会」が「成長戦略失速国会」となってきました。
今国会では11月15日(金)の衆・本会議が残り会期3週間となるため、参院での審議時間確保による確実な法律成立のめどとされてきました。ここで、午前中に自民党・民主党・公明党の3党共同修正で可決していた、「産業競争力強化法案」を本会議に緊急上程できないハプニングが起きました。ほぼ同時刻に、「社会保障制度改革プログラム法案」を自民党が強行採決したため。
「過剰規制・過少投資・過当競争」をなくすために、企業の合併を促進する新陳代謝を盛り込んだ産業競争力強化法案は10月29日(火)の本会議で審議入りしましたが、経済産業委員会で「電気事業法改正案(電力システム改革法案)」=成立済み=を優先したため、審議が遅れました。11月1日(金)の本会議で審議入りしていた「社会保障制度改革プログラム法案」の強行採決により、本会議上程が見送られ、早くても19日(火)の本会議での衆院通過となりました。なお、参院・経済産業委員会はすでに改正電気事業法の審査を終えているので、火曜日にも委員会審査をスタートできる段階でした。
国家戦略特区法案は、衆院内閣委員会で審議が続いています。こちらは、特区への減税について、麻生財務大臣の出席を野党が求めていますが、麻生大臣が、参院の特別会計法改正法案=成立済み=や、衆財務金融委員会のみずほ銀行などの暴力団融資事件の対処策の答弁に追われたこともあり、出席できませんでした。ただ、来週以降も、特区法成立後の減税・免税措置については、野田毅・自民党税制調査会長らが12月中旬に決定することになるため、麻生大臣には当事者としての答弁能力がないのが自民党政治の実態です。
iPSなど再生医療の安全確保関連2法案は、14日(木)の参院・厚生労働委員会で、趣旨説明だけが行われて散会。質疑は来週に持ち越されました。ところで、再生医療関連2法案が成立すると、「薬事法」のタイトルが「医薬品・医療機器の安全確保法」に変わります。ところが、火曜日(12日)、政府は医薬品のインターネット販売を解禁する「薬事法及び薬剤師法の一部を改正する法律案」を国会に提出しました。法案タイトルだけでも分かる政治センスのなさは厚生労働省特有です。
このように、再生医療2法案の成立は来週以降、産業競争力強化法案と国家戦略特区法案の成立は再来週以降おそらくおそらく今国会最終週になりそうです。
「実行なくして成長なし」との安倍首相の所信表明演説から始まった今国会ですが、おそらく、業界団体と監督官庁がセットになって圧力をかけているのだろうと推測されます。
衆・農水委では「農地集積バンク2法案」が審議入りしましたが、よく聞いてみると、「貸付けは、無利子とし、その償還期限(据置期間を含む。次条第一項において同じ。)は十二年以内、据置期間は五年以内で公庫が定める」といった条文が入っており、相変わらず、農業者を融資でしばりつける自民党農政は不変のようです。
今週末、日本銀行の本店、支店の金庫で過ごす現金は102・5兆円。わが国金融市場最大の状況が続きます。ところが、内閣府(旧経済企画庁)の統計では、2013年7―9月期のGDPは年率換算で1・9%成長に鈍化しました。さらに新SNA統計を精査してみたら、公共事業が増え(ただし政府最終消費支出は減っている)、民間住宅投資が大幅に伸びているだけです。とくにこの民間住宅投資の拡大ですが、現金で戸建てを買っているだけではないでしょう。ラジオ番組で、「まだ建て替えたくないけれども、今のうちにと家族で決めて建て替えしていますが、工事をみているとせつない」との投書が読み上げられました。これはまだしも、中堅デベロッパーが銀行から融資を受けて、高層マンションをとりあえず建てているのかもしれません。
あたかも、安倍首相・林農相の既得権益「下関銀行」大繁盛という感じがします。
ただ、今週決算発表したメガバンク頭取も沈痛な表情だったので、国債を買うだけの簡単なお仕事もストレスがたまるだけのようにも感じます。
正直、日本のバンカーが収益性の高い成長産業を見つけて、融資をする、というのは厳しい面もあるかもしれません。しかし、「実行なくして成長なし」「全国津々浦々までアベノミクスを実感してもらう」うえで、「1・9%成長」の「102・5兆円の日銀当座預金勘定」は一つのターニングポイントになりかねません。
いずれにしろ年次税制改正議論を9月ごろから始めて、その責任者である政治家が国会で答弁するよう国会改革すべし。