ルドルフは負傷していても、足運びに乱れはない。
血を流しながら、警官隊のジュラルミン製の盾を跳び越えると、
その後方で群れなす野次馬の海に駆け込んだ。
怖い者見たさで大勢が詰め掛けていた。
なんと、「自分だけは無関係」と思う連中の多い事か。
予想外の事に、みんな声を飲み込むだけ。
顔を引き攣らせて、目だけでルドルフを追う。
足は棒立ち。
そんな連中を搔き分けて、ルドルフは歩道を右へ逃げた。
四発目の銃声は聞えない。
野次馬が邪魔なのだろう。
ルドルフは駆けながら腹部の穴に掌を当てた。
少しでも出血を押さえようとした。
だが、血の勢いは押し留めようがない。
「どこに、こんなに血が溜まっていたのかと呆れてしまう」
ビルの角で左に折れた。
大通りに出た。
歩道の人影は疎ら。
車道は渋滞して流れが悪い。
後方からローター音。
しっかりと上空より追跡して来ていた。
このまま真っ直ぐに走るのは躊躇われた。
たとえ歩道でも車道でも、一瞬の空白があれば容赦なく撃たれるだろう。
判断すると身体が反応した。
ビルとビルの間の路地裏に駆け込む。
ビル陰を利用して逃げるしかない。
今は獣の感性がこの身体を支配していた。
考え込む暇は一秒足りともない。
しかし驚かされるものだ。
自分が石棺に封じられていた間に、
この不死身の身体を簡単に貫通する銃が開発されていたとは。
住みにくい世になったのかも知れない。
だが、簡単に白旗を揚げる気は毛頭ない。
逃げるだけ逃げて、反撃の機を窺う。
縁あって得た身体。
けっして無駄にはしない。
最後の最後まで足掻く。
項羽と率いる西楚軍は低山に囲まれた垓下の屯所にいた。
複雑な地形なので大掛かりな城郭は築けないが、防御するには適していた。
幸い糧食が蓄えてあるので長期戦にも不自由はしない。
周囲をまたもや劉邦率いる反項羽連合軍に囲まれていた。
和議が成ったのに、この体たらく。
全ては劉邦の裏切りからだ。
百万を越える軍勢が項羽軍を遠巻きに包囲していた。
今回も自ら進んで攻め寄せる王侯の軍勢は皆無。
みんな機が熟すのを待っていた。
そう、誰かが何かをするのを。
他人に依存する寄り合い所帯の連合軍。
それでも大軍なので、項羽軍としても迂闊には攻めて出られない。
項羽は山の中腹に腰を下ろし、正面の敵陣を見ていた。
そこには劉邦本陣の旗が掲げてあるが、
本当に在陣しているかどうか怪しいものだ。
なにしろ身近に置いている軍師は張良。
仙人から軍略を授けられたという男で、
実際、「常に行なう献策は当を得たもの」と評判で、
項羽を初めとして劉邦に敵対する者は何度も煮え湯を飲まされた。
だから今回も、毛一つも油断が出来ない。
項羽の傍らに寄り添うのは、戦疲れを見せない美貌の虞姫。
肌の露出の多い防具で身を包み、戦場では騎馬にて敵兵を討ち平らげる。
血飛沫を浴びても眉一つ顰めない。
身を心配すれば、逆に、「緩い血は肌に良いのよ」と笑い飛ばす始末。
見るのに飽きたのか、虞姫が立ち上がった。
「馬の様子を見てくる」と。
残ったのは項羽の他には、陰供の兵士等、・・・。
いや、別に一人いた。
虞姫が立ち去ったのを確認して影が姿を現わした。
無腰で、そそくさと寄って来た。
虞姫の側周りを固めている女兵士部隊の長老、朱鈴だ。
拱手して、項羽の前に両膝をついた。
「申し上げます」
「どうした」
「虞姫様はお隠しになっていますが、懐妊なされております」
流石の項羽も言葉を失った。
虞姫の立ち振る舞いからは、それらしい事は何一つ窺えなかった。
平気で馬に乗り、平気で人を斬っていた。
懐妊は微塵も感じ取れなかった。
ため息ついて口を開いた。
「どういうつもりなんだ」
朱鈴が上目遣いで答えた。
「おそらく、覇王様と生死を共にされる覚悟かと」
「それは困る。何とか国元に戻せないのか」
朱鈴が目を伏せた。
「私共では何とも、・・・」
「このままでは馬上で流してしまうではないか」
「私共でも、それを恐れております」
「俺の言葉は聞かないだろう。変に頑固なところがあるからな。
困った、どうしたものか」
★
静岡県のホテル旅館生活衛生同業組合が、東電への抗議の意志を示す為、
電気料金の口座振替を解約するように通知しました。
強制力はありませんが、何とか声を上げたかったようです。
当然です。
昨年は計画停電のあおりで経営に大打撃を受けました。
営業を続けているのが不思議なくらいです。
現在、ガソリン等の値上がりが彼等を直撃しています。
ボイラーや送迎バスを所有しているところは大変です。
これに電気料金の値上げ。
加えて消費税増税の予定です。
中小企業は乾いたタオルを絞って利益を上げるしかありませんが、
それも限界にきています。
民主も自民も「消費税増税」「東電の味方」では、
