朝8時に名古屋を出て、高山に向かった。
郡上八幡の桜は散っていたが、明宝の芝桜は真っ盛りで、甘い香りが漂っていた。
飛騨路のパスカル清見の桜は蕾が固く、開花はゴールデンウィーク頃とのことだ。
せせらぎ街道、西ウレ峠は雪が残り、辺りは冬景色だった。
冬季休業が終わったばかりの清見庵で、ざるそばを囲炉裏端で食べたが、ここもまだ芽吹き前で、コブシの花がちらほら咲いていた。
岩滝小学校の脇を通ったが、桜の蕾は固く、校門の脇には雪が残っていた。
去年まで住んでいた集落は、農作業はこれからで、人の気配も無く森閑としていた。
以前住んでいた家に立ち寄り、新しい主と旧交を温めながら語り合った。
厳しい冬を無事に過ごし、仕事も順調のようで、まずは安心した。
今年の1月に亡くなったユキ(柴犬)の遺髪を、いつも昼寝をしていた石楠花の根元に埋めてきた。
生まれ育ったこの地に、早く帰そうと思いつつ今日まで延びてしまった。
これでユキも、故郷の山野を楽しく駆け回ることだろう。
ホテルへ向かう道すがら、里の近くでは田おこしが始まり、桜も5分咲きほどだった。
春の遅い山里にも、ようやくその足音が近づいてきたようだ。