声を上げたくなるというものです。
絶望の声を。
日本全体の財政赤字が1200兆円に膨らんでいます。
人間の身体に喩えると、
肥満人間の全身の皮膚が至る所で破れ、出血している状態です。
これに対処するため、泥鰌サンは消費税増税で治療しようとしています。
止血縫合は行なわず、輸血だけで治療しようというのです。
普通に考えると、新たに輸血した血が、だだ漏れするだけです。
・・・。
「泥鰌サン、アンタは名医だ」と褒め称えたい。
この文章を纏めている間に、
リアルタイム財政赤字カウンターが、3億円増加しました。
勿論、赤字がですよ。
あっ、・・・4億円突入。
こんな気分の時は尾崎豊ですね。
「十五の夜」
小利口だった十五の頃の私は、バイクは盗まないし、窓ガラスも割らなかった。
煙草も吸わなかった。
酒も。
偉そうな顔をしている年上の連中が嫌いだった。
群れる連中も嫌いだった。
強圧的な教師も嫌いだった。
しいて言えば、無駄に威張っている奴が最も大嫌いだった。
私は、いつも小説を読んでいた。
音楽を聴いていた。
絵を描いていた。
一人でいるのが好きだった。
でも誰とでも友達になれた。
秀才とも、粗暴な奴とも。
誰にも合せられた。
嫌いな奴にも。
自分が卑屈になっていた分けでは無い。
基本的に人は好きだった。
色んなタイプがいても良いと思っていた。
何人かが若くして死んでしまった。
仲が良かった奴や、喧嘩したままの奴。
・・・。
私は何が言いたいんだろう。
オチが見つからない。
でも財政赤字だけは増えてゆく。
★
ランキングです。
クリックするだけ。
(クリック詐欺ではありません。ランキング先に飛ぶだけです)
血を流しながら、警官隊のジュラルミン製の盾を跳び越えると、
その後方で群れなす野次馬の海に駆け込んだ。
怖い者見たさで大勢が詰め掛けていた。
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なにしろ身近に置いている軍師は張良。
仙人から軍略を授けられたという男で、
実際、「常に行なう献策は当を得たもの」と評判で、
項羽を初めとして劉邦に敵対する者は何度も煮え湯を飲まされた。
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項羽の傍らに寄り添うのは、戦疲れを見せない美貌の虞姫。
肌の露出の多い防具で身を包み、戦場では騎馬にて敵兵を討ち平らげる。
血飛沫を浴びても眉一つ顰めない。
身を心配すれば、逆に、「緩い血は肌に良いのよ」と笑い飛ばす始末。
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加えて消費税増税の予定です。
中小企業は乾いたタオルを絞って利益を上げるしかありませんが、
それも限界にきています。
民主も自民も「消費税増税」「東電の味方」では、
声を上げたくなるというものです。
絶望の声を。
日本全体の財政赤字が1200兆円に膨らんでいます。
人間の身体に喩えると、
肥満人間の全身の皮膚が至る所で破れ、出血している状態です。
これに対処するため、泥鰌サンは消費税増税で治療しようとしています。
止血縫合は行なわず、輸血だけで治療しようというのです。
普通に考えると、新たに輸血した血が、だだ漏れするだけです。
・・・。
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この文章を纏めている間に、
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勿論、赤字がですよ。
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こんな気分の時は尾崎豊ですね。
「十五の夜」
小利口だった十五の頃の私は、バイクは盗まないし、窓ガラスも割らなかった。
煙草も吸わなかった。
酒も。
偉そうな顔をしている年上の連中が嫌いだった。
群れる連中も嫌いだった。
強圧的な教師も嫌いだった。
しいて言えば、無駄に威張っている奴が最も大嫌いだった。
私は、いつも小説を読んでいた。
音楽を聴いていた。
絵を描いていた。
一人でいるのが好きだった。
でも誰とでも友達になれた。
秀才とも、粗暴な奴とも。
誰にも合せられた。
嫌いな奴にも。
自分が卑屈になっていた分けでは無い。
基本的に人は好きだった。
色んなタイプがいても良いと思っていた。
何人かが若くして死んでしまった。
仲が良かった奴や、喧嘩したままの奴。
・・・。
私は何が言いたいんだろう。
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